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「ただい…… まッ!?」
仕事から帰ってきた途端神崎に血相を変えられ口を押さえられた。
「柳瀬さん、お静かに!」
「もぐぁッ、一体なんだよ?」
「あら〜、清っちおかえり。 てかそんな2人でくっ付いてラブラブだねぇ」
「え?」
気付けば神崎の胸の感触が頭に…… と思ったら嫌な予感。 神崎の顔が見る見る赤くなっていき……
「い…… むぐッ!」
「静かにしろって言ったのはお前の方だろ! バカなのか!?」
あ、バカだった。 つーかなんでもないように装ってるけど俺も男なんだし壁がとっぱらわれてっていろいろ友好的になったっていってもこいつら相手だと堪えるなぁ。
「ほ、ほうれひた…… って離して下さい!」
「で? なんなんだよ?」
とりあえず篠原の部屋は日向の隣なので会話が聞こえるかもしれないので神崎の部屋に俺と篠原は行った。
「それがですね、今麻里の部屋にお友達が来ていて」
「友達? 珍しいな。 俺がここに来てからそんなの誰一人来なかったのに」
「それは! 私達が清っちに気を遣ってたからなんだよぉ? 清っちが来る前はたまに招待してたんだから。 女の子限定だけどね」
「ふぅん。 そいつは悪かったな、俺のお陰で呼べなくなってさ」
「そ、それは構いません! 別に学校で毎日会っているのでそれで柳瀬さんを邪険にするのは筋違いです」
「へぇ〜? 清っちに随分譲歩してるんだねぇ莉亜ったら」
「黙って下さい! どうでもいいじゃないですか!」
あー、ややこしくなってきた。
「それでそんな中に俺が居るとマズいんだろ? 篠原が適当な事言ってたから」
「あははッ、そうなんだよねぇ」
笑って誤魔化すなよ。 お前が元凶のくせに!
「それでね、今日は麻里の友達の香奈って子が来てるんだけどさ」
あんな無愛想な日向に友達がいるなんて事に驚きだ。 ああ、でも今まで見てきたのは日向と小島だしな、女子だと対応が違うのかもしれない。
「ついでに小島君までついて来たってわけ」
「ふーん。 って女子限定って言ってたのにそいつも来たのかよ?」
「あ、ああ…… それはいろいろ混み合った事情がありまして」
「事情?」
話を聞くにその香奈って子が小島の事が好きで香奈って子は小島が日向の事が好きって知ってて小島に告白したいんだけどその小島が日向の事が好きだから動かに動けないと。
それで一か八か3人でお互いの気持ちをハッキリさせようと。 日向の奴複雑な友達関係構築してんだなぁ。
「日向の親戚な設定の俺が今日ここに居てもマズそうだし俺は外に出てるよ、その方が面倒なくていいだろ?」
「え!? 柳瀬さんがそこまで気を遣わなくても」
「ややこしい話がもっとややこしくなりそうだから絶対俺は居ない方がいいに決まってるんだって。 じゃあ俺適当に出掛けてくるわ」
話もわかった事だし俺は神崎の部屋を出て玄関から出ようとすると日向の部屋のドアが開いた。 嘘だろ……
「え?」
日向の部屋から出て来たのは日向ではなく香奈という女の子だった。 あー、タイミング激悪だ。
「こ、こんばんは」
「へ? こんばんは。 ええと……」
とりあえず挨拶はしといたけど見知らぬ男の俺に困惑しているようだった。
「こ、これはこれは柳瀬さん! いらっしゃいませ、どうかしましたか!?」
異変を察知したのか神崎が部屋から出て来た。
ナイス神崎! この場をどうにかしてくれ! てか「どうかしましたか!?」って俺が結局理由を考えるのかよ……
「あ…… えーと妹が学校の帰りにひ…… 麻里のとこに寄りたいって言ってたからさ。 それで遅くなるって連絡来たからとりあえず俺だけここに寄ってみた」
「あら、そうでしたか! なら遠慮なく上がって下さい」
「莉亜ちゃんこの人知り合い?」
「は、はい! この方は麻里の親戚の方でして柳瀬清人さんです。 あ! この子は稲葉 香奈と申します。 私の学校の同級生です」
「そうだったんですね! 麻里ちゃんとはいつも仲良くさせてもらってます!」
「ははは…… これからも仲良くしてやってくれ。 というかお邪魔みたいだし俺はこれで」
よし、これでこの場から退散できる。 後は若い奴らでなんとかしてくれるだろう。 …… のはずだったのが。
「邪魔だなんてとんでもない! 柳瀬さんもうちで夕飯を食べて行かれてはどうでしょう?」
は?
「今日は麻里の当番でしたが私が代わりましょう、なので香奈や小島君は麻里とゆっくり話していて下さい!」
いやいやいや、何さらっと俺を巻き込もうとしてるんだこいつは?
すると神崎の部屋から篠原が飛び出して来て俺に飛び付いた。
「うあーん! 清にぃ!! 私に会いに来てくれたのね!? 嬉しい!」
「は? え!?」
「なかなか来てくれないから私寂しくて死にそうだったんだよ!?」
篠原はウルウルと涙を滲ませて俺をキツく抱きしめた。 え? こいつは今度は何を言い出してんだ?
「あのー…… もしかして彩奈ちゃんって?」
「………… 見ての通りこういう事です」
どういう事!?
日向がドアから顔を出して物凄いヘイトオーラを篠原に向けているのだった。




