泉美、覚醒
ーーーーー…某世界、某所。
『にしても、まさか終矢が元凶だったとはね………』
謎の女が呟く。
ーーーーー……裏世界、泉美と終矢・バルミ。
「…これは、ピンチだね…」
泉美は今までにない窮地に陥った。
「俺に負けは無い」
そう呟く終矢。その右手には魔力が集中していた。
それを感じ取った泉美は、全身に“覇力”を込める。
…今まで話さずにいたが、この世界には、3つの“チカラ”が存在する。
魔法を純粋に使う“魔力”
人間の極限のチカラを引き出して使う“能力”
気功により生まれたチカラを使う“覇力”
その全てを極限まで高めた泉美。
終矢は“覇力”に関しては皆無と言っていいだろう。
しかし、終矢の魔法は限界を超えている数値なのだ。
それにより、2人のチカラは拮抗するのだ。
「終矢…」
負けることがないと宣言した終矢に、泉美は覇力を使って見せた。
「あんた、このチカラは知ってる?」
人に触りもせずに、終矢の鳩尾にパンチのような空間攻撃を与え、差を見せつける。
「うぐぁ…!」
不意に一撃を喰らった終矢は、大ダメージを負ってうずくまる。
この攻撃を出した時、泉美は気づいた。
(…あっ。覇力を使えること忘れてた…)
…そう。先ほどの力量分散。
もし覇力を使えることを思い出していたならば、きっとそれで抵抗し、その場で分散させることも可能だった。
この時から、泉美は覚醒し始める。
攻撃体勢に移った時に、覇力を混ぜ込むようにしたのだ。
「終矢は身につけてないようね…。このチカラを」
「今まで喰らったことないな…こんなチカラ…。いったい何をした…?」
こう話してる最中でも、泉美は終矢に覇力を使った。
何も見えず、何も感じず、ただただ攻撃をくらう一方の終矢に、勝機は見えてきた。
…しかし泉美は、終矢に集中しすぎて……
「アタシが居ること忘れてた? ふふっ」
と言い捨て、泉美の背後にバルミが立っていて、チカラを込めて攻撃体勢になった……
泉美、本当にピンチ…!
この窮地を凌ぎきれるのか……ーーーーー




