夢泉
「イズミンも理解してくれないなら、ここで死んでもらうだけだよ…?」
戦闘態勢になり、夢芽から仕掛ける。
「理解できない…その精神も、さっきのお前の理論も…!」
攻撃を受ける態勢になる泉美。
夢芽は右腕に気を込め、ムチのような炎を操り、泉美を囲むようにして絡めようとする。
しかし、それを視認した泉美は、氷を身にまとい、炎を防いだ。
「さすがは総性造爆…っ」
夢芽は、続けて雷撃する。
雷を雲に走らせ、天空から落とす。
この雷撃も泉美は難なく避ける。
「どんな攻撃が来ても、私の目は追いつくよ?」
泉美は挑発する。が、しかし、
「…だったら、これは?」
と、新たな攻撃を夢芽は始めた。
泉美の右から炎、左から氷、上から雷、後ろから空間圧迫。
さすがに対応できないだろう、と高をくくる夢芽だったが、泉美は対抗した。
右に氷、左に爆炎、上には避雷吸収、背後に重力操作。
「4属性を同時に、なんて考えたことない…。さすがは全世界最強…っ」
さすがに泉美も、これには苦戦した。
やったことない同時並行をやられ、疲労がどっと襲ってきた。
「さすがに疲労困憊だね、イズミン♪」
夢芽は自分を分身させ、5方向から……左右と上、背後を分身に、そして目の前は自分自身で囲んだ。
「くっ…。分身は出来ないから仕方ない…」
どうやら泉美は、分身は出来ないようだ。
「…同時に攻撃するしかないか」
そう言い、5方向へチカラを分散し、それぞれの方向にある分身と本体に対抗した。
「そんなんじゃ対応できないよ、絶対にね♪」
挑発してくる夢芽。
しかし、それは現実になってしまった。
「…っ! 対応しきれ……るっ!?」
泉美は、いつの間にか足下の床が自分の足を掴んでいることに気づき、動けない状態にされていた。
頑張って上体だけで反応しようとするが、左右の分身に腕を掴まれ、上の分身が両腕に鎖をつなげ、その鎖を天井につなぎ、固定した。
「これでも対抗できるのかなぁ? イズミン♪」
その姿を嘲笑う夢芽。
「うっ…ぐ! こ、この鎖…まさか…」
泉美は、繋がれた鎖が“魔源消却”だと悟った。
鎖を繋がれた瞬間から、チカラを発揮できなくなっていたからである。
「ふふっ♪ 降参するぅ~?」
憎たらしくなるような優しい微笑みを見せ、泉美を嘲笑う。
「…くそっ! 夢芽…」
さすがに抵抗できず、大人しく降参した。
姉の優しさが働いてしまったのだろう。その様子は、仕方なく承諾してしまったような感じだった。
「さすがに私も、ね? こうされたら降参しかしないかな~♪」
この魔源消却は、どんなチカラの源も消却する仕組みになっていて、それがたとえ最強の夢芽でも、全て封じられてしまう。そんな鎖だった。
「…イズミンにだけは、私のことを話しておくかなぁ~…。大人しく聞いて欲しいねっ」
夢芽は、過去話をし始める…………




