2話 天真みお
HRが終わり、僕はしずくのお願いで、とある部活の教室へと向かっていた。
「しずくちゃん、一体どんな部活なの?」
「それはまだ秘密だよ」
「じゃあ、どうして僕が必要なの?」
「それも秘密。教室に着いたら分かるよ」
このようにしずくは何も教えてくれない。
「……はあ、なんだか心配になってきたな……」
「別に悪いようにはしないと思うよ?ただ玩具にされる可能性だけはあるかな」
さりげなくとんでもないこと言ってるよね。
本当に大丈夫なのかなと、不安は更に大きくなる。
「ねぇ、しずくちゃん?僕やっぱり行くの――」
「はい!唯ちゃん着いたよ!ここが部室!」
「……ああ、着いちゃったか……」
「ん?何か言いたいことでもあったの?」
「ううん、大丈夫」
断ろうかと思った直前に部室に着いてしまった。
やっぱり最初から断れば良かったんだ。
「それじゃあ……先にどうぞ」
「う、うん。分かった。失礼しま……ぎゃあぁぁぁぁぁ!」
教室の引き戸を開けて中へ入ろうとした瞬間、足元に何かワイヤーみたいな物が張ってあった。
それに足を引っ掛けた僕の頭にまず最初にタライが落ち、その次にロープを足に縛られて、最後のとどめにそのまま天井に吊るされた。
「ああー、今日はこれだったのね。先に唯ちゃん行かせて大正解だったかも」
「そんなこと言ってないでしずくちゃん助けてよ!」
ニコニコと微笑むしずくちゃんに必死に助けを求める。
すると、奥の机から人が出てきた。
「どういうことだ!しずくを引っ掛けようと思ったのに引っ掛かってるのは男子じゃないか!せっかく、しずくの紐パンを大公開出来るチャンスだったのに!」
え、しずくちゃんって紐パンなの。
いやいや、違う違う。冷静になるんだ、僕。
今はそんなこと考えている場合じゃない。
「ちょっとあなたは誰なんですか!僕を早く下ろして下さいよ!」
「うるさいな!お前こそ一体誰なんだ!ここは部外者禁止だぞ?」
部外者と言われても困るんだけどな。
僕、確か呼ばれて来たんですけど。
「あ、お姉ちゃん」
「ん?なんだ、しずくいたのか。こいつは誰だ?」
「この人は水無瀬唯人。隣の席の子なの。話してみたら面白そうだから連れて来てみたよ」
「じゃあ、こいつがそうなのか?」
「うん、そうだよ」
二人の会話が全く理解出来ない。
というか、その前に……。
「しずくちゃん、今お姉ちゃんって言ったけどその人ってもしかして?」
「そうだよ、私のお姉ちゃん。名前はみお。天真みお」
「この人は水無瀬唯人。隣の席の子なの。話してみたら面白そうだから連れて来てみたよ」
「じゃあ、こいつがそうなのか?」
「うん、そうだよ」
二人の会話が全く理解出来ない。
というか、その前に……
「しずくちゃん、今お姉ちゃんって言ったけどその人ってもしかして?」
「そうだよ、私のお姉ちゃん。名前はみお。天真みお」
確かに髪の色が違うだけで顔はほとんど変わらない。だけど、性格がまるで正反対だ。
「それで……とりあえず、落ち着いて話したいので下ろして貰えませんか?みおさん?」
「あ、そうだな。ちょっと待ってろ」
僕がそう言うとすぐに下ろしてくれた。
「下ろしてくれてありがとうございます……って僕が礼を言うのもなんかおかしな話ですが」
「何を言うか!お前が引っ掛からなければ、今頃はしずくの紐パンを拝めてたんだぞ!謝って当然だ!」
「はあ……すいません……」
「まあ、いいさ。またそのうち仕掛けるし。改めてだけど自己紹介だ。私は部長の天真みお、二年生だ。よろしく」
「一年の水無瀬唯人です!よろしくお願いします!」
「……そうだな。唯でいいな?」
「はい?」
「呼び方だよ、呼び方。唯でいいだろ?可愛いし」
なんだろう。この流れ、ついさっきもやった記憶がある。
「お姉ちゃん、それだと私と同じ呼び方になっちゃうよ?」
「なんだ、お前もこの呼び方にしたのか。でもそうなるよな。唯人なら唯にした方が可愛いしモテるぞ」
「だよね!やっぱりお姉ちゃん分かってる!」
お願いだから僕の名前で遊ばないで。
「……あの、それで僕がここに呼ばれた理由って何なんですか?」
「なーに、簡単なことだ」
部長が立ち上がり、僕を指差してにんまりと笑う。
「なんですか?」
「お前は今日からこの部に所属して、私達の遊び道具になるのだ!」
「え……?」
状況を一ミリも理解出来ない唯人はしばらく膠着しているのであった。
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