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第0話:序章

初めての作品になります。読んで頂ければ幸いです。

飛び交う銃弾、連鎖する爆音、巻き上がる粉塵

そこはまさしく戦場だった


そして俺は今現在闘争中である・・・

もとい逃走中である


幸運にも装着しているスーツのパワーアシストは優秀で

生身ではありえない移動速度を提供してくれている


しかし・・・

不幸にも後方より迫る脅威は、それ以上の速度を持って絶賛追撃中にある


俺は所持しているマシンガンを断続的に撃ち込むが効果はないようだ

おそらく奴にしてみれば蚊に刺された程度なのだろう


いや、豆鉄砲くらいには効いていて欲しい

みんなは変わらないと言うだろうが俺にとっては重要なことだ

主に精神的な理由で


すぐ後ろで爆発!

俺は大きく飛ばされながらボーリングの玉のように滑って駐車中の車に激突する


スーツ無しなら即死していたところだが

ダメージ吸収においても優秀なようだ

それでも後方に着弾したあのビームの直撃を受ければバターのように溶けて死ぬんだろうが


スーツ越しでもかなりの衝撃を受けて全身に痛みが走るが

それを考えないようにして車から飛びのく

直後に光が擦れ違い、車は爆発炎上する


車の持ち主には同情するが、そもそもこの場所は駐車禁止ではないのかね?

そう考えると同情することもないかと思う

何よりこれから俺自身が同じ状態にされる可能性が大なのだ


無理な状態からの跳躍から体勢を立て直す暇もなく

奴が俺の目の前で銃を向けて立っているのに気づいた

この距離では回避は不可能だろう


奴は全身を真紅のパワードスーツに身を包み

大袈裟に巨大な銃を持ち無言のまま立っている

この際だから何か気の効いたセリフの一つでも話すのかと期待もしたが

どうやら俺と話すことはないらしい


どんな話を期待したかって?

内容なんて重要じゃない

こいつがキメ台詞を吐いている間俺は生きていられるのだ

それこそが重要であり、俺はまだ死にたくはなかった


奴の指が引き金を絞るのを時間の流れが遅くなっているかのように感じ

昔のことを思いだしながら、『ろくなことが無かった』と結論づけた


俺が死ぬまであと1秒

永遠かとも思えたその瞬間の後

その死は『奴に』訪れた


突然目の前の奴が潰れたのだ

本当にグシャリと音が聞こえそうな勢いで地面にめり込み

明らかに異常な関節の曲がり方をして肉塊へと変わる


結局奴とは1度も口を利かなかったが

人生の終わりとはこうも単純なものなのだろうか?


「まだ生きてる〜?」

女性の声が軽い調子で耳元から聞こえてくる

生死を分ける戦いをした後なのだから、少しは本気で心配してる雰囲気を出してくれ


「全身が痛い! 死にそうだ!!!」

「あらそぉ、じゃあ生きてるって証ね、おめでとう」

「おめでたい状況なのか?」

「スペックで明らかに劣っている状況からの逆転劇を成功させたのだから『おめでたい』でしょ? これも私の重力地雷のおかげよね! 私すごい!! 私天才!!!」


椿(ツバキ)お姉ちゃんっ! 早くお兄ちゃんを回収して治療してあげないとダメでしょ!!!」

先程の声よりも幼い女性の声が甲高く響く

こっちは俺の身を本気で心配してくれているらしい

冗談じゃなく痛みと疲労で意識を失いそうな俺には何よりの薬になる

姉は妹の爪の垢を煎じて飲むべきだ


「それじゃ、桜ちゃんは戦闘員1号を回収してきてちょうだいな。私は治療カプセルの準備をしておくから」

「うん、解った!!!」

遠ざかる足音を聞きながら

回収が来る前に気を失わないように何か考えていようと思った俺は

小学生に装甲車の運転をさせようとしている椿の無謀さに呆れて意識を失った


ありがとうございました。

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