EP6 コラボ!新ダンジョン攻略
遅くなりましたァ!
ホントすいません・・・蒼次先生・・・
では、どうぞ!
「みんな!ダンジョン行こう!」
「いきなり何よ、ラン・・・」
えぇ、葵です・・・
今ランフォート武具店でいつもの3人でお茶していたのですが・・・・・・
「だから、ダンジョンに行こうって話!ほら、アップデートあったでしょ!」
「・・・そんなのもありましたね・・・」
ランがとても元気です。
「そうね・・・最近3人で行ってなかったから、たまには行きましょ!」
私も俄然乗り気になってきました!
「はわわ・・・わ、私準備してきます!」
レイちゃんも慌てて部屋の奥に入っていった。
さて、準備しますかね!
新ダンジョン『銀水晶の迷宮』
「せやぁっ!」
「ラン、太刀筋が鈍ってるよ?」
「私は短剣使い!あんたと一緒にしないでよ!」
・・・怒られた。
「ほ、ほら、ランさん・・・次のモンスターが来ますよ!」
丁度私たちの目の前で新しいモンスターがポップした。
モンスター 『ミスリル・ゴーレム』
とにかく硬いのが特徴の、全身金属モンスターだ。
「レイ!チェンジ!」
「は、はい!」
ランがスキル『スラッシング・ブレイズ』を繰り出し、ミスリル・ゴーレムを切り刻む。
しかし、ミスリル・ゴーレムには斬撃は今一つの様で、HPは数ドットしか減っていない。
そこに
「てやぁぁっ!」
バゴン!
『ДЁЛЛГДЛЁ§С¬∀Ч!?』
レイのスキル『トライデント・スマッシャー』が、ミスリル・ゴーレムのHPを一撃で吹っ飛ばした。
「・・・アオイもチートだけど、レイも大概ね・・・」
「ちょっとそれどういう事!?」
とかワイワイやりつつダンジョン攻略していたら・・・・・・
「あれ・・・あの人、見覚えない?」
少し遠くに見覚えのある人が・・・
思わず私は駆け足になっていた。
「あ、ちょ、アオイ!待ってよ!」
ランの静止も振り切って私は一直線に駆けて行った。
「・・・アオイが駆けた所のモンスター、ズタズタになってるんだけど・・・?」
「気にしたら負けですよ、ランさん・・・・・・」
「やっと追い付いた」
私は彼の近くについた。
「久しぶりですね、葵さん」
「……ソウジさん、やっと会えた」
「アオイー、急に走り出してどうしたのよ」
あ、ラン達が追いついた。
「あっこの前、カマキリに殺されてた人ですね。確か…ソウジさんですよね?」
「はい、ソウジ=k=ミナヅキです。確かランフォート武具店の店長のクランディスト=ランフォートさんと鍛冶師のレイラッタ=エルディス・ゼレルトルスさんですね」
「ソウジ君…やっぱり後でいいや。二人の前でこの事は話すから」
「そしたら今度こそ銅像にしてやる」
ソウジはボソボソっと小声で言った
「ソウジさん、そちらの方は?」
「彼はこのゲームきっての廃プレイヤーrenren臨時の野良パーティーメンバーです」
「もう皆酷いな~、僕のこと忘れちゃったの?」
「えーと、どちら様で?」
「どこかで会ったっけ?」
「どこかで会いましたか?」
「じゃあ、わかりやすい格好になろう。『コンバート:リアル』」
あれ・・・renrenさんのアバターがデータの奔流となって崩れて行く・・・?
そして白かった鎧は黒くなり赤髪も黒くなり黒い瞳は紅くなって金色の鎚は消えて黒い大鎌が現れる。
「レンだよ~」
「この駄神が、こんな所でばらしてどうするよ」
え・・・レンさん!?
「え~と、お久しぶりですねレンさん」
「ソウジ君もコンバートしたら?」
「やだね。今俺の体はお前のせいでとても人前に出られる状態じゃないんだよ」
「えー、美人だったじゃん」
「それでもダメだ」
え、どういう事!?
「もしかしてソウジさんって女性だったりしますか?」
「俺は男だよ?今朝コイツに飲まされた薬のせいでリアルの体がヤバイことになってるだけで」
「それで話が逸れたね。僕達は今からここのボスモンスターのミスリルガードナーを攻略しようと思うんだけど、よかったら一緒にどうかな~って」
レンさんはメニューを操作して元の赤髪、白鎧、黒目のrenrenに戻った。
「ちょっと考える時間を貰ってもいい?」
「いいよ」
私たちは固まって相談を開始した。
「ソウジさん達もこのダンジョンを攻略するんですね・・・」
「なら、あの2人に便乗しちゃわない?意中の人もいるみたいだし」
ちょ、ラン!?
「な、なな、なっ!?」
「あ、あはは・・・きまりですね・・・(汗」
と、言うわけで
「はい、参加させていただきます。でも条件があります。財宝と経験値は山分けラストアタックボーナスは取った人の物と言う風にしていただきます」
「うんうん、僕は構わないよ」
「俺も別にいい」
「じゃあ決まりですね」
「じゃあ、ソウジ君とアオイちゃんが前衛、レイちゃんは遊撃、僕とランちゃんは後衛で魔法で叩くって感じでどうかな?」
「それでいいですよ」
「状況に応じて臨機応変に」
「倒せばいいでしょ倒せば」
「楽勝だろうなー」
レンさんがウインドウのenterを押した。
扉が横にスライドしていき部屋の中の水晶が光だした。
中は六角形の闘技場になっており、壁際は床が無い。
そして闘技場の真ん中に蒼い水晶の光を受けて青白く反射する銀色の大きなゴーレムが鎮座していた。
五人は闘技場に足を踏み入れる
扉が閉まり、入り口の扉際の床が崩れ落ちる。
そしてゴーレムが立ち上がる。
ゴーレムのHPバーは四本
ゴーレムの周りに四体のミスリルゴーレムが出現する。
「取り巻きを先に潰すよ。其は氷、其は弾丸、其奴を穿ちて凍てつかせよ 氷雪の弾丸」
レンさんの鎚から氷の弾丸が数発飛び出して取り巻きの一体を倒した。
「其は氷、其は弾丸、其奴を穿ちて凍てつかせよ 氷雪の弾丸」
レンさんは次の魔法を詠唱して取り巻きをもう一体潰す。
二連続・・・よく噛まないなぁ・・・
「そんなメチャクチャな」
私は取り巻きの関節に刀を突き刺す。
ミシリ、と関節から嫌な音がした。
そのままミスリルゴーレムを破壊する。
ソウジさんは本体にウエポンバッシュを使って怯ませて時間を稼いでいた。
残り一体をレイが胴を殴って倒す。
「メインディッシュだよ」
「レン、本気は出すな!」
「……わかってるよ」
「別に本気出してくれてもいいけど」
「何をしでかすかわからないからやめといて欲しいな」
私はレイちゃんとゴーレムを攻撃する。
「固いっ」
「そんなに固いの?」
「とってもね」
「じゃあ僕の出番だよね?」
レンは持っているミョルニルとは別のハンマーを、用意する。
石斧のような形をしており時おり稲妻が走っている。
「くらえウコンバサラの力!」
ウコンバサラは一直線に飛んでいってゴーレムの右腕に突き刺さった
「レアアイテムをそんな使い方……」
ランが横目で睨みつけるも、レンさんは一切気にせず、次々と石斧を投げつける
「部位破壊で怯んでる内に叩くべし」
ソウジさんは二振りの刀で石斧に合わせて追撃する。
石斧はゴーレムの脇を掠めて反対側の壁にぶつかった。
「弐式一閃っ」
二振りの刀で横に一閃する。
「じゃあランちゃん、30秒間よろしく」
レンさんはミョルニルをゴーレムに向かって放り投げて槍を取り出す
「えっちょっレンさん!?」
ランがゴーレムの攻撃を慌てて弾く。
レンさんはお構い無しで走っていきゴーレムの手前で跳躍する。
「モノ ジ」
そして槍で突きはじめた
するとレンさんがゴーレムの後ろにも現れてゴーレムを突く、そして元いた所のレンさんが消える。
「トリ」
レンさんはゴーレムを囲むように三角形の頂点に現れて槍で突き、一人を残して消える
「テトラ」
レンさんがさっきの三角形とゴーレムの頭上に現れて槍で突いて、ゴーレムの前のレンさんを残して消える。
・・・・・・すごい・・・
「ペンタ」
レンさんがゴーレムを中心に五角形の頂点に現れて槍で突いてゴーレム前のレンさんを残して消える。
そしてレンさんは跳躍でゴーレムの頭上に跳び
「ヘキサグラム」
レンさわが言うとゴーレムの周りに六芒星が描かれその頂点にレンさんが現れてゴーレムを突く。
そしてゴーレムの後ろのレンさんを残して消える。
「お気に召したかな?他方向21連撃『幻槍乱舞』は」
ゴーレムのHPバー1.5本をレンさん一人で削りきってしまった。
・・・そっか、ゴーレムって、貫通属性も効くんだ!(錯乱)
「じゃあ後は任せるよ。」
レンさんは再び後ろに下がった
「そうなると私もちょっと披露しなきゃね」
「じゃあ俺はサポートに徹するかな」
ソウジさんは再びウエポンバッシュで動きを止める。
「今です」
私は焔を上段に構える
「双天飛燕流弐式壱の型『跳虎』」
焔のオーラがいっそう濃くなり白煙を上げ始める。
一蹴りでゴーレムの肩間接まで跳び、ゴーレムの腕を肩から切断する。ゴーレムの腕が地面に落ちて光エフェクトとなって砕け散った。
HPバーは残り約2本
「この調子でいけばあと三分ぐらいで終わるね」
「『この調子で』って今自分達がかなり本気だしてるのに気づいてないんですか!?」
「まあ、一人は全く本気出してないし」
「俺もセーブしてるからいけるでしょ。アオイさんもレイさんもまだ奥の手があると見えるし」
「まあね」
「私はまだ技すら使ってないし」
「ソウジ君が本気を出せばこの程度二分かからないでしょ?」
「いや、それはアレのことを言ってるんだろ?アレ使ったら一瞬だよ」
「なのに君は使わないって言う。使える物は使うべきだよ」
「アレとは?」
「ソウジ君の能力のことね」
「物には使い時ってやつがあるんだよ」
「まあ、そこまで言うなら今日はよしにしてあげるけど」
「ちょっと気になるけど…嫌がるならまあいいや」
「ちょっと見せて欲しい気持ちもあるけど…」
「最初の部分しか見えないと思いますよ」
「見えたら怖いね」
「見えない?もっと気になる」
「ソウジ君、もう君が何かをばらすしかない。君は秘密だらけだから一つぐらいならばらしても問題ないでしょ」
「まあ、そろそろ刀の耐久値も限界だからコンバートしようかな」
ソウジはウィンドウに触れる
ソウジのアバターが白い光に包まれ変化していき光が消えて、その姿が露になる。
「さて、改めて自己紹介しますね。どうもソウジ・k・ミナヅキ兼雲竜寺 霞です。こっちの姿でもよろしくお願いします」
ソウジさんもといカスミさんは1.5mもある黒い野太刀を振り抜きゴーレムに斬りつける。
その長さとその強度でゴーレムにかなりのダメージを与えた。
ソウジさんが刀を腰に溜めると刀に緑のエフェクトが発生する
ソウジさんは刀を振り抜き回転して二度斬りつける。
刀スキル:旋風
刀に黄色のエフェクトが発生する。
そして刀で下からゴーレムを切り上げつ跳躍する。
両手剣スキル:アッパースラッシュ
刀に赤いエフェクトが発生する。
え・・・・・・?
そしてゴーレムを落下しつつ切り下ろす。
両手棍スキル:メテオブレイク
「なんだ君、あんまりどころか殆ど本気出してなかったんだ」
ソウジはゴーレムの胴を蹴って下がる
体術スキル:踏襲
「相性の問題です」
ソウジはレンの少し前に着地して技後硬直に入る
「なにあれ…」
私たちは唖然とする。
「今、複数種類のスキルを連続使用したよね?」
「はい、しましたけど」
「どうやったの?」
「アレはバグチートです。システムの穴とでも言いましょうか」
「え?」
「この刀は覚えてますよね?」
「ええ、打ったの私だし」
・・・何やってんの、ラン・・・
「ちょっと手を加えてステータスを弄らせて貰って属する武器を刀と両手剣と両手棍の三つに増やしてあります」
「コレってケイに報告すべきかな?」
システムの穴って・・・
「単に両手剣と両手棍をなるべく小さくして刀と溶接、合体させて一つと言うことにしつつ刀であり両手剣であり両手棍であるようにしたまでです」
「なんか魔改造してるし」
「そんな手が有るなんて」
「それはいいや複合武器か~流石はソウジ君目のつける所が違う」
「さてとレイちゃんもなんか大技出してみてよ」
※ゴーレムのHPは残りHPバー0.75本
「この流れだし私もちょっとだけ出しちゃおうかな」
レイちゃんは鎚の先端部分をスライドさせる。
槌の先端部分が変形して片手剣の形を取った
「おー、雷閃の本領発揮だね」
片手剣に稲妻が走り、雷のエネルギー可視化されて雷の巨剣に変化した。
「あれ、有りなのか?」
「君がそれを持った上でそれを言うの?」
「いや、俺のは物理的改造だけどアレはなんと言ったらいいのか」
「アレは極められた鍛冶スキルの賜物だよ。君がアルケミストのスキルで武器の一部を溶かしてくっつけたのと同じだよ」
「結構何でもアリの世界ですね」
「でないと面白くないじゃん」
こうして話している間にもレイは巨剣で片手剣用の連撃技を繰り出す。
ゴーレムをズタズタに斬りつける。
HPバーはみるみる減っていく。
四連撃、三連撃、五連撃
可変式巨剣五連撃スキル『スターダスト・クラッチング』
「そろそろだよ、ランちゃん」
「え?私ですか?」
「そう、ラストアタック取っといで」
レンは一気に10のスキルを使ってランにバフを駆ける。
「ほら、早く行かないと取れなくなっちゃうよ。僕のSPが無駄になっちゃうよ」
「はっはい」
ランは走りだし跳躍して短剣を腰に構える
「ラン?」
レイの巨剣が一瞬止まる
ランの短剣がライトブルーのエフェクトを纏う
「いきます!」
ランは短剣を振り抜く、エフェクトと同じ色の斬撃が二本現れてゴーレムを切り裂く。さらに斬り返し、切り上げ、切り下ろす。
それぞれライトブルーのエフェクトがゴーレムを追加で切り裂いた。
そしてゴーレムに短剣を突き刺す。
エフェクトが短剣の切っ先で炸裂してゴーレムの命の最後の1ドットを削った。
「レンさん、やりましたよ」
「うんうん、頑張ったね。僕の最大SPの約1/1000は無駄にしなかったね」
「1/1000…」
「お前は最後に余計なことを言う。1/1000とか言わなければいい感じで終わったものを…」
ソウジさんはウィンドウを触ってソウジ・k・ミナヅキのアバターにコンバートする
「まあまあ、これで多少場が和んだ所でフウカ君からメールが着てるんだ」
「何だかんだ言って仲がいいんですね」
「あんなバイオレンスな行動もツンデレの一部ってことね」
「えっ!ジン君そりゃないよ!」
「どうした?」
「殺されちゃった、僕」
「お前が死ぬ?面白くない冗談だ」
「…社会的に…」
「それなら納得」
「見てこのメール」
レンはウィンドウをコッチに向ける。
『あなたは書類に嫌気が射して自殺したことにしましたのでもう帰ってこないでください。もうジンが書類上は処理しちゃったので今更出てきても遅いですよ。 フウカ』
「プフフ、お前よっぽどこの二人に嫌われてるよ」
「僕が何をしたって言うんだよ」
「盗撮写真を内外にばら蒔いただろ?」
「うっ…」
「有休なしで使い倒してるだろ?」
「うっ…でもそれはジン君が休日の過ごし方で困ってたからいっそ休日をなくしてあげただけじゃないか」
「これは殺されてもなんの文句も言えないわ」
「レンさん、ほんとに一回死んできたらどうですか?」
これには流石に同情出来ない。
「もう死んだよ、社会的に…」
「まあまあ死んだ神略して死神は置いといて財宝の話をしようか」
最初にダンジョンボスが倒された時にボスが居た場所に現れる宝、それが「財宝」
今回もボスが倒された時にあるものが出現していた。
それはボスの二倍近い大きさの銀色の鉱石の山。
このダンジョンに居る間常に目にしていた銀水晶の山だ。
「ミスリル鉱石ね。かなり純度が高い」
「じゃあ魔法系装備の製作とかに使えそうですね」
「多分防具は無理ね。魔法攻撃貫通があるから、でも杖なら良いものが作れそうね」
「電子回路ならぬ魔導回路とかを組むのにも使えそうだな」
「それにこの強度ね、強度としては防具にはしたら最高の防具が出来るレベルなんだけど」
「僕はこの鉱石で剣を作るよ、魔法剣とかが作れそうだから」
レンは山をまるごと分配画面に放り込んで5等分して分配した。
すると山のあった場所に転移石が現れた
「じゃあ、僕は書類を止めてこなきゃいけないから先に落ちるよ。後は好きにやって」
レンさんは転移石の手を翳して転移した。
「さてといつまでもここにいても仕方ないし帰りますか」
ソウジは転移石に手を伸ばす。
「アオイ、行かなくていいの?」
ソウジさんは転移していった。
「あっ、行っちゃった…」
「行ってきなさい。私達は私達で適当に帰っとくからアンタは彼を追いなさい」
「アオイさん、頑張って下さいね」
「二人ともありがとう」
私は後を追って転移石に手を翳した。
「お二人うまくいくでしょうか?」
「まあ、ソウジ君次第でしょ」
二人は暫くその場で談笑していた。
「ソウジ君、ちょっと話いいかな?」
「はい、大丈夫ですよ?でも、二人を待ってからのがいいんじゃ」
ソウジさんは笛を片手に言う
「二人が居るとしにくい話だから…」
「そう言うことなら。じゃあベイグルに戻りながら話しますか」
ソウジは黒い笛を吹く
空から翼の生えた獅子が降りてくる
「おーい、コッチコッチ」
何かが広場に降りてこっちに走ってくる。
って、グリフォン!?
「はい、来てくれてありがとグリ。こちら召喚笛で呼んだグリフォンのグリです。グリ、挨拶は?」
グリフォンは頭を下げる
「もしかして二人乗り?」
「グリ?いけるよな?」
グリは二度頷き誇らしげに胸を張る
「じゃあちょっと失礼して…」
ソウジさんは私を片手で抱えてグリフォンに乗る。
え、ちょ、ソウジさん////!?
私は少し赤くなった顔を隠すように俯く。
「グリちゃんの首にしっかり掴まって下さい。グリちゃんテイクオフ」
「ピィィーー」
グリは一鳴きして飛び上がった。
バサりっ!
風が頬にあたって気持ちいい・・・!
「で話って?」
「あっ、え~と。さっきレンさんがメール出した時に二人の事を知っている様でしたが、ソウジさんは神なんですか?」
「そう言えばレンと知り合いだったね。てことはアイツの職業知ってる?」
「はい、世界の主神だと」
「まあ、そのお手伝いさんぐらいに考えといて。神なんて大それた者でもないんで」
「そうなんですか」
「レンとはオフ会で知り合って意気投合してアイツから打ち明けられたんだ。『僕、ホントは神様なんだよ~、凄いでしょー?ほら僕を崇め奉って』って」
「レンさんらしい」
「俺からも一つ質問してもいいですか?」
「あっはいどうぞ」
「俺、アオイさんになんかしましたか?」
「え?」
私は思わず固まった。
「いや、今日は二度も声を掛けられたので何か言い出しにくい様な事を俺がやらかしたんじゃないかってちょっと不安で」
「いや別にそう言う訳じゃないけど…嫌だった?」
「いや、そう言う事ではなくて。ただ少し気になったぐらいで」
そしてお互いに黙ってしまった。
ソウジはやけに周囲を警戒している
アオイは顔を真っ赤にしている。
『はよせんかい!』
初代村正が怒鳴っている。
『わかってるよ・・・でも・・・』
『こんなナヨっちい男の何処がいいんかワイにはさっぱり解らんわ』
村正は続ける
『お前もお前やで?先にスパッと言っとけば今ごろラブラブ、ラブラブしとっただろうに』
『・・・ごめん・・・』
村正は続ける
『まあーもうワイは知らん』
村正は黙った
「・・・アオイ、なんでそこで黙っちゃうのよ・・・」
この世界の主神、ケイも大きな画面の液晶テレビでこの光景をみていた。
「初々しいわねぇ・・・もう少し大胆に行って欲しいけど・・・」
もうしばらく続きそうなので、ケイは画面を見続けた。
「台の前に降りますね」
「あっはい…」
「アオイさん、大丈夫ですか?ちょっと顔が赤いみたいですけど」
「はい、大丈夫です」
グリは台の上空で急上昇して急降下する。
「グリどうした!」
「えっやっわっ落ちる!」
ソウジさんと私は宙に舞った・・・振り落とされたんだ・・・そう認識した途端、私は絶叫した・・・
(嫌だ・・・嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ・・・!)
『~~~〜〜〜〜!?』
ソウジさんが私を抱き寄せてくれたのだろう・・・温かみが伝わってきた・・・でも、そんなこと気にしていられるほど、私に余裕はなかった。
ソウジさんはウィンドウを少し触ってカスミさんに変わり小声かつ早口で詠唱し始める。
何言ったかは分からない・・・風の音で聞こえない。
と、突然周りの風景がスローになる。
次に足下に粗削りの氷の板が現れる
そこから先は、辛うじて見たシステムサインしか覚えていない・・・。
『Immortal Object』
そう表記されて六角形は消えた
そしてソウジさんは再びソウジさんに戻った。
「ふう、セーフ。危うくミンチになるとこだった」
私はお姫様抱っこされており、顔が赤くなっていくのを感じた。
「あっすいません。咄嗟だったのでつい」
ソウジさんは私を降ろす。
グリも降りてきた。
「こらグリ、死んだらどうするんだよ」
グリは途中で回収するつもりだったとでも言いたげな目でソウジさんを見る
「ソウジさん、私…」
「どうかしましたか?」
「・・・ううん、また次会った時にする。だからそれまで死なないでね」
「はい、では自分は先に失礼します。グリ、次の町まで飛ばすぞ」
ソウジさんとグリは一気に上昇して高速で飛んでいった。
「ソウジ君……」
・・・また言えなかった・・・
もう、次があるのかなんて分からないのに・・・
私は顔が赤いまま・・・少し顔に影をさしてベイグルに転移した。




