19話目 初の学園で気負い
パツキン(死語)ツインテールの物騒女は怒りの形相を浮かべていた。
「許さないんだからーー!」
ドドドドドドドドドドドド!!!
「んぐぅっっっ!!」
ミニガンから放たれる圧倒的量の魔法弾!流石の俺でもちょっと痛い!
「フセぐので……ゲンカイかも!!」
スーノは太陽の魔法具で吸収をしているが長くは持たなそうだ。
このさっきと比べ物にならない攻撃力は……
「一年特待科生徒会所属の《リリー》がこーはいちゃんのために!あんたらを潰す!」
成る程、これが生徒会ってやつなのね。
スーノは引き気味で《リリー》に話しかける。
「うげぇ……《リリー》ってヤクショクが《爆速》のぉ!?」
《爆速》ってどういう役職なんだろう。書記とかいないんだろうか。
「それ以外のリリーがどこにいるのよー!」
なんかキレやがった!沸点低過ぎるだろ!
ドガガガガガガガガガガガガ!!
「うがっっ!」
弾幕が更に激しくなった!!
魔法の発動はおろかリリーに向かって突撃すら出来そうにないっ!
反撃の隙間なく攻撃を与えるリリーはもう片方に持っていたロケット砲を構えた。
「これで!決めるっ!」
瞬間、赤、青、黄、黒、白の五色の光がロケット砲に装填されていく。見ただけで分かる濃密な、息を呑むほどの魔力量。
あのロケット砲に五属性が宿っているんだろうか。本来なら1人1属性のはず。だとしたら魔導兵器という言葉の意味も分かる気がする。人外レベルの代物なんだろう……
そこでスーノが取った行動はと言うと……
「ごめんライクンもうムリ」
脱兎の如く。逃げる。
「えっ、ちょ、スーノ……」
戸惑っている暇など無く、リリーは叫ぶ。
「奥義爆速!魔導五彩砲『蓮華』!!」
きぃぃぃー―……んっっ!!
「果てしなく厨二じゃねえか!!」
思わず俺も叫んでしまったが、リリーは意味が分かっていないのか気にする様子もなくまた高らかに声を上げる。
「女の子に手を上げるなんてどういう教育うけてんのよ野蛮人!」
そんなにあの《こーはいちゃん》を倒したことを怒っているのだろうか。たしかに俺もラーテムがやられたら怒る――アレ?
「《こーはい》って、お前一年生じゃねえの!?」
学年が違う《後輩》なんだとすればこの大会には(スーノ以外)一年生しか出ていないはずだ。こいつもまた特例なのか……?
そんなことを考えていると、リリーはまた声を上げる。
「……かったわね……」
「……え?なんだって?」
「……留年で悪かったわねーー!!!うわーーん!!」
どうやら心の傷をえぐってしまったようで、大号泣してしまった。
「あたしだって、ひぐっ、好きでこの大会に出てるわけじゃっ、うぐっ、ないのよっ!」
本格的に泣いてやがる
「あー、ごめん?」
「謝るんじゃあないわよ!余計にダメージ増えるわ!」
「そ、そっか……」
◎ ◉ ◎
「……あ、着弾しそう」
「おせーんだよ!」
キーンという高音と響かせながら五色の2m四方の大きな魔法弾が「ゆっっっっっっくり」とこちらに向かってくる。
「当たるとでも!?」
「先輩にも『《爆速》の役職は間違いだった』って言われたわ」
やれやれだわーみたいな顔するんじゃねえ。
「しかあし!この至近距離ならあんたをハチの巣に出来るわねえ!?」
急に勢いを取り戻したリリーはまたミニガンを構え立ち上がった。
ドダダダダダダダダァッッッッ!!!
リリーはミニガンを素早く構え掃射し始めた。
しかし来は、もちろん意に介さず。
「俺は銃なんかよりもずっと速い……のはさっきの戦闘で実証済みだよ……ねっ!」
瞬時に来はリリーの真後ろに回り込み……手を回すが!
「ライくんストップムダだそれは!」
「スーノ!?いつの間に!」
スーノが片手を上げ俺に静止の声をかける。
がしかし勢いを殺すことはできず、
ドゴッ!
手刀を叩き込んだ。
「手応えは……ある。なにが無駄なんだ?」
「ライクンカマえて!ハヤく!」
スーノはやたらと焦っている。
ふと気づくと目の前にいたはずのリリーがいない。
「まだ先輩にも見せてないってのになんで分かるのかしら。スーノちゃんはやっぱり謎ね」
後ろか――っ!
「無駄だわ!無駄無駄!」
振り向きざまに目の前に広がったのは五色の光だった。
「やべ……っ」
「!!!……ライクン!」
きぃぃいいいん!
「ぐぁぁっ!」
身体中が焼けるように熱い!魔力で押しつぶされる…っ!
「あたしの勝ちね!あーっはっはっは!」
腕組みなんかしてやがる。
あぁ…俺、負けるのか…?
身体が痛い……。
……ダサいな、俺って。
………が……ま……
◎ ◉ ◎ ◉
「仇、とったり!」
「…………ライクン」
「スーノちゃんだけなら見逃してもいいわ!あたしは寛大だから!」
「……そう」
「いやー、久し振りにあの弾当たったわー」
「……でも」
「……でもってなによでもって!……何唖然としてるのよ?」
「そう…でもなさそうなんだけど」
唖然とするのも無理はない。何故なら。
「痛た……久し振りに自分の血を見た気がする」
防御した腕にかすり傷が付いている。
「生きてる……?なんっっでよ!当たったはずでしょ!?」
リリーは最早悲鳴に近いぐらいの声を荒げる。
「俺はチーターだぞー、がおー…なんつって」
「意味分かんない!」
「いやライクンほんとにボクもイミがワかんない」
「うーん、まあ知らなくても良い事もある、みたいな?」
ゴガッッ
「かはっ……」どさっ
光がリリーを包みやがて消える。
◎ ◉ ◎
「あー疲れた、あれ?もう一人も近くにいるんじゃないの?」
「そ、それならニげてるうちにタオしておいたけど……それにしてもライk……」
「それは良かったはいはいじゃあ次の生徒会に出くわす前に生き延びる方法考えなきゃなー」
「……なんか、ロコツスぎない?」
そんなジト目で見られましても。
とりあえず、一件落着、ではある。




