第10話:発動!『新必殺技』
一瞬何が起こったのか理解できなかった
顔面に走った衝撃と共に大きく後退させられた
殴られたと解ったのはその後だった
この攻撃を放った相手は両手を顔の前に構え、ステップを踏んでいる
ボクシングスタイルか?
それにしても
あの速度のパンチなんて反応しようがないぞ
しかも1撃の威力が半端じゃない
あれがジャブだとしたら、ストレートはどんだけ威力があるんだか
「はっ!」
超速の踏み込みと共に数発の拳が体にめり込んでくる
俺は完全にそのスピードに翻弄され
反撃に糸口を掴めずにいた
「Gの力はこんなものか? これでよくメタル・ブラザーズに勝つことができたな」
本当によく勝てたと思うよ、俺も
しかし
Gの最大の武器となっている重力場発生装置を使えば、メタブラのように圧殺してしまえるだろう
その場合にはサーシャさんが無事ではすまないだろうし・・・
さてどうしたものか
もう何百発殴られたか解らないが
なんとなく殴られ馴れてきた感がある
決してダメージは少なくないが
それでも耐えることはできるようになっていた
Gに備わっている『学習』能力が働いて、打撃及び衝撃に対する耐性が上がっている
これならそろそろ『あれ』が使えるか?
「そろそろ遊びは終わりにしよう」
「ほう・・・面白い」
俺は覚悟を決めて突撃の構えを取る
サーシャさんもこれまでにない殺気と共に必殺の構えを見せる
勝負は一瞬!
狙うはあそこだ!
先に飛び出した俺よりもサーシャさんの拳の雨が俺の体を削るように連打される
体が千切れそうな感覚を押さえ込み
必殺の一撃を叩き込む
サーシャさんの巨乳に!
グワシッと掴んだ掌が、俺の機動したプログラムに従い行動を開始する
「ひゃぁ!」
可愛らしい声を上げて、何をされたのか理解できずに怯んだサーシャさんに対して追撃の一手を与える
「そこぉっ!!!」
怯んで動けないサーシャさんの股の間に手を差し込み
先程胸に加えたのと同じプログラムを走らせる
「ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
獣のように嬌声を上げて倒れるサーシャさん
勝った・・・
俺の長年の経験とGの持つ変幻自在のフィット能力
そして女性幼稚園教員1名の尊い犠牲により完成した奥義
『バイブレーション・フィンガー』!!!!!!!!
ただの振動ではなく
直接快楽を与える超音波を相手の性感帯に直に送り込むこの技は
たとえ相手が不感症だとしても一瞬で絶頂させる新必殺技なのだ
「どうだ、勝ったぞ」
「・・・・・」
「・・・・・」
「お兄ちゃん強〜い、でも変態〜」
むう
女性陣の反応は冷ややかですな
せっかく勝ったんだから賞賛してください
「まさかあんな負け方をするとは思わなかった・・・」
「予想外の攻撃を受けることなんて、これから先腐るほどあるさ」
「あんたほど非常識な攻撃をする奴はそうそういないわよ! でも面白い進化のしかたをしたわね。これはこれで興味深いデータが取れたわ」
「・・・アルマ・・・気をつけなさいね」
「大丈夫ですよ先輩、襲ってきたら自爆させますから」
付いてるの!? 自爆装置
「それじゃあ私はこの辺で帰るとしよう。今度はみんなで私の秘密基地まで遊びにきてくれ」
他結社の秘密結社に遊びにですか?
そもそも場所教えたら秘密でもないと思うが
「またね、サーシャさん」
「またね桜」
「菫さん。私はこの勝負勝つつもりでいくわ」
「はい。私も負けませんよ」
そういやこの二人のどちらかが次の、そもまた次の皇帝になるのか
でもあと1人いるんだったよな
「またお会いしましょう・・・特にG。貴方とはもう一度きっちり決着を付けたいわね」
あ、なんか目が恐いですよ
「それにしても貴方、これから先大変よ」
「ああ、怒ってたみたいだな」
「先輩は今まで無敗だったって聞いてるから。貴方は彼女にとって最初の敗北を与えたのよ」
ということは
俺が勝つことは誰も予想してなかったわけか
「きっと貴方を狙ってくるでしょうけど、自分で撒いた種なんだから自分でなんとかしなさいね」
あれ?
サーシャさんと戦うよう煽ってたのは誰でしたっけ?
まあいいや
また次もお楽しみがあると思えばハッピーな気分だからな