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昼休み,裏庭にて。

  ーーー道を通せば角が立つ。

ーーー道を進めば一人になる。

それでも私は進むしかない。だって僕は止められないのだから。


遠くから聞こえるお昼休みのチャイムを合図に、膝の上のお弁当箱を広げる。この蓋を開ける瞬間が楽しみという人も居るらしいけど,ここにはそんなものは無い。だって詰めたのは僕自信だから。

種の見えた手品が失笑を買うように,中身の分かりきったお弁当箱には寸程の期待も無い。だからこの時も経過時間として黒で塗り潰しておく。もののついでに明日のこの時間も黒塗りにして『無い時間』を作っておく。

 ーーえ,それが楽しいのかって? そんなことーーわからない。だから,答えない。

 ご飯を詰めた一段目を一旦土の上にどかして二段目を覗かせる。そして,定位置に居座る「それ」を箸でつまみ上げてしげしげと眺めた。……また焦がしちゃった。何度やっても焦げるときは焦げる,と割り切ってはいるものの,矢張り焦げるとそれだけで興が冷める。

 いいさ,次に頑張ろう。卵焼きと名付けられた「それ」を口に運ぶと,味わうのもそこそこに白飯で味をリセットする。さて次は,と目線を移すと,暫し置いた二段目を物欲しそうに見つめる獣が居て。

「……やらんぞ,こっち見るな」

「うにゃ」

 尻尾を揺らせば貰えると勘違いしてるのか知らないけども,一向にその場を離れる様子がない。……仕方ない。この手は使いたくなかったんだが。

 ぱりっと焼き上げた――又の名を焦がした,とも言う――ウインナーを目の前で振って見せて視線を稼ぐと,そのまま茂みの向こうに放り投げる。

「うにゃっ!」

 宙を舞うソーセージと飛び上がる猫,そして草むらからにょきっと生える人間。……ニンゲン!?

「うわーっ,ソーセージが飛んでるにゃっ」

「おわぁっ!?」

 だ,誰だこいつはーーーッ!?

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