表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

草むらの正体

「だっ、誰だお前はーーっ!?」

あまりの衝撃に人目も憚らず叫んでしまう。

「あっソーセージが消えた…」

空中宙返り一転、物凄い身のこなしで投げたソーセージを咥えたかと思えばそのまま草むらへと潜る猫。そしてあっけに取られる僕、そして誰か。

「んもーうっ、そんな大きい声出すからネコさん逃げちゃったじゃにゃいの〜」

「ご、ごめん……って、」

なんで僕が謝らないといけないんだ?

「それよりお前、なんでこんなとこに? 」

「にゃ? お前とは失礼な。私にはちゃーんとマヤっていう名前があるの」

「はいはいマヤね。してマヤはどうしてこんな所に」

「日向ぼっこニャ」

「ひなた、ぼっこ……?」

確かにこのスポットは割かし陽が差し込むし、物陰よりは暖かいとはいえ……こんなとこで日向ぼっこ?

「ネコかよ」

「マヤはネコだニャ」

つい出た本音にサラリと返される。

「いやいやいや、どう見たってニンゲ」

「マヤはネコニャ。……絶対ネコなんだってば!!」

「うわっ」

ずいっと身体ごと身を乗り出してきて思わず後ずさる。僕の胸程の所でオレンジベージュの耳、じゃなかったお団子が揺れて、一瞬トラネコにのしかかられているような錯覚を覚える。

「は、離せよっ」

手を振って距離を置くと、足元に転がした弁当箱をいそいそと回収して歩き出す。

「あっ、どこ行くのソーセージのお姉ちゃん」

「なんだその呼び方は? きみみたいのが居て騒がしいから他所で食べるんだよ」

「ついてくにゃー」

すたすた、とてとて。すっすっすっ、ととととっ、たったったっ、とたたたた。足音に足音を重ねるように僕の後をネコ娘が追いかけてくる。

「着いてくんなよ、鬱陶しい」

「だって面白そうなんだもーん」

……やれやれ、面倒なものを拾っちゃったな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ