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「柳瀬先輩これからよろしくお願いします!」
「よろしくな如月」
如月ゆい…… 年明け早々俺の場所に新人が入社した。 ショートカットで元気良さそうで性格的には篠原っぽい明るい奴だ。
ここに来たという事は資材管理やら在庫管理、たまに配達とかか? てことは先輩と接する機会が減っちまうって事か!?
「柳瀬君に教えて貰えばバッチリね!」
「バッチリ…… ですかね?」
「うんうん、柳瀬君飲み込み早いから教えるのも上手いかもしれないしね、これで繁忙期になってもゆいちゃんも居れば大分楽になるよ」
「はぁ…… なるほど」
「じゃあまず私の所から教えるから。 ついてきて、ゆいちゃん」
「はい!」
くッ…… そこは俺のポジションだったはず。 覚えられたら先輩が顔を出す必要がなくなってしまう、だけど覚えさせないと先輩も辛いはず、なんてこった。
「柳瀬、今度の新人の子可愛いじゃん! しかも若い、なんでお前の部署なんだよー」
「知らないですよ、新人が来るって去年から聞いてましたけど俺のとこに来るなんて」
「なんだ興味なしか?」
「仕事ですよ、女あさりに来てるわけじゃないですし」
「うわぁー、お前そんなんだと女出来ねぇぞ? つかもう休憩終わりだな、じゃな」
ははは…… だが実は俺も先輩目的なんて言えないな。
繁忙期以外は基本俺はたまに先輩が来てその時以外は俺の前に居た人に教えてもらっていたんだが俺が大体出来るようになった時辞めてしまって俺1人みたいなもんだった。 それでこっちに回されたんだろうが。
外の喫煙所で休憩していたがそろそろ休憩が終わるのでタバコを消そうとした時……
「あ、見つけました柳瀬先輩!」
「如月…… なんでここに?」
「乙川先輩が柳瀬先輩は外でタバコ吸ってるって聞いたので」
「ああ、そう。 それでどうした?」
「柳瀬先輩のやってる事も覚えなさいって事で柳瀬先輩の所に来ちゃいました。 あー、でもあたし休憩今からなんですよねぇ」
「じゃあ終わってから来いよ、初日なんだし無理する事ないしゆっくり覚えていけばいいよ」
タバコを消して戻る前に自販機でジュースを買った。
「ほら」
「え? あのこれは?」
「とりあえず歓迎の挨拶。 安っぽいけどな、これからよろしく」
あーだこーだ言っても先輩が楽になるなら仕方がない。 それに仕事だしな、年末に俺みたいなとんでもないヘマをしないようにこいつにしっかり教えないと。
「柳瀬せーんぱいッ!」
「うわッ、なんだよ?」
考え事していると後ろに居た如月が目の前に居てビックリする。
「なーんかあたしの第一印象あんまり良くなかったようだから柳瀬先輩に嫌われてるのかと思っちゃいました、でもそうでもないみたいですね」
「なんでそうなるんだよ?」
「だって乙川先輩とあたしに対する態度全然違うじゃないですか? これでもあたしって結構イケてると思うんですけど?」
「はぁ? 先輩は…… 先輩だ、敬っているだけだ。 もともと俺はこんなんだよ」
「あははは、そうですね。 意外といい男かもしれないですね!」
「はぁ、調子狂う奴だなぁ。 って仕事戻んないと」
いやー、ギクッとする事聞く奴だ、敬っているのは敬ってるけどそれ以上に先輩の事が好きなんだが最初は確かに如月が居たら先輩と…… なんて思っていたから嫌いとかそういうのではないが鬱陶しいかもしれないと思っていたからな、いい男かもなんてのは見当違いもいい所だ。
「ただいま戻りましたぁ!」
「じゃあまず商品覚えてかないとな。 うちの会社は無駄に多いから覚えるの大変だけど」
「乙川先輩にも言われました、あたし覚えれますかねぇ?」
「俺に聞くなよ…… お前の事よく知らないんだし」
「あはは、そうでした」
そうして如月に教えながらその日の仕事は終わった。
「柳瀬先輩お疲れ様でーす!」
「ああ、お疲れ」
俺がもう人に教える立場になるなんてな。 慣れない事してると疲れるわ。
「柳瀬君お疲れ様」
「あ、先輩」
「どう? ゆいちゃん」
「どうでしょう? 最初ですから」
「もぉ〜、柳瀬君ったら真面目なんだから。 可愛いよね? って意味で聞いたんだけど」
「あ、そっちですか。 なんていうか教えるのに忙しくてそこまでは……」
そりゃ如月は可愛いと思うけど俺には先輩が居るし。
「柳瀬君がゆいちゃんの可愛さにメロメロになって仕事が手に付かなくなったかなぁなんて思ったんだけど」
「ええ!? そ、そんな風に見えますか?」
「うふふ、柳瀬君ったら焦っちゃって可愛いんだから。 じゃ気を付けて帰ってね」
「先輩こそ。 お疲れ様でした」
「あ、そーだ! 渡すの忘れてた。 この前水族館に行ったでしょ? このイルカのキーホルダー可愛いから柳瀬君に買ったんだけど」
先輩は俺の手を取ってキーホルダーを握らせた。 ドキリとした……
「気に入ったらなんかに付けててよ、じゃあ今度こそお疲れ様!」
先輩は満面の笑みで車の方へ行った。 俺は手を握ったまままだ先輩の温もりが感じる右手を見つめていた。




