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「きゃああああッ!!」



誰かの悲鳴で目が覚めた。 というよりいちいち悲鳴をあげるのは神崎だろう。 朝っぱらからなんだよと思ってとりあえず起きる。



朝か…… 今日は仕事だ、なんかダルいなぁと思って時計を見る。



7時か。 まぁ近くなったから余裕だな。 トイレに行って顔洗って歯磨いて新居から心機一転するつもりで出社するか! と思いドアを開けると……



神崎がドタバタとあっち行ったりこっち行ったり。 何慌ててんだ?



「ま、麻里〜! 早くトイレから出て下さ〜い!」

「静かにして。 大きい方は慌てさせられると出るものも出ない、あたしが満足するまで絶対出ない」

「あーん、そんなぁ…… ハッ! ま、まず歯を磨いて…… 朝ご飯もまだ食べてない! というより間に合いません!」



なんつー会話、日向は恥じらいがないのか?



「もぉ〜、うるさいなぁ莉亜は。 あ、おはよー清っち」

「ああ、おはようって…… お前胸はだけそうになってるぞ!! ちゃんと隠せよ!」

「んあ? あッ、ほんと。 ふふん、初な清っちには刺激が強すぎたかなぁ?」



ば、バカかこいつ!? そんな事してたらまた神崎の奴に怒られかねない。



「彩奈!! 早く着替えて下さい!」

「ええ〜? まだ起きたばっかだよぉ? とりあえずトイレ」

「今は麻里が入っています! だからそれまでの間に着替えて下さい」

「嘘〜、麻里が入ったらいつ出てくるかわかんないじゃん」

「なぁ神崎、何を慌ててるんだ?」

「柳瀬さん? 時間を見て下さい時間を!! もう7時過ぎてます! 遅刻しそうなんです! あなたはなんでそんなに落ち着いてるんですか!?」



え? 7時過ぎてると遅刻しそうなの? 俺なんか学校の時はもうちょっとゆったりしてたけど。



「あははッ、清っち女の子は男の子に比べて時間かかるの。 これから化粧して髪の毛整えてご飯食べて…… あれ? 食べる時間ないね。 こりゃ遅刻だわ」

「だから慌ててるんじゃないですか! あー、なんでこんな事に!! それもこれも昨日夜遅くまで歩き回って疲れて夕飯でドタバタして寝たのが深夜になってしまったからです!」



そう言って神崎は俺を睨んできた。 いやいや、そう言われたって…… 



「出たよ、今日はスルッと出た」

「あ、じゃあ次私入ろー」

「つ、次は私が!! あーん……」

「そんな時もあるよ…… おはよ清人」



寝癖が酷い日向がこちらを向いた。 



「おはよう日向。 お前も篠原も全く慌ててないんだな」

「莉亜は真面目だから、たまには遅刻くらいしてもいい」

「何を言ってるんですか!? ちゃんと行かなきゃダメです! それに麻里ったらそんなボサボサ頭で。 こっち来て下さい! 直さないと」



なんか神崎の奴母ちゃんみたいだな。 てか俺のトイレの順番いつになったら回ってくるんだ? 



部屋に一旦戻り俺も仕事へ行く準備をする。 まぁ昨日の夜のうちに準備していた俺は抜かりはないな。



少しして部屋を出るとちょうど神崎がトイレから出てきたところだ。 今度こそ俺がと思って入ろうとすると神崎にいきなり腕を掴まれた。



「どこへ行こうとしてるんですか?」

「トイレだけど?」

「私今出たばかりなんですけど?」

「みたいだな? それが何か?」

「あ、あなたにはデリカシーというものがないんですか!!」



つまり自分が出た直後に入るなと言いたいのか。 日向だったら特に気にしなそうなことなんだが神崎だしな。



「じゃあ歯を磨いてからにするよ」

「あ、清っちと莉亜が仲良く手繋いでらぁ。 朝から見せ付けるねぇ」

「へッ!? こ、これは違います! それに手じゃありません! 腕です! ああッ、そんな事言ってる暇ないのに」



本当に騒がしい奴だ。 



「急いでるなら俺に構ってないでとっとと準備すれば?」

「わかってます!」



そして顔を洗って歯を磨きトイレに行って準備万端だ。 さーて、出勤しようかなと思って部屋のドアを閉めると3人が廊下で俺を待っていた。 なんだ?



「えへへ」

「準備はいい? 清人」

「はぁ〜……」

「お前らなんのつもりだ?」



まさか…………



「柳瀬さんあーだこーだ言っておいて大変申し訳ないのですが私達を学校へ送って行ってもらってもよろしいでしょうか?」



やっぱりそうきたかぁー! 



はぁ、結局3人は俺の車へ乗って学校へ向かう。



「お前ら同じ学校だったんだな」

「えー、当たり前じゃん? でもその方が清っちにとっても今は都合が良かったでしょ?」

「まぁ別々だったら面倒この上ない」

「申し訳ありません」

「それにしても麻里ったら名案だよね! 清っちに送ってもらうとかってさ!」

「清人唯一の取り柄…… 車持ち」

「唯一とか言うな!」



3人の学校は俺の職場から車ですぐ近くの所にあった。 今まで職場に行って帰るだけだったから全然気がつかなかった。



「へぇー、ここがお前らの高校か」

「そそッ! 清っちのお陰で楽して着いちゃった、ありがとね!」

「毎日これでいい……」

「何言ってるんですか! 柳瀬さんもそれだと迷惑ですよ! ええと…… ありがとうございました」

「ありがと清人」



そう言って3人は車から降りて学校へ行った。 制服姿見ると改めて高校生なんだなと実感する。 俺よくあいつらと住む事になったよなぁ。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] コイツは自炊も出来ないのに一人住まいする気だったのか? [一言] 取りあえずはブックマークはせずに様子見だな。
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