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なんか勇者が来た

Pixivで書いていた小説をなろうにも投稿することにしました。楽しんで読んでいただけると幸いです。

「貴様がこの地域の新たな支配者だな!私の剣で滅ぼしてやる!」


 炎の勇者:エンバー=フォルステクは俺 ー 林健一の方に剣を構えて向かってくる。

 周りでは、フォーガッテンとダストが勇者の連れと戦っていて、さらにレイナが俺の方を向いて呆れ顔で立っている。どうせ君が勝つんでしょ、と言いたげな顔で。

 ど う し て こ う な っ た。


◆◇◆


 数時間前の話である。

 ミラビリス王国本部の国王室にいた俺に、フォーガッテンが緊急の連絡があると言ってきた。


「ケンイチ様、サンダール王国より数名の人間が我が領土に入ってきました」


「領土の西側からってことか?」


「はい、一日もあればこの街に到達するかと」


 報告に耳を疑った。侵入者?!今更?!

 フォーガッテンは俺らの国を守る二万の軍を創設し、領土内の各街(レイナの計画で、東西南北全ての地域に街を作った)に兵を配備し、侵入者がいないか見張らせているのだ。

 そして今回は、領土の南西部で接するサンダール王国から人間の集団が侵入してきたらしい。

 フォーガッテンの顔を見ると、そこには自信に満ち溢れた、そして殺気も漂わせている顔があった。


「侵入者は叩き潰しましょう。兵士たちからの報告によれば、相当な量の魔力を持っているそうなので、俺が出向いて、奴らを凍らせてバラバラに・・・・・」


 うん、これはダメだ。ミラビリス再建に熱気が入りすぎている。絶対に他の誰かを向かわせたほうがいいな。レイナにも伝えておくか。何か作戦でも考えてくれるかもだしな。最悪の場合は俺が行ってもいいが。

 国王室と同じく、ミラビリス王国本部2階の国家総監督室にフォーガッテンと向かう。扉を開け、何やら書類仕事をやっているレイナと目があった。

 彼女は一度俺の方を向き、そして再び視線を下げ、書類仕事に戻った。


「なに?僕は忙しいんだけど」


 「僕は」の後に「君と違って」が入りそうな口調だった。というかこの世界で普通に紙を使えてるのすげえよな。中世とかでは紙は高価なものだったそうだし。


「いやあ、あのな、領土に侵入してきた奴らがいるんだ」


 面倒そうに、今度は視線を下げたまま、


「あー、もう!鬱陶しいなー!そんな人ら捕まえて処刑すれば良いんだよ!ここは僕たちの領土なんだから普通のことでしょ!?」


 と苛立っている様子だ。普段なら冷静な判断をするのに。え、俺レイナに仕事任せすぎた?ストレス溜まってる?

 ここまで黙っていたフォーガッテンが、レイナの意見に同調した。


「そうだよな。俺もそう思う、なのでケンイチ様、やはり俺が行って奴らを叩き潰しに ー」


「却下だ却下!お前ら暴力的すぎだろ!しかも侵入者は国交を樹立したいサンダール王国から来てるんだぞ!」


 この言葉を聞いて、レイナはやっと動き続けていた手を止め、頭をあげる。


「え?サンダール王国から?」


「おう、そうだ。そこから強い奴の集団が来ているんだとか」


 レイナは慌てることなく、


「なるほどね。思っていたより早いけど、サンダールからの調査団でもきたか」


 と呟く。そして、俺とフォーガッテンに自分の計画を伝えてきた。


「林健一・・・・・ではなくケンイチ様の魔力は制御前は大きかったから、近くの国たちは混乱しているはず。となれば何かしらの形で調査団を派遣して、突如として現れ、消えた膨大な魔力の持ち主、またはその発生源や理由を調べる必要性が出てくる。僕は、この調査団の人々にこの国について知ってもらい、母国に良き貿易相手となれそうな友好的国家がこの場所にあると報告してもらうのが国交樹立への最善策だと思うんだよね」


 なるほどな。じゃあ首都まで案内するか ー と結論づけかけたとき、


「あ、でも相手が敵意しか持ってない可能性もあるだろうから、その時はすぐに戦闘体制に入ってね。迎え撃つのは、西の街くらいがいいかな」


 と付け加えた。

 なんか横で、「よし」と聞こえたような気がするが・・・・・気にしないでおこう。


「じゃあレイナと俺で向かうか」


「はあ?そんなの僕が行くわけないじゃん。すでに仕事で忙しいのに。フォーガッテンとダストでも連れていけば?ダストはまだ貿易が始まってないから手があいてるし」


 またレイナは書類に視線を向け、作業に戻ろうとした。でも一応レイナにもついてきて欲しいんだよな。万が一に備えて即死攻撃「デス」は無茶苦茶便利だ。戦闘にならないのがもちろん一番だが。

 

「じゃあその仕事をベテランに代わって貰えばどうだ?一通り法律は制定し終わってるから彼ならやってくれると思うぞ」


 レイナは


「うーん、確かにそうかも・・・・・これは重要なことではあるもんね・・・・・」


 と悩む。


「元々外交の仕事はお前のだろ?」


「それは君が大量に役職を押し付けてきたからなんだけどね」


◆◇◆


 結果として、俺とレイナ、加えてフォーガッテンとダストをつれて、侵入者をと接触することにした。

 ミラビリス王国 ー そう、言い忘れてはいたが、法律を出し、支配体制を確立してから、国の正式名称をミラビリス王国とし、俺は正式に国王となったのだ。

 支配体制は簡単、「幹部」という地位があり、それを持つ人たちが政治を行うというものだ。無論、魔王軍派閥に近い支配体制である。これのほうがヴァルトとかが慣れやすそうだったのだ。幹部の座は、今のところは俺が役職を与えた竜たちが持っている。つまりフォーガッテンやダストである。

 さて、そして話を戻すと、領土の西の街から数キロ離れた地点で、侵入者を迎え撃ったのだ。そして、どうやら相手は勇者だったらしい。

 馬から降りた赤髪の女性は俺を睨みつける。


「私は炎の勇者:エンバー=フォルステクよ!貴様がこの地域の新たな支配者だな!私の剣で滅ぼしてやる!」


 なんでこうなるんだよ?!

 勇者についてきた武装した人たちも馬を降り、剣を構える ー 中には剣ではなく魔法の用意をするものもいた。

 フォーガッテンが一歩前に出る。


「ケンイチ様、ここは俺に任せてください。この邪魔者供を排除して見せます」


「私も、勝利して見せましょうぞ!」


 ダストもやる気満々である。うーん、これ勝てるのか?炎の勇者は俺が相手してやるか ー ってレイナの力を借りれば! ・・・・・殺してしまうな。もしかしたらなんか誤解しているだけかもだから、殺すのはダメだよな。


「よし、フォーガッテンとダストは周りの剣士や魔法使いを倒せ ー できれば気絶程度で済ませてやりたいところなんだが」


 二人は少し残念そうに、「了解です」という。


「ということは僕ではなく君が勇者の相手をするんだね?僕だと殺しちゃうし」


 レイナの言葉に俺は頷く。


「ちっ、舐められたものね!行くぞ!」


 俺と炎の勇者:エンバー=フォルステクの戦闘が始まったのだった。

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