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継母伝説・二番目の恋  作者: あしゅ
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継母伝説・二番目の恋 3

さて、黒い姫への嫌がらせは、わかりやすかった。

フォークが足りなくても、ドレスがその場にそぐわなくても

宮廷の人々はクスクスと口の端を歪ませて笑うだけで

誰も、そう、王すらも何も言わなかった。

 

その余りにも浅はかな嫌がらせに、公爵家の娘は呆れたが

周囲と同じく、傍観を決め込んだ。

可哀想だけど、それはあのお方自身が乗り越えないとね。

 

 

血筋が高貴なだけでも裕福であるだけでも、人は寄ってくる。

だけど、それらしい振る舞いをしないと認めては貰えない。

尊敬されない者や、畏れられない者は

利用され、喰い尽くされて、捨てられるだけである。

 

ましてや、この東国の王妃たる者、

社交のひとつやふたつ出来なくては。

 

王妃への単純な嫌がらせは

新参者が群れの中に入るための洗礼のようなものであった。

あるいは単なる妬み。

周囲は固唾を呑んで、王妃の出方をうかがっていた。

 

 

しかし王妃は何もしなかった。

皿に肉が乗っていなくとも、天井掃除の水を頭に掛けられようとも

ただ困ったように微笑んで、部屋へと戻っていくのだ。

 

誰ともなく、その姿に絶望の言葉を口にするようになる。

あんな小娘がこの東国の王妃とは

あのような気の弱い事で王妃が務まるのか

王妃は気が弱いのではなく、頭が弱いのではないか・・・。

 

 

公爵家の娘は、さすがにこの状態が続くのはまずい、と思い始めた。

国内は平和だけれど、宮廷内は混乱しつつある。

あんな女性を妃に選ぶ王に、不信感を持つ貴族が出るやも知れない。

貴族の王への不信は、内戦へと繋がる。

 

もちろん、その内戦に乗じて

更に公爵家の領地を拡大する道もあるのだけれど

小国である南国はともかくも

商業国の西国をも傘下に治めていられる、今の東国を崩すのは

公爵家にはデメリットの方が大き過ぎる・・・。

 

 

公爵家の娘は、どうやって宮廷を安定させるべきか

ボンヤリと考えながら

今日も部屋へと逃げ帰っていく王妃に、背を向けた。

 

 


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