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終局から始まる世界線  作者: マクシミリアン
4/8

アネラの厨房亭

「くあ〜うめぇ!やっぱりばあさんとこのピザとエールの組み合わせは格別だ!」


「異論はない、ラザニアもな」


「ふふふっお二人はご飯食べているときは仲良しですね」


「こんなうまい飯食べてるときにシューのこと考えてたら飯がまずくなる!」


「馬鹿を相手にするにはもったいないからな」


「は〜なんだかんだ似てますよねー」


「レリアナ、、それはご飯時以外言わない方が良いよたぶん」


「今、そんな気がしました、、」


似ているという言葉で料理に夢中になっていた二人がギロリと眼光光らせ、レリアナはひぇ、と声を漏らす


ここはアイゼンギルドから徒歩五分の戦士御用達酒場、アネラの厨房亭。美味しいご飯と酒がリーズナブルに食べられる大人気の酒場である。中でも、キッシュとピザは他国の王城から取り寄せられるほどであった。


「たくさん食べなぁね」


そうくしゃっと笑う女性はこの店の亭主。アネラ、若い頃は戦士として各国をとびまわり、色々な国の食べ物を研究したという。また、噂では百英雄に匹敵する強さを持っていたとか


「アネラさん!ここのご飯は何でも美味しいからいつも食べ過ぎちゃいます」


「うれしいねえ、ヴィーダ達が帰ってきたって街でも噂になってたよ」


「一週間ほど空けただけなんですがね」


「ばあさんエール!もう一杯くれ!」


「俺もだ」


「はいよーふふふ、あんた達が来てくれてるおかげでやんちゃする輩も少なくなくなったし助かってるからね。今日の代金はアイゼンにつけといてやるよ」


「アネラさん、それは後で俺らがマスターに怒られるんでよしてください」


「ふっふっふっそうかい?それならしょうがないねぇ」


端から見れば無邪気な笑顔をするかわいらしい女性だが、実際の年齢で言えば老婆と呼ばれてもおかしくない。しかし、年老いている印象は全くないほどピンとのみた背筋にシミのない綺麗な肌は彼女の年齢をウェベストの七不思議にするほどであった。その美容には多くの女性が興味を持ち街新聞にも取材を受けていたほどである。それには「うまい飯を食って、よく笑うことさね!」と屈託無い笑顔で答えていた。


「おいおいおい!もう飲めねえのか?あ?まだいけるだろ!おら!あと10杯追加だ!!」


「ぎゃははははっお頭!こいつ白目むきそうっすよ!!」


「ウェベストの戦士もたいしたこたぁねえな!!」


「「「ぎゃははははっ」」」


奥の方の丸テーブルで隣の席に居た人に絡み酒を無理矢理に飲ませている男達


「なんだか柄が悪いやつらがいるな」


「下品な笑い声だ。飯がまずくなる」


「あ〜他国から来た奴らだね。ヴィー達が来てからこの国の奴らは大分大人しくなったんだがねぇ」


戦士が集まる交易都市の戦士御用達酒場となればこういう輩も少なくはないわけで、ヴィーダたちが来るようになってからはこの国で一目置かれているアイゼンワークスの縄張りにちょっかいをかける者も居なくなっていたのだが、、他国からの戦士の世間知らずがこうやって暴れることがたまにあった


「あんたら、その辺にしたらどうさね。そんなにもう飲めないだろう」


「あ?酒屋のばばあは黙って酒だけ持ってくれば良いんだよ!!」


「ぎゃははっお頭強ぇ!!」


「お客様は神様だろ!?良いから持って来いよ〜じゃねえとこの店、どうなるかわかんねーぞー」


「おい、てめぇら黙って聞いてれば、一旦締めてくる」


「ちょっちょっバルドさん!そう言って前もお店の中めちゃくちゃにしたでしょう!」


ギリギリと拳を握りながら立ち上がったバルドのうでを力一杯押さえるレリアナ。こういった件で一度バルドが大暴れし、アネラの厨房亭が三日間休店となった過去を思い出し必死に止める。


「しかもあれ、ゲルナス王国の蛇鬼だ。ねちっこく執拗に追い詰める問題なチームだよ。めんどくさくなるだけだ。ちょっと落ち着いてバルド」


冷静に彼らの腕の入れ墨を見て判断するヴィーダ。店で暴れている輩は隣国の柄が悪いと評判のギルドの一つだった。


「おいおいおいおい!ウェベスト随一の酒場は虫入りのスープを出すのか!?」


「うげぇきったねえ!!」


「最悪の店だな!安酒しか出さねえくせに、虫まで入ってんのかよ!!」


スープの中から何かをつまみ上げると残っていたスープごと床にぶちまけた蛇鬼


「さすがの俺も限界だ」


「ええっシューさん!」


そう言ってガタンと椅子を蹴って立ち上がるシューウェイ


「いいさいいさ、酔っ払ってるだけだろ。気が済んだら帰っていくさ、あんなのは構わないのが一番さね」


「アネラさん、、」


少し困ったように笑うアネラを見て、自分の拳にも力が入るヴィーダ。店の客に絡もうとも、酔っ払いでは少なくないことだ。しかし、自分が一番大切にしている店を侮辱され、平気なわけがないだろう。キレる寸前の二人を横目に自分も立ち上がろうとしたその時、


「虫?大変ね」


決して大きくはない、しかしその暴れている集団に注目していた店内にとても良く通る綺麗な声がした


「女?」


バルドがつぶやくように声を出す


「あーちゃん。こんなとこにも大っきい虫が居るよ。せっかくの素敵なお店が台無しだね。早く外に出さなくちゃ」


そういうのはフードを深くかぶった小柄な人間


「ねえ、なに固まってんの?虫は虫らしく外でブンブン言ってなさいよ」


「てめぇ!!女ぁ!!!」


「誰に喧嘩売ってかわかってんのか!!」


「誰って目の前に居るハエ」


「あ”あぁ!!??」


端から見ただけでもわかる男達の額には血管が浮き出て、殺気を放っている


「あ、もしかして街で会った、、」


「おい、ヴィーあの子危ねえぞ。」


「うん、挑発しすぎだ。さすがに、、」


「もしかして、日本語通じないの?ここには文武不相応よ。虫さん。早くお外へお帰りなさい?」


「てめぇ!!!!」


唖然としていたギャラリーが心配の眼差しに変わっていく中、そのフードの女は一歩も引かずそれより、どんどん蛇鬼に近づいていた。誰か助けてやれよという視線の中、あの悪名名高い蛇鬼と見知らぬ命知らずの間へとが言っていく者は居なかった。店は騒然と、相も変わらず彼らに向かっていく人間をただ心配そうに見ていた


「あちゃー、あんたも帰ってきたたのかい」


独りだけをのぞいて


「てめえ、大人しく聞いてれば、女に手出さねえとでも思ってんのか?あ?」


「ハエに小突かれても痛くもかゆくもないわよ」


「ぶっ殺す」


そう言ってフードの女の襟をつかんで持ち上げる蛇鬼。やばいといって」、ヴィーダが立ち上がった時


「ぎゃあああああ」


膝をついて倒れたのは蛇鬼の方だった。

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