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空間魔法は建設に

Pixivで書いていた小説をなろうにも投稿することにしました。楽しんで読んでいただけると幸いです。

 

 眠気で倒れたレイナは、そのまま体調を崩してしまった。


 そんなことでここ数日休みっぱなしだ。ちなみに村は急発展を遂げていて、その理由はヴァルトたち旧ミラビリス幹部の知識によるものだ。ヴァルトは空間魔法の使い手で、それを応用してパーツごとに家を組み立てることができる。便利すぎるだろその魔法!

 

 レイナが倒れてミストの家に運ぼうとした時、ヴァルトは


「ケンイチ様とレイナ殿の家はまだ無いのか?その場合は俺が建てれるが・・・・・」


 と言って、その言葉の通り、一瞬でレンガで作られた豪華な家を建ててみせた。そして他の竜たちにも、同様に家を建設し、更には会議室も二階建ての立派なものを用意してくれた。今回使ったのは空間魔法でしまっていた少量の材料で、さらに材料があればもっと良いものを建てれるらしい。今度何が必要か聞いとこう。


「それにしても一気に村が街っぽくなったなー。人口はめっちゃ少ないから家も豪華なだけで少ないけど」


 そんな独り言を呟きながら、少し歩いて回る。道も頼んだら整備してくれた ー それでヴァルトの材料が尽きたらしいが。

 

 今あるのはフォーガッテンたち全員分の家と、俺とレイナの家(そしてヴァルトたちの家)。更には二階建ての会議用の建物、まあこれは市役所的な役割になってくのかな。もっと色々欲しいが、先にレイナと相談して国作りの計画を考えないといけなさそうだ。


◆◇◆


 村の急激な発展にフォーガッテンは驚いていた。ヴァルトは圧倒的な戦闘能力に加え、その魔法を様々な用途で応用していた。第一「空間」を想像し、魔力にその性質を持たせるのはは非常に難しい芸当なのだ。ケンイチ様ならできるだろうが、俺には無理だ、とフォーガッテンは思う。

 

 ストリームは魔力を使い、一時的に武器を作り出せる。剣の質感、質量、形、鋭さ、全てをイメージしないとそんな事は出来ない。フォーガッテンからしてみれば、彼女もまた、想像を遥かに超える存在なのだ。

 

 最近は信じがたい物事が多いな、と思いながらフォーガッテンはデータと訓練をするため、自分の家を出る。外にはデータが既に待っていた。


「では行くか。ベテランが俺ら相手に戦ってくれるそうだ」


「ああ、でも毎回負けているよな」


 ベテランは恐ろしいほど戦闘能力が高い。ヴァルトら旧ミラビリス幹部には劣るものの、彼を簡単に倒せる者などそう簡単には見つからない。ベテランは六百年ほど生きており、経験の量が桁違いである。この世界での竜の平均寿命は五百年前後だと言われているため、ベテランの異常さが伝わるだろう。

 

 ヴァルトやストリームは確かに世界の厄災:ロイヤー・ヴァスカーナが魔王軍に攻撃を仕掛けてきた千年前から生きているが、これは彼らが「不死個体」になっているからであり、この時点で竜の寿命とは関係なくなっているのだ。よってやはりベテランのように「不死個体」にならないまま六百年生きることは驚くべきことである。


 「不死個体」とは簡単に言うと、老いない生命体で、基本的に五百年以上生きている竜は、「不死個体」なのだ。その後の見た目は「不死個体」となった時点のものに留まるため、ヴァルトとストリームはフォーガッテンたちと近い、二十歳前後の見た目をしている。


「来たようじゃのう」


 フォーガッテンとデータはベテランの待つ、村外れの訓練場に着いた。村全体が森に囲まれており、この訓練場はただ一部の木を切り倒した粗末なものなのだが、訓練にはそれで十分。


「今日こそは負けん」


 データはそう断言する。


「俺も全力で挑ませてもらう!」


「ほほう。良い心構えじゃ。良い戦いを期待しておるぞ」


 そしてフォーガッテンたちはベテランに挑んだのであった。訓練場はヴァルトたちが来る前からあるので、これでフォーガッテンたちがベテランに挑むのは二十回目である。


「フリーズ」


 まずは簡単な魔法を打ちながら距離を詰めることに集中する。この間にデータはベテランの後ろに回り込み、ベテランのガードを打ち消すために「ガード破砕」を使う。


 ガードとは下級、中級、上級スキル全てに存在していて、それぞれ一定期間物理攻撃を一部かき消す効果がある。ベテランの使う上級スキルのガードは、物理攻撃の威力を半分にするため、そのガードを壊すことは重要なことなのだ。


「お主のガード破壊は素晴らしいが、もっと正確に当てれるようにならないとじゃな」


 ベテランはフォーガッテンの魔法攻撃を抑えながらデータのガード破砕を避ける。ガード破砕はデータの特有スキルで、他にこれを持っている者はいない上に、ベテランいわく似たような特有スキルを持った者も見たことがないそうだ。しかし避けられては意味が無い。ベテランはそのまま斧(無論木で作った殺傷力の無いものである)を取り出しデータの腹に強打を加える。


「ぐはっ」


 データの顔は痛みで歪んだが、その後一瞬でいつもの冷めている表情に戻った。

 

 魔力に性質を持たせているとはいえ、魔法はガードを貫通する。フォーガッテンは基本的な魔法から切り替えて視界を奪うブリザードエリアを張る。

 

「考えたものじゃな。しかし・・・・・」


 何かあるのか?とフォーガッテンは思う。だがこの絶好のチャンスは逃せない。彼は自分の奥義、アイシクルフレアを使う。アイシクルフレアは広範囲に及ぶ氷属性の爆発魔法である。他の者の魔法を称賛するフォーガッテンであったが、彼もまた「爆発する氷」という規格外の想像が出来る人物だった。

 

 しかし、ベテランはその技を見切り、避けていた。


「!?」


「残念じゃが、ワシほど経験を積めば、この程度の目眩しは意味が無くなる」


 この後も戦いは続いたが、結果としてはフォーガッテンとデータの完全敗北に終わった。いくら訓練だからと魔法の威力を弱めていたとはいえ、スピードは変わらない。これが実際の戦いであっても、俺たちは負けていただろう ー そうフォーガッテンは考える。


「また敗北とは・・・・・」


「参ったな」


 そんな会話を彼はデータとかわす。そんな時、ベテランが


「そういえばレイナ殿に呼ばれていたのう。今から行くとしよう」


 と言い、レイナの家の方向に歩いて行った。


◆◇◆


 ミストとストリームは既に仲良くなっていた。今は二人で魔法の話をしている。


「やはり回復魔法はあまり使いませんよね?」


「そうですね。あまり私も使いませんわ」


「私たち竜は自然な回復速度が早いですからね」


 先程までは攻撃魔法の話で、今は回復魔法の話となっていた。この後は防御魔法の話となり、それからは更にマニアックな話になっていくのだった。


◆◇◆


 僕はベッドの上に転がっていた。まさか体調を壊すことになるとは ー 転生する時に僕に体が弱い設定とか加わってないよね?美少女設定でも困ってるのに(場合によっては便利かもしれないけど)。とにかく、今は体調も大分改善してきたから明日からは問題無くなると思う。それにしても想定外過ぎない?村の成長速度。

 

 そして思いついたんだけど、ヴァルトの空間魔法で空間を作って、その中に畑を作るのはどうだろう?これが出来れば食料問題が完全に解決できる。もはや国を作る理由が無くなるのだが、それでも他国との貿易では食料以外の物も手に入る。別に悪いことでは無いはずだから、仮に別空間に畑を作る事が出来てもこのまま国を建国する計画は続けるつもりだ。

 

 あと、林健一を通してベテランを呼んでいる。昼過ぎくらいに来て欲しいと伝えてあるから、そろそろ来るはず。スキルについてや魔法について知りたいんだよね。林健一は知ってるけど僕はまだ誰からも聞いてないから。多少は達人の目から読み取れるスキルの情報で理解してるつもりではあるんだけど。


「レイナ殿、ワシを呼んでいたようですな」


 ベテランの声が玄関から聞こえた。

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