第四章 プロローグ 『錆びついた歯車』
長い間ご無沙汰しておりました。
なんとかプロローグだけでも書けたのでここに残していきます。
単なる暇人の戯言である当小説をお読み下さった皆様には感謝しきれません。
この小説は自己満足で書いています。
急展開、お巫山戯等、全てにおいて許容して下されない方はブラウザバックを推奨いたします。
それでも良い、という方はどうか短いプロローグをお楽しみください。
「旅行、ですか・・・」
「そう。今まで頑張ってきたからね、アオイさんも休んでいいんじゃないかな?」
にっこり笑うゲイル。
どーしてこーなったんだっけ?
朝、いつものようにランの店へ行く道中、私の家に来る途中だというゲイルに出会った。
ランがいつもお世話になってるから、と言い彼はにっこりと笑っていた。
「いえ、私がお世話になってる側です。この前だって・・・私が・・・ランを守れていたら・・・あんな事には・・・」
「こーら、アオイさん。そうやって自分を卑下しない。」
ゲイルが俯いた私の頭に手を乗せて優しく撫でた。
なんだか、少しだけ落ち着かない。
「あいつだって、命の危険位覚悟しているさ。俺も、あいつも、いつかは死ぬ。この場所はそういう所なんだから。」
俯いていた顔を上げて見た彼の顔が・・・
あまりにも・・・
「・・・っ!?」
覚悟を決めた顔で。
かつて私にはできなかった顔で。
・・・なにか、心の底にどんよりと暗い何かが広がった。
「だから、1度休んではどうです?」
「・・・そう、ね・・・そう、させてもらうわ・・・」
私はもう目の前の人が誰なのか分からなくなってしまっていた。
とぼとぼと歩く。
目に映るベイグルの街並はなにか色褪せてしまったような・・・。
・・・もう、ダメなのかな・・・
『・・・かなり参ってるね・・・』
・・・あの時の声・・・
『このままだと、全て失うよ?いいの?』
全て・・・失う・・・?
失うって、何が?
『いやだから、君の持ってる繋がりが、だよ?』
私が持ってる繋がり・・・?
・・・?
そんなの、あったっけ?
『えっ・・・?』
覚束無い足取りで裏路地を進む。
心に響く声の言う事を、少し考えてみる。
自分の持つ繋がり。
それが何を意味しているのかが分からなかった。
思い出そうとしても、全て黒いモヤがかかっていてほとんど何も浮かばない。
『そっか・・・もうそこまで行っちゃったんだ・・・』
少し前、夢で見た人は・・・師匠、だったっけ・・・。
何言われたんだっけ・・・?
・・・わからない・・・
思い出せないくらい、記憶が蝕まれている気がする。
気がつけば、当初の目的だったランの店に向かうということすら忘れ、私はベイグル外周の落下防止柵に手を付いて夕焼けを眺めていた。
・・・あれ?ランって誰だっけ?
・・・そっか。
旅行、してみるか・・・
私は遠くに輝く日を眺め、そう決めた。
これが、取り返しのつかない選択だと理解していながら。
つぎは、どこにいこうかな・・・?
義手は錆び、心は壊れ、刀は鈍へ。
拠り所を失った彼女は、果たして。
闇へ身を堕とすのか、はたまたのし上がるのか。
それは、誰にも分からない。
全ては彼女の選択次第。
然し、かつての縁を全て断ち切る選択をしたのもまた事実。
彼女は、もう一度、光ある心を取り戻すことが出来るのか・・・。




