EP2 樹海エリア
第一回目の貿易終了後、私たちはレベリングの為に樹海エリアに来ていた。
私たちは最近このエリアに来るようになったから、あまり地形には詳しくない。
現在時刻は午前の2時。
正確な時間は分からないけど、怪しく照らす月明かりが、真夜中だということを告げていた。
その中を三人での歩いていた。
そんな時だった。
「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」
男の人が錯乱する様な声が聞こえた。
「ひ、悲鳴!?」
「いい予感がしませんね・・・ッ!!」
「もう、いい加減にしてよ!」
各々悪態を吐きつつ、聞こえた方に急行する。
そこには・・・
「え・・・?」
見覚えのある少年が、切り刻まれているところだった。
「ソウ・・・ジ・・・くん・・・?」
そう、白いコートで青髪の少年。
ソウジ・K・ミナヅキ、それが彼の名前。
その彼が、一方的に恐らくボスモンスターであろう怪物に殺られていた。
「い・・・ぃ・・・」
「アオイ?」
「アオイさん?」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁッ!!」
私は刀を抜き放ち、そのモンスターへと躍り出る。
いや、狂い出た、か。
「アオイさん!?」
「ちょ!あんた、何してるの!?」
ランたちの静止も聞かず、鎌が四つ有るカマキリに向かって走る。
カマキリが鎌をふる
私は一本目を弾き、二本目を避け、三本目を斬り、四本目を左の黒刀『氷』で受け止め・・・
右手の黒刀『焔』で切りつけ・・・
ようとしたが、寸前で一本目の鎌に阻まれる。
「チッ!」
私は舌打ちし、一旦距離をとる。
頭に上がった血が戻り始め、冷静さが戻ってくる。
それでも・・・彼を殺った事に変わりはない。
『焔』を握り締め、また前へ出て、カマキリに振り下ろす・・・
ピシッ
「!?」
突然、罅が入るような音と共に
ピキーンッ!!
「あっ!?」
『氷』の方が折れた。
「ギシャァァァァァァァァァァァァアッ!」
勝利を確信したかのような咆哮?を上げたカマキリ・・・ボス名The quattuor reaperは・・・
ズシャッ!
「「アオイ(さん)!?」」
「・・・かはっ・・・。」
私を鎌で斬り捨てた。
斬られた・・・そう思った時にはもう遅く、私の意識はブラックアウトした。
ランside
「「アオイ(さん)!?」」
嘘・・・アオイがやられた・・・あのしぶといアオイが・・・たった一撃で・・・。
ザ・クアトロリーパーに斬られたアオイは、HPを数ドット残して気絶してしまった。
彼女はこの惑星『エヴェルガルド』の住人。
HPが0になる即ち、それは『死』である。
「レイ!急いでアオイを!」
「は、はい!」
怯んでる場合なんてなく、私はカマキリの相手をする事に。
「ギシャァァァァァァァァァァァァアッ!」
「クッ!このっ!」
私は短刀にしては長めの刀を持って交戦する。
私の得物は准刀『仙狼牙』。
長さは60cmそこそこ。
刀としては短いけど短刀としては長い。
矛盾した不思議な刀だ。
でも、それでも私は得物一つ、たいしてカマキリは鎌が四つ。
これじゃ多勢に無勢とかわりゃしない。
「く・・・強いッ・・・!」
次々と襲いかかる鎌の数々に、私は段々と対応できなくなっていき・・・
「きゃぁっ!」
鎌を受け止めた時にその重さに耐え切れず吹き飛ばされてしまった。
「ランさん!?」
アオイを運んでいるレイが悲鳴を上げる。
私は痛む身体に鞭打って立ち上がって・・・
「・・・くっ・・・。」
だが、膝をついてしまった。
「ら、ランさん!」
レイが駆け寄ろうとするが、私は
「レイ!さっさとアオイを運んで!」
それを遮った。
「で、でも・・・」
「でももだってもいらないから! 」
私は遂に立ち上がることに成功し、またクアトロリーパーと対峙する。
「早く行って!アオイを寝かせなさい!」
「・・・ランさん、ご武運を!」
私の説得が効いたのか、ランが遠ざかっていくのを感じる。
そこで私は、短刀を仕舞って、ポツリと呟く。
「・・・今なら、誰にも見られてない。アレを・・・使う。」
私は左手でメニューを開き、さっと目当ての物を探す。
その間にも、クワトロリーパーからの攻撃は止んでいないため、右へ左へ回避する。
「あった!」
遂に目当てのものを見つけ、装備する。
それは・・・長い大太刀と呼ばれる物で、私の背中に括りつけられている。
それを引き抜きながら、クアトロリーパーともう1度対峙する。
完全に引き抜いたその刀は、刀身が真っ黒に染まった、禍々しい刀だった。
その名を・・・苑刀と言う。
「・・・取るなら自分の間合を・・・」
先ずは一歩。
それだけで、クアトロリーパーとの間合いは消し飛んだ。
「・・・守るのなら打たせない。」
リーパーの攻撃を弾き、鎌を全て切り落とす。
攻撃できないように。
「ギシャァァァァァッ!?」
リーパーがうめくような声を上げる中、私は・・・
「攻撃するなら・・・切り捨てる!」
無慈悲にもリーパーを両断した。




