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「あのー、風邪だし寒気がするかと思って辛い物がいいのかなぁなんて思って…… これなんだけど」
俺が思ったより具合悪そうだったのか先輩はなんだか遠慮気味に買ってきた弁当を俺に差し出した。
激辛カレー。 風邪の人のお見舞いにこのチョイス…… しかも特盛、んなもん食えるか!! と他の奴には言うんだが何せ先輩だ。 というかそれでも嬉しい。
「ちょうどこんなの食べたいと思ってたんですよ(白目)」
「あ、そっかぁ。 良かった、柳瀬君見た瞬間なんてバカなの買ってきたんだろうって思って恥ずかしくて」
「…… ただ少し量が多くて食べきれないかもしれません」
「じゃあ一緒に食べよ?」
「え? でももう一個買って来てますよね?」
「ううん、いいの。 柳瀬君に気を遣わせちゃったみたいだし」
あ…… やっぱバレてる。 けど一緒に食べるってどうするんだろ?
「じゃあ柳瀬君から食べていいよ」
「へ?」
先輩はカレーを開けて俺に渡してきた。 先輩は食べないのか?
「じゃあ…… いただきます」
辛い…… 3分の1ほど食べたところで限界だった。 もともと食欲なかったし。
「お腹いっぱい?」
「はい、せっかく買って頂いたのに申し訳ありません」
「んーん、じゃあ後は私が食べるよ」
先輩は俺からカレーとスプーンを取ったと思ったらそのまま食べ出した。
俺のスプーン! と思ったけど先輩はなんて事ないようだ、間接キスじゃないか…… それに病人のスプーン使ったら先輩も移っちゃうような。
「ん? 何?」
「先輩…… スプーン」
「あ! ひとつしかなかったから…… やっぱり嫌だった?」
何が嫌なんだろう? いいに決まってる。 ってそこじゃないや。
「風邪移っちゃいますよ?」
「んあッ! そ、そうだった。 私ってバカだねぇ、あはは。 まぁ今更だしいっか。 ていうより辛いねこれ」
先輩は暑いのか胸元をパタパタとさせている。 なんかエロい……
「エアコンの温度下げます? この部屋少し暑いですもんね」
「あ、いいのいいの! 食べる前はちょうど良かったから」
弁当を食べ終わり先輩が今日の会社であった事など俺に話していた。
「柳瀬君、トイレかりてもいいかな?」
「はい、いいですよ。 廊下真っ直ぐ行くとトイレなので」
先輩がトイレに行くと俺は何か見られてマズい物がないか部屋を見渡す。 先輩が居る前でチラチラと部屋の中を見るのも怪しまれるしな。
ふぅ…… 篠原のバカの鞄以外は怪しい物は特にないよな? それにしても先輩に隠し事するなんて俺って最低だな。
その時廊下からガシャンと音が聞こえたと思ったら先輩が戻ってきた。
「どうしました?」
「ごめん、暗くてわからなかったけど500円貯金箱蹴飛ばしちゃった。 なんで柳瀬君の部屋の前にこんなのあるんだろう?」
「あ! それは…… こういう所だから共有できる物はみんなで共有しようという事になって何かお金かかる物とかあればそこから使おうってわけでお金があったらそこに入れてるんですがでも結局貯金箱なのでちょくちょく開けるわけにもいかずお金だけ入れてます」
くッ…… 嘘が嘘を呼んでしまう、もうちょっとまともな嘘をつけよ俺。 バカなの? と思われるじゃないか。
「ふふッ、なんかいいねそういうの。 私も入れちゃおっかなぁ」
「え? 悪いですよ」
「いいからいいから。 柳瀬君がお世話になってます的な意味でさ」
先輩は財布から500円を取り出して貯金箱に入れた。 だけどやっぱり先輩のそんな所好きだなぁ。
「そうそう、そういえばここの人達って2人くらい女の子住んでる?」
「え!? な、何故ですか?」
「洗面所に化粧水とかメイク落としとか女物の物結構あったからさ、1人じゃないのかなって思って」
俺以外全員女です、しかも女子高生…… なんて言えない。
「え、ええと、確かにいますね、1人ですけど。 彩みたいに派手な子で化粧になんだか入念でいろんな化粧道具買ってます」
「へぇ。 1人…… やっぱり居るんだ?」
先輩は下唇に人差し指を置いてうーんと考えるように呟いた。
げげ…… 怪しんでる? そりゃその場しのぎだから怪しまれそうだけど。
「その子結構美人?」
「え!? あ、まぁそれなりに。 でも先輩の方が美人です」
「へ!? 私が美人? やだ柳瀬君ったら。 うふふ」
先輩はにかんで微笑む。 怪しまれずに済んだか? 前来た時もトイレには行ったけど酔っ払ってたから気付かなかったのかもしれない。 やっぱり何か間違えば一気にバレるかもしれない……




