悪役令嬢に仕立てて婚約破棄しようと計画を立てている話を聞いてしまった!
名前を借りました
ある日、私、伯爵令嬢のラーは、とんでもない会話を聞いてしまった。
「早くイシスと婚約したいが、ハトホルとどうやって婚約破棄しようか?」
侯爵家の三男のオシリスと、男爵家の令嬢イシスが裏庭でこっそり話をしていた。
「それなら、ハトホルを貶めて、婚約破棄する理由を作りましょう」
意地悪そうなイシスが言った。
ハトホル様は、公爵令嬢で、オシリスの婚約者だ。
「それは良いな」
「悪役令嬢のハトホルにいじめられた振りでもしましょうか?」
「悪役令嬢か。あのツンケンした女ならやりそうだな」
「ハトホルに突き飛ばされたと、わざと転んだり」
「罵られたとかな」
「良いですね」
「ハトホルを悪役令嬢に仕立てて婚約破棄すれば俺達は結ばれる!」
「あぁ…早く堂々とオシリス様と付き合いたいわ」
「可愛いやつめ。これは、俺からのプレゼントだ」
オシリスは、イシスにブローチを見せ、イシスの制服の胸元に着けた。
「ありがとうございます!」
「やっぱりこの大きさじゃないと」
オシリスはイシスの胸を揉みだした。
「もう!オシリス様ったら」
2人がイチャイチャし始めたので、その場から離れた。
酷い人達。浮気したのに、何も悪くないハトホル様に冤罪を掛けて婚約破棄しようだなんて。
ハトホル様は、気高く優しい。
入学したばかりの頃、礼儀作法が怪しい私に、クラスメイトだからと、根気よく礼儀作法を教えてくれたのがハトホル様だった。
よし。邪魔してやろう。
ハトホル様が歩いていると、イシスが近付き、わざと転ぼうとした。
「アチョー」
と言いながら、私はイシスに駆け寄りぶつかった。
「きゃあ!」
イシスが転ぶ。
「あぁぁぁぁ~!すみませんすみませんすみませんすみません」
叫びながら私は走り去った。
またある日は、ハトホル様に近付き
「酷いわ!」
と叫んだイシスに向かい
「ブスがふざけんな!」
と、叫びながら走り去る。
呆気に取られるイシス。
そんな事を何度か繰り返していたら、ハトホル様に呼び出された。
ハトホル様は、イシスや他の生徒がいる前で、私に尋問した。
「貴方、一体どういうつもりなの?」
「どう…とは?」
「毎回イシスさんにぶつかって」
「悪いとは思っています」
殊勝な態度で私は言った。
「それならやめなさい」
「信じてもらえないかと思いますが」
私は、ハトホル様に真実を伝える事にした。
「何かしら?」
ハトホル様は首を傾げた。
「オシリス様とイシスが浮気しています!」
「「何ですって!?」」
イシスとハトホル様が同時に言う。
「オシリス様とイシスが『ハトホルを悪役令嬢に仕立てて婚約破棄すれば、俺達は結ばれる』と話しているのを聞いてしまったのです!」
「「はぁ!?」」
イシスとハトホル様、息ぴったり。
「だから私は、ハトホル様に突き飛ばされた振りして転ぼうとしたイシスにぶつかりにいきました」
「そんなの嘘よ!」
イシスが叫んだ。
「その時にブローチをもらってましたよね!その胸に着けてるやつ!」
「ヴァッ!」
ヒロインは変な声を出した。
「オシリス様はイシスにブローチ着けた後に胸揉んでましたよね!」
「ヴァッ!」
ちょうど通りがかったオシリス様が変な声を出した。
「『やっぱりこの大きさじゃないと』って言ってましたよね」
「「ヴァッ!」」
イシスとオシリス様が変な声を出した。
「私が悪役令嬢です!断罪なりなんなりしてください!」
私はハトホル様に言った。
「よく分かったわ。話してくれてありがとう」
ハトホル様は私に向かって微笑んだ。
「ま、待てハトホル!そいつの言う事を信じるのか?」
オシリスが慌てて言った。
「私が何も気付いてないとでも?」
ハトホル様は冷たい目をオシリスに向けた。
「な、何を…」
動揺するオシリス。
「イシスさんの香水の匂いが、オシリスからいつも漂ってくるのよね」
ハトホル様が言った。
「「ヴァッ!」」
イシスとオシリスが変な声を出した。
「オシリスのお望み通り、婚約破棄してさしあげます。オシリス有責で」
ハトホル様が言うと
「ま、待ってくれ!誤解だ!」
慌ててハトホル様に縋るオシリス。
「お2人が早く婚約できるように尽力しますね。では、ご機嫌よう」
ハトホル様は、縋るオシリスを置いて去っていった。
呆然と立ち尽くすイシスとオシリス。
2人を冷たい目で見る生徒達。
その後、ハトホル様とオシリスの婚約はオシリス有責で破棄された。
オシリスは侯爵家の三男だったから、ハトホル様と結婚して公爵家に婿に入る予定だったが、冤罪を掛けて勝手に婚約破棄しようとしたので、家から勘当され、平民になった。
イシスも、公爵令嬢に無礼を働いたとして、家から勘当され平民になり、オシリスと無理矢理結婚させられた。
2人は、とても苦労しているらしい。
ハトホル様は、従兄弟で新しい婚約者のアモン様と幸せに過ごしている。
お世話になったハトホル様が幸せになり、良かった良かった。
私は、ハトホル様にお礼を言われた。
そして、紹介してもらったクヌム様という方と婚約して、幸せに過ごすのだった。
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