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継母伝説・二番目の恋  作者: あしゅ
19/77

継母伝説・二番目の恋 19

公爵家の娘がピクッと泣き止んだ。

背中に何かが当たっている。

 

誰かがいる!

 

公爵家の娘は、あまりの驚きに

先程までの慟哭 (どうこく) を忘れ、息を殺して身を縮めた。

 

 

“それ” は布団の上から、優しく背中を撫ぜている。

手・・・? 小さいから多分、女性・・・?

 

“それ” を確認する、という行為は、泣いていた顔を晒す事になる。

公爵家の娘は、どうする事も出来ずに固まった。

 

 

“それ” が離れて、しばらくして

微かにドアが閉まる音がした。

それでも公爵家の娘は、動く事が出来なかった。

 

誰?

 

ここに入る事が出来るのは、女召使いだけ。

召使いたちは、私が来るなと言えば絶対に来ない。

その禁を破る者などいないはず。

 

 

公爵家の娘は、ようやく恐る恐る顔を出した。

その瞬間、花の香りがした。

暑い国の甘い花の香り。

 

王妃・・・!!!

 

 

いえ、王妃付きの召使いかも。

 

・・・・・・・・・・

いいえ、逃避している場合ではない。

 

王妃なのだ。

ここにいて、あたくしのこの無様な姿を哀れんだのは

 

あのバカな王妃なのだ!

 

 

公爵家の娘は、急いで起き上がると

召使いを呼ぶ前に、身支度を整えた。

夜会に出る準備をせねば。

 

あのバカ娘に同情されるほど、あたくしはミジメではない。

今日はいつも以上に美しく装わねば!

 

 

いつものように、王と王妃が現れた。

いつものように、フロアの中央でふたりが1曲踊る。

いつものように、王が側近たちのところへ行き

いつものように、王妃が公爵家の娘の元に小走りに来る。

 

「あたしのお友達。」

 

そしていつものように、恥ずかしそうに笑って

少し斜め後ろに立ち、公爵家の娘の腕にソッと寄り添う。

 

いつものように いつものように いつものように

 

いつもと何ひとつ変わらない事を確認したその瞬間

公爵家の娘の全身の毛が逆立った。

 

 

こ の 娘 の 存 在 が 許 せ な い !!!

 

 


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