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ピピピピッと目覚ましの音で目が覚める。 知らない天井…… ああ、そういやここに越して来たんだっけ。



昨日は夕飯を食べた後風呂に入って寝たんだっけ。 明日から会社だし少し気を引き締めるか! なんてそんなにやる気がある方ではないけどな。



でもここに住めば今まで車で片道50分だったのが5分ちょいで着いてしまう、いやぁ、楽だ。 朝もゆっくりと過ごせる。



仕事は楽そうな所を選んだつもりだったんだけど距離は甘く見ていた。 最初はこんなんなんとかなるだろと思ったけど眠い朝に長時間運転したくない気持ちの方が行ってて勝ってしまったのだ。



なんにしろ住めば都、後はここの住人に慣れてしまえばいいんだろうけど。 と思っているとドアをノックされた。



なんか…… あんまり出たくないな、何か買い出しに行かされるんだろうか? 俺ってこの中じゃ1番年長なのに1番位が低い気がする、仕事と同じで入った者順だからか?



ドンドンドン! と音が強く鳴る、はいはい。 出ればいいんだろ……



と、ドアを開けようとしたら痺れを切らしたのか向こうがドアを開けた。 ノックしてたのは篠原だった。



「清っち遅い!」

「何勝手に開けてんだよ?」

「えー? それ清っちだけには言われたくないなぁ」

「あー、すみませんでした。 それでなんだよ?」



篠原は俺の部屋をサッと見て「ふぅーん」と言って俺を見る。



「実はね、通販で棚買ったんだけど組み立てるの苦手で良かったら清っちがやってくれないかなぁ? なんて思ってたんよ」

「思ってたんよって…… いきなり図々しい事言いやがって。 大体組み立てられないなら買うなよ」

「清っちモテないだろ?」

「はぁ!?」

「こんな可愛い私の頼みなら普通は喜んでやってくれると思うんだけど?」



篠原は露出度が高い。 キャミソールにショートパンツ姿で濃い目の化粧にギラギラとしたマニキュア…… こいついろいろ遊んでそうだな。



「ん〜? あれぇ〜、そう言われて私を意識しちゃった?」

「あ? 自意識過剰もいい加減にしろよ、お前なんてただの調子こいてるガキだ。 大人の女はもっと落ち着いた色気があるんだよ、お前みたいに無駄に派手にしなくてもな!」

「へぇ、清っちのくせに言うじゃん? だったらその大人の色気ってのを教えてくれるかな?」

「な、何を……」



篠原は俺の首に腕を回して舌をペロッと出して誘惑するような顔で俺に迫る。



「お、お前本気か!? こんな所で…… いや、それよりもまた変な疑いをかけられる!」

「私がOKなら誰も文句言わないと思うけどなぁ」



篠原の顔がどんどん俺に近付いてきた時、真正面の部屋のドアが開き、神崎がそんな俺と篠原を見て唖然とした顔をしている。 篠原の奴俺の部屋のドア開けっぱだ……



「あ、あなた達はこんな昼間から何をしてるんですか?」

「いやぁー、清っちが私の事ガキンチョだって言って、なら俺が大人の凄さを教えてやるよみたいな?」

「な、なんだよその誤解を招く発言は! 違う、これはこいつが勝手に! そもそもなんだよ!?」

「あなたは来た初日から私のお風呂は覗くはその次は不純異性行為を働くわ…… 猿なんですか!! 一体何しにここに来たんですか!?」



神崎はバタンと俺の部屋を閉めた。 いや、お風呂は事故だったって納得しただろ…… てか猿って酷くないか?



「あーあ、莉亜怒っちゃったじゃん」

「お前のせいだろ!」

「私悪くないもーん! 清っちが私のお願いを最初から快く引き受けていればこんな事になんなかったじゃん?」

「つまりお前が最初から来なければ良かったという事だよな? もう出てけよ」



すると篠原は出て行くどころか俺の部屋のベッドにコテンと寝転がる。



「まぁいーじゃん? 莉亜って少し真面目過ぎるから刺激与えた方が女として魅力が上がるじゃん?」

「それはそうとしてなんでお前は人の部屋で寛いでんの?」

「別にぃ〜。 私が居て嬉しいでしょ? なんせ清っちエロいし」

「なんで俺がエロいんだよ!?」



つーか男なら仕方ないとこもあるだろ!



「だってさっき顔真っ赤にしてたじゃん? ガキンチョの私に。 なんだかんだでJKに興奮したんでしょ? 猿とかってウケるわ、あはは! 莉亜もたまにはいい事言うじゃない」



あー、ダメだこりゃ…… 完全にこいつのペースだわ。 



「…… それで? 棚はどうすんだよ?」

「え? 作ってくれるの?」

「作らなきゃお前出て行きそうにねぇじゃねぇか」

「うん、そうだよ。 やったぁ」



やったぁじゃねぇよ、たくッ。 俺は篠原と一緒に部屋へ行った。 



まぁなんとも…… 篠原らしいキラキラした部屋だ。 だがなんか家具はボロい。 ボロいと言うか上手く作れなかったと言った方がいいか。



「私さー、こういうの決定的に苦手みたいなんだよねぇ、麻里に頼んでもあの子あんな感じじゃん? めんどくさがってやってくれないに決まってるし莉亜なんてそれくらい自分でやりなさいとか言ってやってくれないんだよねぇ」

「それでこれか。 カバーとか掛けて誤魔化してるようだけど酷いなこれ」

「でしょ〜? だから頼んでんの。 男の凄さ見せてね!」



篠原はキャピキャピと俺の後ろで白々しいエールを送る。 はぁ〜、なんでこんな事しなきゃいけないんだか。




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