姉妹出陣
「行くって、どこに?」
泉美は、素朴な疑問をぶつける。
「ん~…お楽しみ♪」
そうはぐらかす夢芽に、泉美は不満げだった。
…………ーーー
その頃、エフティルシパ王国。
復興支援している亜久未や円。
「いよいよ王国が、元の姿に戻ってきたね…」
支援し続けた甲斐があり、王国は元通りに。その功績に賛辞を惜しまない円。
「そうだね、円ちゃん」
とても楽しそうに笑顔の耐えない亜久未。
「ふぅ…。これでアタシは、また王女として復帰できる…」
バルミは自分も復興支援に協力していた。
「アタシの仕事は終わったわね。アタシはアタシの国に帰るわ♪」
智歌も、復興支援に参加していた。
「それにしても不思議だな、貴様の歌のチカラ…」
智歌の覇魔歌唱に心底驚いているバルミ。
それもそのはず、蘇生歌によって人類がよみがえり、復興したエフティルシパ王国の住民として住まうのだから。
「覇魔歌唱…本当は世界を破滅させるための歌だったけど、今は違う。復活とか、復興支援にも使えるからね…。名前を変えようか。
“真神聖歌”
に改名するか。アタシの二つ名に…♪」
そう言い放ち、
「何かあったら遠慮なく呼んでよ? 亜久未、円、王女様…いつでも協力するから♪」
と、自分の国“絶世森海”へと足を向け、3人に別れを告げた。
「本当にありがとな、今度そっちにも訪問させてくれよ。貴様の国に興味あるからな!」
バルミは、そう言って城内に戻った。
………王国城内。
「せっかくだし、アタシの王国の絶品料理でも食っていきなよ。2人とも復興支援お疲れ様!」
亜久未と円に賛辞を惜しまず、フルコースを無料で提供する。
高級食材ばかり使っていて、どれもこれも亜久未や円は食べたことのない絶品料理ばかり。
「ボク、こんな豪邸料理は初めてだ…! すっごいよ、見た目から…!!」
市民だった亜久未は、感動していた。
「私が経験した豪華料理とは、また別次元だよ…! こっちの方が美味しそうだよ!」
二輝幻将時代に円が経験した豪華料理とはまた違い、それに感動する。
『いただきます!』
バルミも一緒に食事し、楽しそうに談笑する。
「この魚…もしかして、王国でしか漁れない特別なモノ? ボク、こんなに脂身と赤身がクロスしてるのなんて、今まで見たことないよ!」
亜久未はバルミに問う。
「そうなんだよ! 実は“コルフォイス”っていう魚で、王国を好んで棲んでる宝魚がいるんだよ。そいつが一番うまいのなんの、高額で取引されるほどだよ! 最低価格も、8万メイ! …亜久未や円の国の価格に直したら、240万円…ってところか」
「「に、240万円!!?」」
とんでもない高級魚だった。
「まぁ100万メイいかなきゃ高額じゃないけどね、アタシにとっては」
金銭感覚が異常に狂っている王女バルミ。
「さすが王女…!」
亜久未は、食事の虜に。
「美味しすぎるよ…」
円もまた虜になっていた。
………ーーーー
向かう途中の、夢芽と泉美。
「これから行く場所は…あそこ♪」
エフティルシパ王国を指さす夢芽。
「なるほど…エフティルシパか」
泉美は、感情をなくしていた。
…泉美と夢芽は、何をするつもりなのか………




