EP8『枷』
短いです・・・
カチリ、と音がした。
―――・・・我願うは・・・真の導きにて満ちし・・・―――
「ラン・・・さん・・・?」
どす黒いオーラが・・・私を包む・・・
―――・・・破壊と再生を繰り返し・・・その先に待つ者・・・―――
詠唱は続く。
「ランさん・・・正気にもどってぇ!!」
―ごめんね、レイ・・・私はもう・・・戻れない・・・
―――・・・エクスキャリバ―、アロンダイト・・・嘗ての聖剣よ・・・守る力を・・・―――
ゴーレムはアオイを離し、私に向かってくる・・・私が何をするのか気がついているのだろう・・・恐らく、レイも・・・
―――・・・グラム、バルムンク・・・幾多の魔剣よ・・・ねじ伏せる力を・・・!―――
「終焉に刻め・・・『世界意思』」
刹那、世界が揺れた。
『#&%$&%$%$=~="#=~#$$#"~~!?』
ゴーレムは吹き飛びそうになりながらも叫ぶ。
風の奔流・・・嘗て無い風圧が、ゴーレムとレイを襲った。
「う・・・・・・きゃあぁっ!?」
レイは吹き飛びかなり遠くに飛ばされた。
そこから・・・レイは見ていることしか出来なかった。
『キュアァァァァァァァアアアァァァァアァァッ!!』
風が晴れるとそこにいたのは・・・
「嘘・・・」
嘗てランだった者がいた。
美しかった肌の色は黒く・・・所々爛れており、髪の毛は真っ白に・・・。
目は赫く濁り、口からは牙が覗く。
極めつけは・・・一対二枚の黒い羽・・・。
「・・・ラン・・・さん・・・なのですか・・・?」
もはや・・・ランの面影はどこにも無かった。
『キュリィィィィィイィィィイィイィィイィィッ!!』
あれは・・・悪魔か何かなのか・・・
レイは恐怖した・・・と同時に、安堵した。
あれは確かに異形・・・でも・・・ランさんの意思を感じる・・・。
すると、戦いが動いた。
一瞬でゴーレムがデータと化して弾け飛んだ。
飛び散る破片・・・。
そして・・・
『・・・キュアァァ・・・』
ランさんも倒れた。
「!ランさん!!」
レイは慌ててランに駆け寄る。
ランの姿は牙と目以外は元に戻っていたが、体はボロボロで、HPバーも残り3ドットだった。
「・・・レイ・・・なの・・・?」
ランは焦点の合わない目でレイを見ようとする。
「・・・もう・・・私は・・・見ているしか出来ないかと・・・!」
「・・・大丈夫よ・・・私は・・・生きるもの・・・っ・・・」
瞬間、レイは泣いた。
その日、ギルドが震撼した。
今まで負け無しだったアオイのパーティーが、アオイは気絶し、ランは出血多量で死にかけていたのだから・・・




