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初めての国交樹立

Pixivで書いていた小説をなろうにも投稿することにしました。楽しんで読んでいただけると幸いです

 「ようこそ、レイナ殿」


 今、僕 ー レイナはサンダール国王との交渉にウレスタル城に来ていた。朝早くに宿を出たから、アルトはまだ寝ている。あと念の為、データに見守りを頼んである。

 城から中年男性が出てきた。


「私はアルデンヌ=ドゴルと申します。着いてきてください、サンダール王がお待ちです」


 城に入り、しばらく歩くと、大きな部屋があった。


「こちらでございます」


 案内された部屋は応接室であった。座った椅子 ー というのかソファーというのか ー の反対側の椅子にはおそらく国王である男が座っている。

 

「早速だが、レイナ殿、食料援助に感謝する。エンバーから話は聞いている。我が国と其方のミラビリス王国との間で国交が結びたいんだったな。今すぐにでも結ぶとしよう」


 え?凄いあっさりと国交が樹立できそう。そんなに食料援助が助かったのか。まあ国内があの有様だし・・・


「魔物の国ですが、問題ないのでしょうか?」


「もちろんだ!ミラビリス王国はサンダール王国の恩人、たとえ魔物の国であろうとお礼をするのは当然のことだろう!」


 うん、上手くいきそうだね。それに一応聞いてはみたけど、この世界の人々は魔物自体にあまり差別的意識は無いらしい。主な理由は、見た目自体は人間と変わらないからだとか。

 ベテランから聞いた話では、大昔の魔物はゲームに出てくるような魔物の姿をしていたそうだけど、結局は人間の見た目が一番効率の良い姿と判断され、進化していったそう ー まあベテランも親から聞いただけで、その親もまた親から・・・と続くだけなんだけどね。

 じゃあなんで竜や他の魔物を人間らが恐れているのか。その理由は魔王軍の存在。だけど僕もまだ魔王軍のしたことは曖昧にしか分かってないんだよね。


「ありがとうございます。では、よろしくお願いします」

 

 ともかく、この様に非常に楽に目的が達成できた。簡単すぎない?


◆◇◆


 サンダール王と貿易などに関する協定を結び、僕は宿に戻った。長い時間は話さなかったけど、サンダール王は国民の生活を第一に考える、非常に良い王と感じた。食事も最低限しかとっていなかったし、毎日食糧難からの脱却ための議論を続けていたらしい。

 優秀な王だと思うし、僕たちの王にも見習って欲しいものだね。

 

「今戻ったよ」


 宿の部屋に入る。アルトとデータ、そしてエンバーがいた。


「お、レイナ、帰ったかー。データから聞いたよ。この子 ー アルト君、だっけか? ー を助けたんだろう?やっぱり君は優しい奴だな!」


 エンバーからそう話しかけられる。他の二人はというと、データは部屋の端にあるテーブルで本を読んでいて、アルトは窓の側に座って静かに外を眺めている。

 少し・・・静かなアルトが心配だね。


「ありがとう、だけど僕は完全に優しい人になれてるとは思わないかな」


 とエンバーに返すと、僕はアルトのもとへ直行する。近づいてもアルトは窓の外をぼんやりと眺めているまま。こっちに気づかない。


「アルト君?」


「あっ、えっと・・・なに?」


 声をかけると、彼は慌てて振り向いた。


「心配ごとでもあるの?だったら相談に乗るけど」


「・・・」


 彼は下を向いて、黙り込む。

 何となくだけど、親が亡くなったことについてだと思う。そりゃそうだよね、っと感じる。

 親が亡くなったことはトラウマになる。これは僕も経験したことがあるから分かる。

 大事なのは・・・ まずは気を逸らすこと。じっくりと考えるのは確かに重要 ー でもこの子は若くて、ショックを受けやすい。そして賢いからこそ、より多くのことを考えて、さらにより多くのダメージを受ける。


「アルト君、いっしょに僕の国に行こうか?」


 この地を離れることが、気を逸らす第一歩だろうね。もちろん、故郷を離れさせることには僕も思うところがある。だけどこの状態でここにいるのは、良いことじゃない。とりあえずはミラビリス王国に送ろう。

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