深奥
ーーーー……
最奥部へ向かう途中の、泉美と夢芽。
「私の産まれ故郷には、誰も入れたことがないんだよ…」
唐突に、そう話し始める夢芽。
「孤独…だったんだな、夢芽は」
出自を聞いてからと言うもの、一緒にゆっくり歩きながら会話を交わす泉美。
「飛んでいかないのは、イズミンとゆっくりお話しながら行きたいからだよっ♪」
わざわざ地に足を着いて歩きながら向かう夢芽。
しかし、その歩く先には、地平線しか見えていない。一体どこまで行くのか…
「…もう2時間くらい歩いてない?」
少しばかり疲労を感じ始める泉美。だが、
「え? まだ2時間程度だよ?」
と、まるで時間感覚が狂っているような発言をされた。
「こ~のくらいで疲れないよ~♪」
人間らしからぬ言動。歩くのが好きすぎて、感覚が麻痺しているようだった。
「…ところで」
泉美は、話題を変えて質問する。
「夢芽…お前は一体、どの部類の……」
生物なんだ?、と言おうとした時、夢芽が、
「ん、着いちゃった…♪」
と、最奥部に着いたことを宣言する。
「…いいや、後で聞くよ」
泉美は質問を後回しにした。
「…あれっ?」
少し立ち尽くして、泉美は、その異変に気づいた。
「何もないよ…?」
そう言った時だった。
何やら温かい光に包まれ、夢芽と泉美は、異空間へと飛んだ。
しかし、その異空間は、今まで見たモノとは全く違い、それはまるで進化を遂げた未来像のような街に見えた。
「…この世界が最奥部だよ、イズミン♪」
ついに泉美は、夢芽の故郷に辿り着いた…




