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第2話:古き誓いと新たな脅威

ドンスキーがミケネコカフェに居座ってから、カフェの雰囲気は日に日に重苦しくなっていった。ドンスキーは、他の猫たちを威圧し、彼らの自由を奪おうとしているかのようだった。ヒマラは以前のように遊び回ることもなくなり、物陰で震え、マンチは元気なく横たわっていた。バステトの神秘的な輝きも薄れ、その瞳には不安の色が宿っていた。


ミケは、この状況を静かに見つめていた。彼女は、遠い昔の記憶を呼び覚ましていた。それは、猫たちが世界を分け与え、それぞれが役割を担うことを誓い合った、古き誓いの記憶だった。しかし、その誓いを破り、すべての猫を支配しようと目論む者が現れるという予言も、同時に思い出されていた。ドンスキーこそが、その予言された存在、冥王サウロンの化身であることを、ミケは確信していた。


ある夜、カフェの照明が落とされ、静寂に包まれた時間。ミケは、バステト、ヒマラ、そしてマンチを呼び集めた。


「我らは、古き誓いを守る者たち。」


ミケの声は、闇の中で響き渡った。


「今、その誓いが破られようとしている。ドンスキーは、このカフェを、そして我らの心を支配しようと企んでいるのだ。」


ヒマラは、怯えながらミケを見上げた。


「でも、僕たちに何ができるっていうの?彼は、あまりにも強すぎる…」


マンチも、心配そうに首を傾げた。


「僕も、なんだか体が重くて、力が抜けていくみたいなんだ。」


バステトは、静かに瞑想するかのように目を閉じていたが、ゆっくりと目を開けた。その瞳には、再びわずかな光が灯っていた。


「彼に対抗するには、心と体の両方を清める必要がある。彼の闇は、我らの内なる弱さに付け入る。」


ミケは頷いた。


「その通りだ。だが、我らだけでは足りぬ。この脅威に立ち向かうには、もっと多くの力が必要となる。」


その時、ミケは、かつて彼女が守り続けてきた、小さな石の欠片を取り出した。それは、このカフェに平和をもたらすと言い伝えられる、伝説の「猫の宝玉」の一部だった。ドンスキーが現れてから、この宝玉の輝きは失われていた。


「この宝玉には、猫たちの絆が宿っている。」


ミケは言った。


「しかし、今、その力は弱まっている。ドンスキーの闇によって、猫たちの心は分断されつつあるのだ。」


ヒマラは宝玉を覗き込んだ。


「これをどうすればいいの?」


「この宝玉を、再び輝かせるのだ。」


ミケは答えた。


「そのためには、我らが協力し、カフェの隅々にまで、希望の光を灯さねばならない。そして、ドンスキーの支配を打ち破り、古き誓いを再び強固にするのだ。」


マンチは、短かった尻尾を軽く振った。


「僕、頑張るよ!みんなと一緒に!」


バステトは、ミケの言葉に深く頷いた。


「我らは、共に立ち向かう。知恵と勇気を結集させれば、どんな闇も打ち払える。」


ミケは、三匹の猫たちを見つめ、静かに言った。


「さあ、冒険の始まりだ。このミケネコカフェの平和を取り戻すために。」


こうして、ミケの言葉を胸に、猫たちの小さな抵抗が始まった。彼らは、ドンスキーの目を盗んで、他の猫たちに希望の光を届けようと試みる。しかし、ドンスキーの影は、カフェの隅々まで伸びており、その道のりは決して容易ではなかった。

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