関係
「そういえば、泉美とニェンテ…まだ戻ってないね…」
不意に智歌が、こう呟いた。
ーーー……帝国付近、異空間。
「これだからイズミンの能力はコピー出来なかったんだ…」
1時間あまり闘い続け、夢芽は泉美の総性造爆を見抜いた。
「イズミンは、自分で気づいてる?」
唐突に、そんな質問をしてくる夢芽。
さすがに戸惑い、聞いてみる泉美。
「な、何に…?」
すると、こう答えた。
「それ、超能力でも魔法でもない…」
「…そんなバカな…」
有り得ない、という風に泉美は軽く流そうとしたが、夢芽は続ける。
「イズミンの能力が超能力なら、何かの前触れナシには発動できないハズだよ? もし魔術なら、詠唱は不可欠…声に出さないと発動できない。もしも魔法なら、魔素を利用した魔力を使いこなさなきゃいけない。これらの概念の外には、シェガンゾフ一族の“無源魔能”があるけど、あれはあれで周りの物質を利用したり増幅したりして出来る技なんだよ? …でも、イズミンは、どれにも当てはまらないの…」
今までの概念を覆した神秘能力。それが、泉美の
“総性造爆”
だというのである。
「…それって、これのことかな?」
怒りをコントロールし、禍々しき呪いの眼の爆膨圧眼を見せる。
「感情でコントロールできる能力…とでも言い換えるの?」
率直な質問を夢芽にぶつける。
「それとは違うかな~…。確かに私に爆膨圧眼は真似できないよ? けど、それじゃないんだよね…」
夢芽は続ける。
「イズミンだけじゃなくて、霧龍 鉄雄の能力も真似できない…」
そのとき泉美は、以前に聞いた話を思い出す。
(人間と人造人間…その間に出来た子供は、特異な存在…。それを
“混在人間”
って名付けてたっけ…)
そう。羅宇と対峙した時のことである。
「…でも、夢芽も私と同じハズだよね?」
考えていたことが口に出てしまった。
「えっ!?」
そのぼやきに驚きを隠せなかった夢芽。
「な、なんの話ぃ?」
「だって、夢芽も母さんの腹から産まれた子だろ? だったら、夢芽だって“混在人間”のハズ…真似できるハズだよな?」
しかし、実は…
「えっ、何それ!? 初めて聞いたよ…」
夢芽は、混在人間では無いのだ。
「…あれ!? …えっ?」
戸惑いと疑問が脳内を駆けめぐり、泉美は、少し混乱している。
「…ちなみに言っておくとね?
私の父さん、羅宇じゃないんだ~♪」
「っ!!? え、うそ…!?」
突然の、夢芽の告白……
どうやら、これには複雑な事情があるそうだ………




