クラスメイトの彼は
『お掛けになった電話番号は、電波が届かない……---
鉄雄は電話に出ず、繋がらなかった。時間帯は、いつもなら自宅に帰宅してるはずの夜8時。
「あれっ? …鉄雄、電話に出ない…」
「あら、珍しいわね…? まぁ丁度どこかに出かけてるのかもしれないわね」
母親も、彼が電話に出ないことには少し疑問を抱いた。
「うん……まぁ、後で掛け直してみる」
そのころ、鉄雄は……
裏世界から平和な一般世界に戻ってきた。
「ふぅ……。戻ってきたし、そろそろ帰宅しよ…」
ある公園から自宅に向けて足を向ける。その時、謎の男にすれ違う。
その男は俯きながら歩いていて、鉄雄に当たってしまう。
「っ! …おいテメェ、ちゃんと前見ろや!」
と、その男に殴りかかった時、異変は起きた。
自分に似た何かを感じ取った鉄雄は、その男から距離をとる。
そして………
「霧龍…鉄雄、だな?」
と、その男は質問してきた。
「っ!? あ、あぁ…オレが霧龍 鉄雄だけど?」
そう答えた直後、男は驚きの発言をする。
「よろしく、超能力者さん」
なぜか鉄雄の正体を知っていた。
「な、何故それを!?」
「同じクラスメイトなのに気づかないとは…鈍感だな」
偶然にも鉄雄のクラスメイトだった。
暗闇に照らされる街灯に顔が照らされた時、その男の正体を知った。
「お前は……倉井…!」
倉井 終矢
前髪でほとんど目が隠れていて、茶髪。常に首もとは隠している服装でいる。
そんな彼も、鉄雄や泉美と同じ超能力者だった。
「よろしく、霧龍くん」
終矢は、鉄雄の正体を知っている。だが、ここでは伏せる。
なぜなら『裏世界での問題を一般世界に持ち込まない』のが彼のモットーだから。
(…そういやコイツ、あの時の…)
鉄雄は、どこかで終矢と会っているようだ。
終矢と分かれて、鉄雄の携帯が鳴る。
プルルルル…。泉美からの電話だった。
それを受け取り、電話に出る。
「あ、もしもし?」
『もしもし? …やっと出たね…』
「悪い悪い、ちょっと出掛けててな。んで、何かあったの?」
『あ、えっと…今度、もし良かったら食事会しようと思って。今日から丁度2週間後なんだけど、大丈夫?』
「食事会か…! ちょい待ち!」
鉄雄はスケジュールを確認し、泉美にこう答えた。
「わりぃ! 違う日にズラセないか? 丁度その日、用事あって無理だ…」
その用事とは、実は……----
『……うん、いいよ。日程が決まったらまた連絡するよ!』
「うん、サンキューな!」
そして電話が切れる。
この時、泉美は……
(…何だろう? 鉄雄、何か隠してる気がする…)
やはり幼なじみだからか、何かと変化を感じ取ってしまう。
一方で、鉄雄は……
(…ヤバいな…。これ、バレたら俺らの関係が終わる…)
何かを本当に隠していた…。
いったい、鉄雄の身に何が起きてしまったのか……-----




