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継母伝説・二番目の恋  作者: あしゅ
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継母伝説・二番目の恋 14

公爵家の娘の日々は多忙だった。

王妃の代わりに政治の勉強をし

それを交友しているように見せかけながら、王妃に教え

その上に宮廷内の社交までこなさねばならない。

 

これで本当に側室だったら

王の夜の相手までしなきゃならないのだから

それがないだけでもラクだと思うべきね

 

公爵家の娘は、ソツなくこなしているつもりだったが

生真面目な性格ゆえか、頑張りすぎていて

それを自分では気付いていなかった。

 

公爵家の娘には、王妃を陰ながらフォローする、という

王の期待に応える事しか

自分のプライドを維持する道がなかったのである。

 

 

「あたしのお友達、大丈夫?」

王妃の心配も、公爵家の娘にはイラ立ちの原因にしかならない。

 

こんなバカ娘にまで気遣われるほど

あたくしは疲れて見えるのかしら?

 

「もっと粉を!」

メイク係に怒鳴る日々が続く。

 

 

いつものように、会議の前のおさらいに王妃の部屋へ行く。

諦めずに教え続けてきたお陰で

最近の王妃は、会議中のボンヤリがなくなってきつつある。

 

このまま政治を、いえ、せめて慈善事業ぐらいは覚えてもらえたら・・・

公爵家の娘は、その日の会議の議題を王妃にわかりやすく伝えるために

会議前には必ず、王妃の部屋に “お茶” をしに行くのである。

 

 

その日は、王妃がお茶を淹れた。

また自分の身分を忘れて、下々のすべき仕事を・・・

内心苦々しく思ったが、公爵家の娘は怒り疲れていた。

 

怒りたくて怒っているわけではないのよ

なのに怒られる側がいつも被害者ヅラ。

怒られる事をするから悪いのに・・・

お茶が入るのを待つ時間も、イライラの種が尽きない。

 

 

と、そこにフワッと花の良い香りが漂った。

「これ、あたしの国の花のお茶。

 どうしても、栽培できない。

 自然の中でしか生きられない。

 10年に1度しか咲かない。

 その花の花びら、飲める人、とても少ない。

 この前、あたしの国から大臣が来た時に

 送ってくれるよう、頼んだ。

 やっと届いた。

 良い香り、美味しい、あたしのお友達に飲んでほしい。」

 

「それは貴重なものを・・・。」

この説明に、さすがの公爵家の娘も恐縮した。

 

 

カップを口元に持っていくと、甘く丸い香りに包まれる。

ああ・・・、良い香り・・・

 

「このお茶、疲れを取る。 グッスリ眠れる。

 あたしのお友達、疲れるの、あたしのせい。

 だから、お茶、淹れた。」

公爵家の娘がお茶を飲むのを、嬉しそうに見つめる王妃。

 

 

・・・良い子ではあるんだけど・・・

公爵家の娘は、複雑な気持ちであった。

 

政治は良い人では勤まらない。

王家に嫁ぐ事自体が、それはもう政治なのに。

 

 


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