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「んあっははは! そんな事があったんだ?」
「笑い事じゃないですよ、どれだけビックリした事か」
「そうだよ」
「ごめんごめん、でも勘違いだったんでしょ?」
「それはまぁそうですが」
「お騒がせしちまったな、すまん」
「いいの、もう安心したから」
流石篠原。 2人と違ってまったく動揺してないわ。 昨日とかの事が嘘かと思ってしまうくらいに。
ご飯が出来てから30分経っていたのですっかり冷めてしまっていた。 なんかすげぇ申し訳ない。
「清っちも好かれたもんねぇ、莉亜と麻里に出て行かないでー! って号泣されるなんて」
「わ、私は号泣などしていません! す、少し心にきただけです」
「あたしは清人が居なくなったら寂しい」
「うんうん、根暗な麻里は大分素直になったわねぇ。 莉亜はあれだけど」
「あれとはなんです? 失礼な」
「あー、悪かったよ! もういいだろこの話題は。 これからもよろしく頼むな」
「はい、こちらこそ」
「当たり前」
「しょうがないなぁ」
夕飯を片付けているとさっさと部屋に戻っていった篠原とは別になんか2人から視線を感じる……
「なんだよ? 凄く洗い辛いんだが」
「あッ! いえ、すみません。 なんでもありません」
「…… ただ見てただけ」
洗い物が終わり部屋に戻ろうとした、だが神崎に呼び止められる。
「え? まだ何か?」
「な、何か食後に飲みますか? ね、麻里もそうしませんか?」
「うん、いいよ…… 清人もそうしよ?」
「ああ」
なんか2人にめっちゃ気を遣われているような気がする……
「柳瀬さん何飲みたいですか?」
「甘いミルクで」
「麻里は?」
「ミネストローネ」
「確かにスープですが…… 何かドリンク的な物です」
「じゃあお茶でいい」
蜂蜜入りミルクを出され再びテーブルに座る。 その間2人からチラチラとやっぱり視線を感じる。 未遂で終わったとはいえこんなに心配されるなんて…… 俺が悪いんだけどな。
「柳瀬さんどうかしましたか? 何か気掛かりな事でも?」
「え? いや特に何もないよ」
「明日から清人がやってるお風呂掃除とかあたしが代わる?」
「あ、なら私がやりましょうか? 買い出しなども柳瀬さんがキツいと思ってるなら私達で行っておきますから」
ほらー、やっぱめっちゃさっきの事気にされてる、勘違いって事になったのに。
「2人ともすまん! そんな気にしないでくれ、マジでさっきのは勘違いなんだからさ! 別に何も変える必要ないって、ただでさえお前らに世話になってる事も多いし」
「あ…… ! すみません変な気を遣ってしまいました」
「だって大好きな清人が出ていくかもなんて思ったら。 ………… ん? 莉亜はどうしてそこまで?」
「へ? そ、それはあなた達を家族だと思っているからじゃないですか!? それだけ、それだけです! 柳瀬さんだってそのひとりですから。 柳瀬さん、彩奈にもコーヒーをいれたので持って行ってもらえないでしょうか?」
「え? わかった」
あー、迂闊な事するんじゃなかったな。 と思いつつ篠原の部屋をノックする。
「俺だ、入っていいか?」
「え? 清っち? ちょっと待ってて」
程なくしてドアが開くと顔パック中の篠原がドアを開けた。
「風呂にも入ってないのになんでこの時間にそんなのしてんだ?」
「あらー? 私の事よく見てるじゃん。 美容のためにやってるんだからいつやっててもいいでしょ」
「はいはい、莉亜がお前にコーヒーだってさ」
「そっか、ありがと! ねえ……」
篠原が何か言いかけて来た時玄関から神崎の話し声が聞こえた。 あいつらも戻って来たかと思ったら篠原に部屋に引っ張られてた。
「ふぅー……」
「ふぅーじゃねぇよ。 コーヒー溢れるとこだった。 つーかなんだ?」
「ごめんごめん、とりあえずそこら辺に座りなよ」
「ん? ああ」
コーヒーをテーブルに置き腰を下ろした。
あれ? 何俺座っちゃったんだ? なんか自然だったから俺も何気なく居座ったけど……
「清っち、さっきは勘違いとかどうとか言ってたけど引っ越し考えたのは事実でしょ?」
「え? なんで?」
「私のせいでしょ? 清っちが居辛くなっちゃったのは。 だって麻里からも告られて私からも告られた。 清っちには弥生さんの事が好きなのにね」
「お前のせいじゃ……」
「うん、でも逃げようとするなんて酷い。 私だって何も感じてないわけないんだよ? ゲホゴホッ! ああもう!」
神崎がいれたコーヒーを飲んだら詰まったのか咳込む篠原の顔のパックが剥がれた。
「お前顔びちゃびちゃ」
「パックしてたから」
「…… 泣いてたのか?」
「悪い?」
篠原は顔を伏せ体育座りになって縮こまってしまう。
「抱きしめてよ……」
「へ?」
「女の子が泣いてるでしょ? 抱きしめて。 それくらいいいでしょ?」
俺はこいつを泣かせてしまった原因でもあるためそっと篠原を抱きしめた。
「清っち」
「ん?」
「別に清っちに告ったのは後悔してないから」
「ああ、それとごめんな。 逃げようと思ったのは確かに事実だ、でも今はそんな事思ってない」
「なんで?」
「なんでって…… ここで逃げたら最低だなって思ったのと、なんかお前らの顔が浮かんだから?」
「あはは……」
篠原は俺が抱いてた腕を払って抱きしめ返したと思うと俺の肩の辺りで顔を拭いた。
「やっぱり清っちもだね!」
「は?」
「ううん、好きだよ。 これからも迷惑掛けまくるけど許してね?」
「なんだよその宣言…… てかこれからどうすりゃいいんだか」
「秘密って事で、面白そうだし。 何かあったら私が慰めてあげるから」
「はぁ〜、秘密ね」
「私も話を合わせてあげるから安心でしょ?」
「安心なのか? いつもハラハラさせられてる気がするけど」
「何言ってんの? ややこしくしてるのは清っちなんだからね、でもだから私も好きって言えた」
この野郎、嬉しそうにしやがって……
秘密か、逃げる事はやめたけどやってる事はいろいろと問題ありそうだけどそれが現状的には落とし所なんだろうか?




