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16-9 ドリル天を衝く

 『マリーン・ゼロ』の機内でエリオット・ハルフォードは、モニターに表示された警告アラートに眉をひそめた。

 こちらに向かって猛スピードで接近してくる未知の敵。車両ではない。より早く巨大な何か。


「ヘリ部隊は未知の機体(アンノウン)の迎撃態勢に入れ!今すぐにだ!」


 エリオットが切迫した声で指示を飛ばす。

 一方で彼の対面にいる滝乃川岬は、妙な胸騒ぎを覚えていた。


 嫌な予感がする。

 あえて包囲網の真っ只中へ向かってくる謎の機体。味方であるはずがない。

 あの機体が遠隔操作で動く無人機でない場合、搭乗者は誰なのか。


 平泉は常に他人を利用して、自分は安全圏から高みの見物を決め込むクズだ。そんな男が自ら体を張って、アメリア軍に正面から突っ込んでくるとは考えにくい。


(まさか千景が……?)


 岬の思考が最悪の結論に至った瞬間、モニターの映像が切り替わった。

 ヘリのカメラが近づいてきた「未知の機体」の姿を明瞭に捉えたのだ。


「何だ、あれは……?」

 エリオットは、初めてみる異形の暴力装置に言葉を失った。

 まるでSFの世界に出てきそうな人型の機体。


 モニターに映し出されていたのは、全高五、六メートルほどの機体。ずんぐりとした胴体に、不釣り合いに長い両腕。その先端には建設現場で見かけるような、巨大な円錐形のドリルが装着されている。


 二本の脚部は太く短く、足裏にあたる部分にはキャタピラ代わりの多数の小型車輪が付いており、その巨体を支え疾走させる力となっていた。


 何より不気味だったのは、その頭部だ。

 人間のような顔立ちではなく、巨大な単眼カメラが一つ搭載されていた。

 さらにカメラの上にある額に相当する部分には、CMなどで見覚えのある「RISSAN(リッサン)」のエンブレムが輝いていた。


「まさか立産が……極秘に開発していたパワードスーツ……なのか?」


 エリオットが呟くのと、画面の中の鋼鉄の怪物が加速するのは同時だった。

 『レ・グラン』はドーン邸の広大な庭園に突入すると、緩やかな上り坂を助走台の代わりにして猛烈な勢いで駆け上がった。


 膝の関節部から激しく蒸気が噴き出し、バネのように伸縮している様子が見えた。

 重さ数トンはあろう巨体が、重力を無視して宙へと飛び上がる。


 狙いは低空でホバリングしていた攻撃ヘリ『グルヴェイグ』だ。

 ヘリのパイロットは回避行動を取ろうとするが、間に合わない。


 天高く突き上げられた『レ・グラン』の左腕。ジャンプと同時に高速回転を始めた巨大なドリルが、ヘリの腹部へ一気に突き刺さる。

 金属が金属を食い破る、耳障りで甲高い音が周囲に響き渡った。


「Aaaaaargh!」(うわあああっ!)


 無線からアメリア軍パイロットの悲鳴が伝わる。

 ドリルに貫かれた『グルヴェイグ』はバランスを失い、黒煙を噴きながら庭園へと墜落した。


 幸いにも燃料タンクへの引火は免れたらしく、爆発はしなかったがローターが地面を叩いて砕け散り、機体は横倒しになって停止した。


 獲物を一つ屠った『レ・グラン』は、着地の衝撃を車輪付きの足で巧みに滑ることで殺し、すぐさま次の標的を探すように頭部のカメラをギョロリと回した。


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