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継母伝説・二番目の恋  作者: あしゅ
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継母伝説・二番目の恋 9

何故あやつはいつもいつも、あたくしの邪魔をするの!!!

公爵家の娘は自室に戻るなり

ソファーに積み上げているクッションを殴った。

 

 

事の始まりは、国事会議。

東国は、王妃も政治に関わるシステムである。

 

これも “女王” がいた頃からの慣例である。

ひとりの突出によって、後続の者たちの役目も広がる。

 

 

かつての女王が、ボランティアに熱心だった事から

以降の歴代王妃たちも、主に国民の生活の保護に尽力してきた。

 

しかし現王妃は、会議で発言をした事もない。

ボーッと座っている姿を見ると

果たして言葉が通じているかも怪しい。

 

本来は、側室は政治には関与しないものだが

さすがにこの田舎王妃には、貴族たちも政治への期待はしない。

その代わりに公爵家の娘が、王妃の “教育係” として

会議への出席を望まれて、出席するハメになったのである。

 

こういう事態は、今までにないので

さすがの公爵家の娘も、どう振舞ったら良いのか上手く掴めない。

 

 

そんな事情の中、ベイエル伯爵が言い出した。

「都の東の養護院の、後期の運営はどうなさいますのかな?

 王妃さまが仕切っていらっしゃった事なので

 わたくしなどが、差し出がましい口出しとは思いますが

 予算案の提出もまだのようで

 経理の者も困っておるようでしてな。」

 

公爵家の娘は、王妃になる可能性が大きかったので

王妃の一通りの仕事は学んではいた。

 

が、それも “一通り” であって

実際には王妃になってから、周囲から指導を受けつつ覚えていくのである。

現王妃には、誰も指導をしてくれないどころか

会議の場で、このようなイヤミを突然言われる。

 

 

王妃がオドオドしているが、ここで自分が口を出して良いものか

公爵家の娘が迷っていると、ベイエル伯爵が調子づいた。

 

「それとも、王妃の予定があった姫さまが処理なさるんですかな?」

 

公爵家の娘が、扇をパシッと閉じた。

「もちろん王妃さまは、その事は

 ちゃんとお考えになっていらっしゃいます。

 今、調整段階に入っているところですわ。」

 

 

言った後に即座に後悔をした。

多分その “調整” は、自分がする事になるであろう。

 

だけど今回の王妃だけ例外、というわけにはいかない。

そのフォローのための “お友達” なのだから、自分は。

 

 

公爵家の娘は、会議が終わった後

まるで散策に行くようなフリをしつつ

誰にも気取られないように、書庫へと急いだ。

 

 


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