表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4つの交錯  作者: 幡賀 吉紗
~最期の世界 編~
56/67

夢芽の過去と…


ーーー……それは、2年前の話。


泉美と夢芽は、旅路についていた。


「夢芽、今日から隣のクラネス共和国に行ってバカンスをしに行くよ!」

母親と一緒に3人そろって旅行をする予定を、夢芽に話す泉美。

「わーい、久しぶりに家族でバカンスだ~! イズミン、楽しみだねぇ~♪」

わくわくする自分を抑えきれない夢芽は、とてもハイテンションだった。


そして、目的地のクラネス共和国。


そこには、水色に輝く湖と、新緑と黄緑のコントラストが鮮やかな山々があり、とても自然豊かな場所があった。

「きれ~い…♪」

あまりの景色に感激し、2人して立ち尽くす。


「それじゃ、夢芽、泉美。いっぱい泳ぎましょ♪」

天世あまよが言った。

そして2人は、天世と一緒に海でバカンスを楽しむ。

「それじゃ、ボール遊びでもしよっか!」

泉美がボールを持ってきて、促す。


「それっ!夢芽!」

「うわっ!イズミン、パス!」

「よっ…と! 母さん、パス!」

「はい♪ 夢芽、パス!」

とても楽しそうに過ごし、夕方になる。


「…はぁ、めいっぱい遊んだねぇ~♪」

はしゃぎすぎて疲れた夢芽は、夕食を済ませたらすぐに横たわった。

「ほんと、久々にはっちゃけた~…」

続いて泉美も、横たわる。

「食べてすぐ寝ると太るわよ?」

天世は健康を気遣い、2人に注意する。


そして、夜。

寝る支度をする夢芽と泉美。

「今日も一緒に寝ようよ、イズミン♪」

とても甘える夢芽。

「いいよ。ホントお前は怖がりだな~」

昔から怖がりな夢芽を優しく抱きしめる。


「ちょっ、イズミン…!?」

照れくさそうに、声が震えている。

「そんなところが好きだよ、夢芽…」

妹として大好きだということを伝える。


………その頃、天世は…。


「…待ちなさい、破壊神ダークマター…私の娘たちは絶対に殺させないわよ…」

2人を絶対に守るため、気を張り巡らせながら就寝する。


そのとき、悲劇は起きた。


このクラネス共和国に、破壊神ダークマターが進撃してきて、いよいよ高良家が泊まっている旅館の方にまで被害が及んできた。


「っ! 破壊神ダークマター…!」

泉美と夢芽を起こさないよう、防音壁ノイズガード防震壁グラビティガードを2人の寝ている部屋に張り巡らせる。


「…どうしてここまで来たのよ?」

天世は破壊神ダークマターに問う。

「世界を破滅させるためなら、端から端まで訪問し、そして壊す。だからここにも来たんだ…」

破壊神ダークマターは、攻撃を始めた。



…………その頃、泉美と夢芽。


「イズミン…トイレ行きたい、ついてきて…?」

怖がりな夢芽は、トイレに行くために泉美を起こす。

「ん…しょうがないな、分かったよ…」

寝起きで少し不機嫌だが、応じる泉美。


そして、トイレへ。

「イズミ~ン…まだそこにいる~?」

「いるから安心してー?」

怖くて呼びかける夢芽と、それに答える泉美。


そして夢芽は、用を済ませた。

だが…

「ごめん、私もしたくなっちゃった…」

トイレに入る泉美。すると、

「怖いから待つね…?」

と、泉美が出てくるのを待った。


…そのときだった。


偶然にも、破壊神ダークマターと天世が闘っているところを見てしまった。


「あ、天世お母さん!!」

大声で、そう叫んでしまった夢芽。すると、


「ダメ、出てこないで!!」

天世は必死に、隠れることを催促する。


「…悪いが、見てしまった以上は…ちょっとお仕置きしなきゃな…」

仮面の取れた破壊神ダークマターは、鉄雄だった。


「て、てつ…っ! 鉄雄さ…」


そう怯える夢芽に、容赦なく鉄雄は、


「さぁて、一つずつ足と手でも貰うかな~」

と言い、そして…


「っ…あ゛あ゛あ゛ぁぁぁっっ!!!!」

夢芽は、左腕と右足を切断された。


「夢芽!!?」

その悲鳴しか聞こえていなかった泉美は、トイレから急いで出て、夢芽のもとへ駆け寄った。が、しかし…

「…なっ、な…な……っ!」

無惨にも左腕と右足を持って行かれた夢芽を見て、泣き崩れ、そして吐いてしまう。

「うぐぇっ!! ゆ、夢芽…っ」


………ーーー


「私が左腕と右足を失ったのは、その時の破壊神ダークマターが鉄雄さんだって知ってしまったから…。でも、そのおかげで…この


 “全魔能源ソクロヴィッシ


という“神聖宝ハイエスト”と出会えた…」



全魔能源ソクロヴィッシ

全属性・全魔法・全超能力、その全てを司り、好きなように操れる最強の能力。そして、出会った者の超能力・魔法・魔術などを瞬時にコピーし、全く同じように使えるようになる。

長けている能力は『精神侵食メンタルハンド』。相手の精神を操る。


この能力が、全世界で唯一


神聖宝ハイエスト


と呼ばれる、最強で真極しんごくの能力。




……ーーーー…


泉美は、夢芽の敵をとるために、天世と戦線に。

その時には、破壊神ダークマターの鉄雄は、仮面をつけていた。


そのとき夢芽は、少しだけ意識を取り戻していた。

夢芽は、自分が倒れている目の前の光景に目を疑った。

全魔能源ソクロヴィッシ”のかたまりたる宝石が落ちていたからである。


それを拾った夢芽。すると、瞬時にそれが芽生えた。

そして芽生えたと同時に、夢芽の脳内に、何かの暗示が流れ込んできた。


『この能力を手にした者よ。全ての人類を精神侵食して操り、思い通りに世界を動かしてみよ…』


この意味が分からなかった夢芽だが、なにを閃いたのか、突如として行動に出る。

「…破壊神ダークマターを、この場から立ち去らせてみよう…」


思い描いた夢芽。すると、本当に…


「…ちっ! また来た時は覚えてろよ!? 今度こそ殺してやるからな!!」

突然、破壊神ダークマターは方向転換し、アジトへ戻っていった。


「…ほ、本当に精神侵食した……」

自分で自分の能力に驚き、そして悪知恵が働いた。

「これなら、全世界最強も夢じゃない…」


…………ーーー



「それからというもの、脳内に走る声を頼りに、全世界を見れるようにモニターを作り、異空間の中に亜空間を作って、誰も辿れない上に来れない空間で、私は


 世界の全壊と、全世界の支配


を夢見て、人員を操作したんだよ~♪」


とんでもない天才が目を覚まし、世界は破滅の道へまっしぐらになっていた。


「…壮絶な過去だな。死んだことにして私を騙してたなんて…っ」

許せない、と怒りを爆発させる泉美。

しかし、魔源消却イレイザーと床によって身動きがとれず、攻撃は出来ない。


「今度はね~…」

言うのをためらいながら、泉美の額に人差し指を当て、

「イズミンが、全世界を壊すんだよ?」

感電死するくらいの極強な雷電を、泉美の体内に駆けめぐらせた。


「あがぁぁぁああぁぁぁっっ!!!!!」


そして、夢芽が額から指を離したと同時に、気絶してしまう………




…泉美は、数時間が経過したとき、目を覚ました。


「んっ…。…夢……芽…?」

記憶は残っているが、何やら様子がオカシい泉美。


「イズミン、おはよ♪」

とても元気に明るい挨拶を交わす夢芽。


「…夢芽? 私いま寝てたの?」

雷電を流された記憶がない泉美は、問う。

「そうだよ? 疲れて寝てたの♪」

事実を隠し、そう言った。


少し、泉美の様子がおかしかった…


「…それじゃ、イズミン♪ 出掛けよう?」



いったい、どこへ出掛けるのか………


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ