Sacred Queen
“歌聖神”
歌をチカラの源とし、それに乗せて歌った詞に応じてチカラを得る種族。
魔源域よりも昔から存在していた『古代の超魔術』と恐れられているチカラを宿す都市“神都カンゾーネ”に住まう。
その中でも、ずば抜けて強かったのが智歌。
「表現詠唱のチカラに勝てるモノなんて、この魔源域には存在しないのよ♪」
挑発してくる智歌に、羅生は応える。
「予想だにしない能力者だっている。歌には成し得ないチカラだってあるのさ。…だからこそ魔源域は“宝庫”なのだよ」
と、何かを暗示する言葉を発する。
それに乗るように、彩夏が続ける。
「そう。いろんな能力で遊んだり、戦ったり、便利に使ったり…。そういうことが出来るけど、1人ひとりバラバラ…だからこそ“協力”するのよ? それが魔源域の魅力、そして、“宝庫”と呼ばれる由来。私と羅生は、このために魔源域を開発したのよ」
…そう。羅生だけでなく、彩夏も
“魔源域の創設者”
の1人だったのである。
「…そっか…」
少しボロボロになりながらも、まだ体力がある泉美が立ち上がり、言う。
「彩夏さんが…この世界のことを“宝庫”って言ってた理由…いま分かったよ…」
「ど、どこでそれを…っ!?」
実は、第11話『もう一人のダークマター』にて発言しているが、その時に聞いていたのはバルミと志乃美だ。
だが、何故それを知っているのか…
泉美は、こう告げた。
「母さんが言ってたんだ。彩夏さんが『この宝庫は守りきる。そのつもりで二輝幻将の副団長やってるから…』って言ってたのを聞いたって。私が彩夏さ…いや、『生徒会副会長と知り合った』って言った時に…ね」
それを聞き、彩夏は語り始める。
「…ん、そうよ。今でも魔源域のことを“宝庫”って呼んでるのは、それが理由よ。そして私は、天世さん直属の副団長…」
と、ここまで語った時、智歌が動き出した。
「言葉遊びは良いから、早く死になさい♪」
またも歌い始める。
「眼の先にある障害
この歌の前で殲滅されるべし
我が身全体にチカラを宿して
強行突破 進撃よ♪」
身体全体に神のチカラを宿して、猛突進する。
その速度は神速。だが、ここには神速に対応できる者ばかり。
彩夏が対峙した。
「…“逆応”…」
表現詠唱のチカラを逆流させることを試みて逆応を図った…
…が、しかし!
「…!? な、なんで…」
逆流することは無く、攻撃は止まらなかった。
「…今のは“逆応”でしょ?」
なんと、彩夏の逆応を、智歌は知っていた!
「悪いけど、歌は“魔法”じゃなくて“言葉”…逆応が効くのは“魔法”だけよ?」
そして、逆応の効能も知っていたのである。
「…くっ…」
逆応が使えない今、空間支配にしか頼れなくなる。
…この時、智歌は脳内で
「無関係の人員に束縛を♪」
と歌っていたために、泉美と羅生を拘束していた。
2人が縛られた今、彩夏しか智歌と戦えない…
最悪な状況になってしまった…




