Twin - Flash
ーーーーー………
某所にて。
「イズミンのチカラって、暴走するとあ~なっちゃうんだね~♪ いや~凄い! けど、あの“破砕の詠”を死なずに使えるのは、私だけかな~♪」
どうやら泉美と関わりのありそうな女は呟いた。そして、
「だけど、破壊神の一員の亜久未と、二輝幻将の円が共闘してるのは何故かしら~? 敵対してたハズなのに、復興支援中に仲良くなるなんてぇ~!」
顔に見合わぬ変な喋り方で、呟いた。
ーーーーー………
破砕の詠を抑えようと必死になる円と亜久未。そして、智歌。
3人で抑えた結果、その詠唱は止まった。
「ふぅ…良かった」
安心する円と亜久未。それにつられて、
「表の世界は破壊したくないから、良かったわ…」
と、智歌も安堵の表情に。
「それはさておき…」
唐突に話題を変える智歌。
「久しぶりじゃない? 亜久未…」
と、亜久未を知っていたことを口に出す。
「…えっ?」
疑問に思うが、よーく見てみたら知っていたようだ。
「…あ。もしかして“歌聖神” 智歌?」
「そうよ♪ 久しぶりね」
懐かしの友に出会えたことで嬉しくなり、とてもテンション上がっている智歌。
「久しぶりだねっ!」
亜久未も、とても嬉しくて抱きつく。
「…亜久未? その人と知り合い?」
素朴な疑問をぶつける円。
「知り合いも何も、旧友だよ! 懐かしいなぁ♪」
そう答える亜久未。
………だが、それも束の間だった。
「ごめんね? 亜久未…」
次の瞬間、彼女の背中に高圧電流を流し、気を失わせようとした。
「…何のつもり? 智歌…」
高圧電流は効かず、そのまま智歌に反撃する。
その反撃は、雷をまとい、放出していた。
ビリビリと伝わってきた痛みに智歌は悶え、亜久未から距離を取った。
「っ!? あ、相変わらず電気は通じないか…」
そう言った智歌に、亜久未は答える。
「ボクの能力、知ってるよね? 忘れたとは言わせないよ…」
第28部“復興ーRemakeー”にて、亜久未の能力を披露したのは覚えているだろう。
それは…
“身傷治癒”
…しかし、それとは別の何かを持っている事は間違いない…。
「忘れるワケないじゃないの。親友のあなたの能力を…」
“電光操作”
電気や雷、光を操り、攻撃等をする能力。
「…なら、さっきのスタンガンは何? 忘れてないなら、効かないのは知ってるよね?」
「ふふ、それは試したのよ。どんなに数値が大きくても防ぐのか、ね。結局は超高圧にしてもダメなんだって分かったけど」
忘れたのではなく、あえて試したのだと言う。
「…ボクが“元・二輝幻将”っていうのも知ってるよね?」
そう。実は、亜久未は元・二輝幻将…。
ーーーーー………3年前。
魔源域某所。
まだ破壊神が動き出していない頃の、二輝幻将本部。
「ただいま戻りました、天世様」
礼儀正しく、帰還したことを伝える亜久未。
「うん、お疲れ様♪ ゆっくり休んで?」
優しく手を差し伸べ、部屋の前まで見送った。
そして亜久未が部屋に入ったあと、天世と羅生率いる移次元警官、それと彩夏たち二輝幻将による合同会議が開かれた。
羅生「破壊神に潜入し、その活動報告を通信してほしいのだが…誰が良いのだろうか?」
天世「それなら…」
彩夏「亜久未が適任なんじゃない? 今のところ亜久未は破壊神に顔バレしていないし…」
羅生「そうだな。少し酷だが、そうするしかないだろう…」
こうして、亜久未が破壊神潜入捜査の要因となった。
翌日。速攻で破壊神のアジトを探しに行く亜久未。
しかし、そう簡単に見つからなかった。が…
「何か探してるのか?」
と声を掛けてくれた若者の市民。
その質問に、こう答える。
「実は、破壊神のアジトを…………」
事情を説明した後、市民は答えてくれた。
「それなら、頼んだよ。アジトの場所は、あの要塞の地下深くにあるから…」
と、場所を知っていたから教えてくれた。
「ありがとう…」
感謝をし、亜久未は破壊神のアジトへ向かう。
…その時だった。
入り口付近で、数人に囲まれる。
「な、なんだ…!?」
状況が把握できなかった亜久未。そんな彼女の前に、破壊神は現れた。
「初めまして。よくここを見つけたな、歓迎するぜ?」
と言った直後、亜久未は両腕と両足を押さえられ、能力解除鎖を取り付けられ、抵抗できず、捕まってしまった。
「っ!? な、何これ…っ!!」
「大人しくついてこい」
そう言った破壊神に向けて能力を発揮できずに為す術ないため、大人しく連行されることにした。
…そして、最深部。
ここに着いた時、破壊神は、
「…貴様、潜入捜査しに来たんだろう?」
と言った。つまり、亜久未の正体はバレていたのだ。
「そんなつもりは無い…」
と言ったが、その直後、
「嘘ついても分かるんだ。正直に言え…」
と言い、亜久未の全身を鎖で縛り付けた。
「私は、破壊神になりたくて…」
その発言途中、破壊神は鎖に電気を走らせた。
「っ、い゛ぁぁっっ!!!」
痛みに悶え、体力を急激に失う。
「嘘をつかずに正直に言えば、電気は走らせないぞ? ほら…」
また電気を流し、拷問する。
「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁっ!!!」
悶絶し、息を切らせながら、正直に答えた。
「ぼ、ボク…ツ、二輝…幻将の一員…で、今回…潜入捜査、しに…来た…」
正直に打ち明けた。
「そうか…そうだと思ってたよ。それじゃ、行方不明しな…」
打ち明けたにも関わらず、破壊神は電気を流し、亜久未を拷問し続けた。
「ん゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁっ!!!」
正気を保てなくなり、亜久未は…
「…も、もう……やめて…」
と、泣きの一言を呟くが…それでも止めなかった。
「ん゛う゛う゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁっ!!!」
………拷問され、24時間後。
野垂れ死にかけている亜久未。破壊神は そんな彼女の記憶を操作し、破壊欲を植え付けた。
そうして亜久未は、破壊活動に参加してしまっていた。
その連絡を破壊神から受けた天世は、その記憶操作の事を隠し、
“滝宮 亜久未 は、私たちを裏切った”
として、二輝幻将から除名された…
「ごめん、二輝幻将…。ごめん、移次元警官の皆様…ッ」
………ーーーーー
「ふふ、それは聞いたことあるわね♪」
智歌は不意にニヤリと笑う。
「…まさか天世も破壊神の一員で、その破壊神が鉄雄だったなんて、予想だにしなかったけどね…」
昔を悔いて、拳を握る亜久未。
円は、この真実に驚きを隠せなかった。
「亜久未…。そんなツラい環境に生きてたんだね…」
「過去話は良いから、さっさと私の表現詠唱の前で沈みなさいよ♪」
再び、戦闘が始まる。
…その頃、泉美は…暴走の反動で気を失っていた…。




