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終局から始まる世界線  作者: マクシミリアン
6/8

マスタールームにて

「それで?魔石はどこにあるの?」


ここはアイゼンワークス。ウェベスト王国一の戦士ギルドのマスタールーム。アイゼンワークスのギルドマスターアイゼンが住まう部屋。そこで彼は頭を抱えていた。


「五年も姿を消したと思ったら、魔法で手紙が飛んできて、帰ったの一言。そんなことあるか?しかもその数十分後にはこの騒ぎ、、もーーヨル嬢、あんたあの三人どこやったんすか、、」


「私が聞きたいくらいよ、それで、魔石はどこにあるの?」


室内なのに未だフードをかぶった目の前の彼女は、隣国のギルドのリーダーに喧嘩を売り、その後何もなかったように同じ事を聞いてきた。道ばたでできる話でもないし、ギャラリーも多いからとなだし、ギルドに連れてきたはいいものの、この数十分で既に三日間休む暇も無くモンスターと戦い続けた日と同じくらいの心労がアイゼンにかかっていた。始終を見ていたであろう自分のギルドが誇るチームの四人も説明してと言わんばかりの視線を思い出しまたため息を吐いた。


「つい三日前、西の方の樹海へ依頼をこなしに行っていたうちの奴が、モンスターが異常発生している洞窟を見つけました」


「ほう」


「洞窟の奥へ進めば進むほどモンスターが増えていくみたいで、探知能力が長けている奴の話では地下奥深くにおぞましい魔力を感じたそうです。あなたの言っている事が合っていればその地下になにか手がかりがあるんじゃないですか。」


自分の優秀なギルドメンバーからの報告に少々自慢げな顔で言うアイゼン。しかし、それを向ける相手は今まさに探し求めていた情報が手に入った歓喜とその情報を処理するためにニヤニヤしながら下を向いてブツブツ考え込んでいた。


「でかしたアイゼン!その洞窟への地図を今日中に送っておいて!」


やはり、この人には敵わない。そう心の中でアイゼンは漏らす。


「あの家に帰ってるんですか?」


「もちろん」


「わかりました。今日中に地図にして送ります。」


「ふふふっ楽しくなってきたわ」


「くれぐれも!山吹き飛ばしたり!湖の水を全部蒸発させたり!しないでくださいね」


「そんな誰それ構わず暴れたりしないわよ」


「過去のあなたの奇行を言ってるんですよ俺は、、」


「ちょっと何言ってるかわからない」


「もーーだいたい俺は、五年前のあの日も、、あんたはあの「アイゼン」


「誰が聞いているかもわからないところで人の事ベラベラ喋るのはよくないわ」


2人しか居ない密室でなんでそんな神経なことを、と思ったアイゼンは少し熱くなった頭を冷やしを索敵魔法をかける。すると綺麗に気配と魔力を消し、静かに息を潜めている4人の人影扉の前にあった。


「気づいてたんですか」


「ふふふっ良い部下ね」


フードのせいで口元しか見えないその綺麗な薄く引かれた唇が意地悪く笑う。アンチ魔法をうまく利用した魔力まで消す隠密術を使う自分のギルドメンバーを彼女に褒められたのはうれしいが、きっとはじめから気づいていたであろう人にそれを言われても、と微妙な苦笑いを返し、魔法で勢いよく入り口の扉を開けた。


「うわぁあ!」


なだれるように部屋に入ってきたのはやはり、ヴィーダ、バルド、シューウェイ、レリアナの四人だった


「げっ」


苦虫を潰したような顔を向ける四人に一発ずつげんこつを食らわす


「お前ら〜マスタールームに聞き耳立てるとは感心しないな?」


「くそ〜俺の魔法は完璧だったはずなのに、、」


「まあ、マスターには俺たちまだまだ敵わないってことだね」


「レリアナ、胸、胸当たってる!」


「あ、バルドさんごめんなさい」


アイゼンはギルドの若い衆から尊敬されるのはうれしいが、モンスター相手に使う広域索敵魔法を練って小範囲にすることでやっと見つけられたその巧妙な魔法に感心した。まぁ、彼女は息をするように見つけてしまったわけだが。


そう思いはせる、自分の憧れでも師匠でも恩人でもある彼女は四人のことなど見向きもしないでつかつかと部屋を出て行った


「ヨル嬢、送りますよ」


「私独りで家に帰れないほど子供じゃない」


「そんなのわかってますよ。だってあなた、アネラばあさんより、」


「アイゼン?もう1個忠告よ。女性の年齢もベラベラ喋るものではないわ?」


「すみませんすみません!その手納めて!」


「わかればよろしい」


「一人で居ると何しでかすかわからないじゃないですか」


「だから〜まるで私が暴君みたいじゃない」


「いや、あながち間違ってないでしょう」


「失礼な!」


歩みを止めない彼女の隣を歩きながらついて行くとギルドメンバーが集まる広間に出る。


ヴィーダ達はどうしてもフードの女が気になった。あの百英雄の力にも匹敵するという自分たちのマスターが敬語を使う得体の知れない女が気になってしょうが無かったのだ。


「もしかしてあの人俺たちに気づいてた?」


「いや、それはないだろう。彼女からは大した魔力も感じられない」


「マスターずっと敬語でしたね」


「魔石ってなんだろうな」


自分たちには見向きもしなかったフードの女とアイゼンについて彼らも広間へと出る。そこには自分たちほどではないが、部外者をギルドに、ましてやマスタールームへと招いた事情に少なからず気になっている者ばかりで、みんなこちらを見ていた。


「そう言えばなんでずっとフード脱がないんですか?」


「だって、ユキが不用意に顔を出すなって」


「この街入ったらもう、あなたのこと知ってる人ある程度居るわけだし、大丈夫なのでは?」


逆に正体がわかった方がこの問題を起こす人にとっては良いのでは、と思いながらアイゼンは憲兵への反応や、訝しげにこちらを見る戦士たちの顔を思い出して言う


「怪しい、とはなんか違う気がするんだけど、やっぱり気になるよね」


「マスターの弱みを握ってこのギルドを乗っ取ろうとしてる奴かも!」


「これだから脳筋は、」


「あ”?」


「あ、フード取るんじゃないですか?」


レリアナの一言で喧嘩していたバルドと、シューウェイはばっと彼女の方を向いた。

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