エフティルシパ王国
……バルミvs綾巻。
「チッ…鉄雄は負けたか。でもアタシは鉄雄よりも強い…」
ぶつぶつと呟きながら、バルミは言う。
「バルミ…貴女は鉄雄よりも弱いと思うわよ?」
綾巻は、得意の“超分析”を使い、戦闘力を測った。
「アンタに何が分かるってのよ?」
「分かるわ…全て、ね。私の異名、知ってる?」
「……」
沈黙し、バルミは右目で見破る。
「…“超分析”…」
「そう、正解」
その刹那、綾巻はスッと素早く動き、右足を垂直に蹴り上げる。
その蹴りを見破っていたのか、バルミは身軽に回避する。
しかし、それを見破っていたのか、綾巻は軸足の左足で前蹴り。右足を素早く地面に着けた。
その蹴りを難なくかわし、バルミが手に気を込め尖らせ、綾巻の鳩尾を狙ってチョップを繰り出す。
それを先読みして、防御の気力を鳩尾に集中させ、難なく防御した。
そこで綾巻が少し距離をとり、続いてバルミも距離をとる。
……その動きに、なんと1秒もかかっていない。それの繰り返しを、2分以上は続けていた。
とても速い動作でありながら、確実に仕留めに行く2人。
「なかなかしぶとい…っ」
少し息切れしているバルミ。それに対して、
「…手応え無いわね、バルミ…」
ほとんど息切れせずに、あれほどハードに動く綾巻。
「…一気に潰そうかしら?」
身体全体に気力を込め、全力を尽くそうと言わんばかりの態勢に。
…その時だった。
何やらバルミの様子がおかしい。
「う…が……ぞ………む…で……」
何やら意味の分からない言動を始め、みるみるうちに戦闘力が段々に上がっていく。
「まずい、止めないと!!」
綾巻は真っ先に気づき、すっ飛んでバルミを止めようとしたが…周囲の空気が、まるで磁石の反発のように、何人たりとも近づけなかった。
「アタシを止められるもんなら、止めてみなよ!」
完成したバルミは、まるで操られているように動き始めた。
そして、神速で動作し、攻撃力や防御力も上がっていた。
こうして戦闘してる中で、真実に気づく泉美。
「…まさか、バルミは…」




