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4つの交錯  作者: 幡賀 吉紗
~最期の世界 編~
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姉妹

 

そこにあったのは、複数の培養器。

しかし、その内部には何も入っていないように見えた。


「もう私以外は先祖っ。入ってるワケがないんだからねぇ~?」

“やれやれ”と、夢芽は呆れを見せる。

「あ、これこれ♪ 私の生まれた場所っ!」

自分が育った培養器を指差した。


「…夢芽は、人造人間クリーチャー…なのか?」

この光景を見て、泉美はそう思った。しかし、


「違うよ~? 人造人間クリーチャーみたいに、人が造った・・・人間じゃないからね~?」


「…だとしたら、お前は何なんだよ…?」

人造人間クリーチャーでもなければ、人間でもない。だったら何、と泉美は問う。

すると夢芽は、


なぜか生まれた・・・・・・・未確認生命体…とでも言っておこうかなぁ~♪」


と答える。

どうやら夢芽は、人間ではないようだ。


「私も分からないの。どうしてココに生まれたのか…とか、人間の子じゃないなら何…とか。でもね、ハッキリと分かるのは…私が、いつの間にか存在してた・・・・・ことだけ…」

この夢芽のよく分からない発言に戸惑う泉美。


人造人間クリーチャーのように、誰かが作ったのなら私は納得がいった。けど、夢芽は全く別の何か…? 産まれても、作られても居ないなんて、ありえなすぎて信じる事なんか出来るわけがない…! ふざけないで!」

大声を張り上げ、夢芽の肩を強く掴む。


「い、イズミン…?」

痛みはモノともせず、ただ唖然としていた。


「…あれっ? この感触…」

夢芽の肩を掴んだとき、違和感を感じた。


「…人造人間クリーチャーなら、少し固まってしまうから、こんなに柔らかくないし…本当の人間なら、ここまで脈を感じない事は絶対にない…。脈もなければ、人間じゃないワケでもない…!?」

不思議な感覚とともに、夢芽の正体が全く分からなくなり、混乱し始める。


「だから言ったでしょ? 人間でも人造人間クリーチャーでも、歌聖神セイクリッドのような神でもない。これって、新生命体…かなぁ?」

結論を付けられない夢芽。


「…夢芽…ワケわかんないよ…」

ムシャクシャしてくる泉美。


「ワケ分かんないのは私も同じ。生まれてきた私でさえ、どうやって・・・・・生まれたか知らないんだよ? こんなの本当にワケわかんない…っ」

夢芽もまた、困惑している。


しかし、そこには出自を教えてくれる先祖も、科学者も居ない。

そもそも、科学者でも解明不可能なのだけれど。


「…だから、イズミンをここに入れてあげたんだよ…?」

不意に夢芽は、こう言い放った。


「…えっ? 今、何て…?」

そう夢芽に問おうとした時だった。


いきなり夢芽は、泉美の両腕を掴んで壁に押しつけ、電気ショックで痺れさせた。


「あがっ!? ゆ、夢…芽…っ!」

軽く防御していたからか、そこまで痺れずにいる泉美。


「はぁ、はぁ…な、何してんだ…っ」

軽いショックに陥り、抵抗するチカラも激減し、泉美は夢芽に押さえつけられてしまう。


「二人きりになるチャンス、ずーっと伺ってたんだよ~?」

今度は膝蹴りが鳩尾に直撃。さすがに激痛で大ダメージを負った。

「うぐっ!! …がっ…はぁ、はぁ…。な、何の恨みが…ある…っ」

苦しみに悶えながらも、夢芽に問うことを諦めなかった。


「別に恨みは無いんだけどね…って言ったらウソになるなぁ♪ コピー出来なかったことが正直くやしいよ? でも、それが理由でこんなことしてるんじゃないよ?」

「だったら、なんで……っ」

その理由は、意外なモノだった。



「イズミン…これから私と2人で、世界を直しに行くんだよ? 私が操れない世界・・・・・・なんてウンザリ! 操れる世界・・・・・に作り直すの♪」



なんと、自分が周囲の人間を操っていたことを明かしたと共に、破壊宣言をした!


「この裏世界を作り出したのは羅宇だけど、それが意外と予想外の産物を生み出したんだよ…。シェガンゾフ一族のような異民族を生み出したり、歌聖神セイクリッドのような神を創り出してしまったり、イズミンみたいな混在人間ミックスを産み出したりしてしまったの。そんな中の1人が、この私でもある…


 だけど、それじゃつまらなかった…


 だからこそ私は、全ての人類を思い通りに動かし、破壊神ダークマター二輝幻将ツインフラッシュ移次元警官ナイトポリス壊星団アットモストを作り出したのに…ぜーんぶ水の泡!! イズミンのせいだよ!」

夢芽は怒りに身を任せ、泉美を拘束し、泉美の顔面すぐ真横に鋼鉄の拳をぶつけた。

壁に穴が空くくらい異常に固い拳で。


「ち、ちょっと、夢芽…お、落ち着いて?」

あまりのあらぶりように焦り、冷静になれない泉美は、語り始めた。


「私は今まで、地球を壊滅させたくない一心で、破壊活動する人々を止めてきた。その結果、仲が悪かった王国と帝国も友好条約を結び、破壊神ダークマターだった子も復興支援に励んだ。そして私は、それらを全てサポートしていくつもりだよ? 平和のために、ね」


「…正論だね~」

あっさりと認める夢芽。しかし、

「でもね? 私は世界が思い通りに動いてくれないのはイヤ。それに、イズミンが私と同格なのも悔しいのっ! 最強は私だけでいいのにっ!」

理解不能な発言は続いた。


「どうしてこうも平和になっちゃうのか不思議だよね~…。荒れてた国もあったのに、何だかんだ話し合いで平和になっちゃう。そんなだから、いざ戦争になった時には対応できなくなるんだよぉ…」

まるで戦争国家が言いそうな意見だ。


「…さっきから意味が全く理解できないし分からない。目を覚ませよ」

拘束バインドを強引に解き、泉美は地に立つ。


「夢芽? ちょっと痛い目に遭わないと危ないみたいだね…」

泉美は、戦闘態勢になる。


「…へぇ~? イズミンも、全く理解してくれない人達の味方なんだ~? …じゃあ死んで?」

夢芽も、戦闘態勢になる。



高良姉妹の闘いが始まった………


 

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