Runaway & Overload
「くっ…! これは不利…」
彩夏は、空間支配を駆使しながらも、自らの不利な状況に舌打ちする。
「勝ち目は無いわ。アタシの勝ちよ♪」
表現詠唱を駆使し、彩夏を圧倒していく智歌。
少しだけ、智歌の表現詠唱が進化していた。
彩夏と戦っている最中、一度も“口に出して歌っていなかった”のだ。
つまり、脳内詠唱で歌唱しても効果が発揮されることを、この戦闘中に発見したのである。
そのキッカケは、泉美と羅生を拘束した時…さっきだ。
脳内で歌っていれば、いつ攻撃が来るか、いつ発動するか、読まれずに出来るからである。
「ふふ…」
しかし、一度攻撃を止め、
「アンタ、名前は?」
と、彩夏に名前を聞く。
「私は“清海 彩夏”…」
こう明かした時、智歌は驚いていた。
「…まさか、アンタ二輝幻将の…」
そう。神都カンゾーネが恐れている存在のひとつで、神都内では、最強の破壊神と称されていたのだ。
「そうよ。“歌聖神”さん」
歌聖神の智歌と同等のチカラを持っている彩夏。だったのだが、表現詠唱のチカラは無限…彩夏の能力は有限だった。
「…二輝幻将は破壊神…それは昔から、神都カンゾーネで言い継がれていた…だから、この場で“宝庫”ごと二輝幻将を撲滅させるわ…」
また脳内詠唱し、攻撃を繰り出していく。
それを受けきる彩夏だったが、次第にチカラが膨大になり、受けきれなくなっていた。
「うぐっ…! こ、このまま…じゃ…っ…」
段々に防御が甘くなり、甚大なダメージを負い、彩夏は立ち上がることが難しくなっていた。
「さ、彩夏さん…ッ」
そう呟いた泉美。
この瞬間、禍々しき呪いの眼が発動し、オーラ値が膨れ上がり、拘束を破壊した。そして、予想だにしない数値を叩き出した。
オーラ値を見れる羅生が、呟いてしまう…
「…い、∞…!?
す、数値では測れない…だと…ッ!?」
上限値を越えたどころか、上限なく増幅するという意味合いで、測定機器が“∞”と表示していた。
泉美のオーラ値は、無限に増幅していく……




