表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
129/132

17-2 ブラックアウト・シティ

 午前六時。

 横須賀市を管轄区域に含む変電所のコントロールルーム。

 当直職員たちは、突如送られてきた「内閣総理大臣命令」という極秘ファックスを前に騒然となっていた。

 そこには非常時ですら紙でやり取りする、旧態依然とした文化が厳然と存在していた。


「おい、これ本物かよ!?全域停電だってよ!」

「緊急保安命令だそうです。テロ対策の一環として通信網の遮断テストも兼ねていると……」

「バカな!予告なしかよ!信号機も止まるんだぞ!事故が起きたら誰が責任を取るんだ!」


 所長の男は震える手で緊急用の通話機――官邸とのホットラインを握りしめていた。

 受話器の向こうから、内閣情報官が冷徹な声で実行を迫ってくる。


「分かりました。やります。やればいいんでしょ!」


 所長は半ばヤケクソ気味に叫ぶと、職員たちに向かって怒号を飛ばした。

「3、2、1……系統遮断!」


 職員がメインコンソールのスイッチを操作する。

 その瞬間、メインモニターに表示されていた市内の電力供給を示す緑色のランプが、次々と赤色に変わり、やがて全てが消灯した。


       ◇


 突然に光と音が奪われた早朝の街に、異様な光景が広がる。

 コンビニの明かりが、街灯が、信号機の灯火が、一斉に消失した。

 早朝のニュースを流していたテレビの映像はプツリと切れ、冷蔵庫の稼働音が止む。


 横須賀市の通信基地局は全て停止させられ、アメリアが所有する人工衛星を経由した通信も止められた。

 市内では、誰のスマホを見ても「圏外」の文字。

 インターネットも使用できない。


 市内の道路では、信号が消えたことに気づくのが遅れた車両が、交差点で激しいブレーキ音を響かせ、あちこちで衝突事故を起こしていた。

 港に停泊していた船からは、非常用のサイレンが鳴り響く。


 ただならぬ事態に、多くの人々は家から飛び出した。

 しかし、そこには普段と変わらない景色が広がっている。

 違いといえば、街から明かりと通信手段が消えた点だけ。

 誰もが状況を理解できず、連絡も取り合えず、不安と恐怖に包まれていく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ