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朝目が覚めて窓を開けると一面真っ白。 



大雪だったんだなやっぱり…… 車の雪でも降ろしとかないとなと思って外に出ると誰かが雪かきをしていたようで玄関先などの雪も除けられていた。



誰がやったんだろう?



「おはようございます。 というか寒いです! 外に出ないなら閉めておいて下さい」

「お前雪かきした?」

「雪かき? ああ、そうです! しなくてはいけません! 私とした事がまた」

「いや、もう済んでるからいいんだ」

「え? 柳瀬さんがやられたのですか?」

「やってないから今外見てたんだ」

「どこのどなたかはたまたやりそうにはないですが麻里か彩奈か知りませんがありがたいですね」

「ふああ〜ッ、朝っぱらから何してんのさ?」

「彩奈おはようございます。 誰かが雪かきしてくれてたんですよ」

「ふーん、そんなのどうでもいいじゃん。 とっとと朝ご飯にしたら?」

「どうでもいいって…… あ、今日は麻里でしたね」



日向か…… あいつの朝ご飯は確かに目が覚めるからな。 既に寝癖頭の日向がキッチンで料理していた。 料理本の成果を今日早速試す気か? と少し期待したのだが……



「どうぞ……」

「麻里〜、この焦げた物体は何?」

「ハンバーグ。 ちゃんと中まで火が通ってるから大丈夫」

「朝からハンバーグとは…… なかなか気合いが入っていますね」

「中まで火通ってるとかそういう問題? どう見ても焦がしただけだよね? それに莉亜も言ってるけどなんで朝からハンバーグ?」

「朝ご飯は大事ってどこかで聞いた」

「…… 朝から胃もたれしそう」

「彩奈、麻里なりに頑張ったのですから食べましょう」



一口食べてみるとガリガリとハンバーグらしからぬ歯応え……



「清っち私の半分あげる」



半分でギブアップしたのか篠原が俺の皿に食べ掛けのハンバーグを置いた。



「むぅー……」

「どっちみち朝はあんまり食欲ないからさ、睨むなって麻里」



篠原はわしゃわしゃと日向を撫でて寝癖がついてる日向の頭を更にめちゃくちゃにした。



というより渡されても俺も食べているうちに食欲減退してきた。 神崎を見ると流石は神崎お行儀良く食べていた。 



「どうかしましたか?」

「いやぁ、お前はいつも行儀良くて立派だなって思っただけだ」

「そうですか…… ハッ!!」



そう言われた時日向も食べ掛けのハンバーグを神崎の皿に置いた。



「あたしも朝食欲ない。 よく考えたらこんな食べれないからあげる」

「ひ、酷いです麻里〜ッ!!」



神崎はこちらを見るが俺の皿の上にも篠原の分が乗っているので何か諦めたようだ。 こいつもひょっとして俺に擦りつけようとしやがったな!?



「では行ってらっしゃい」

「頑張って」

「風邪引くなよぉー」



なんかこいつらに見送られるのも変な感じだな。 それはそうと明日はクリスマスイヴか。



先輩を誘ってみるか? …… 出来るか? いや、やるんだ!先輩とクリスマスなんて夢のようじゃないか。



よし、勇気を出して今日先輩に切り出そう。 何事も動き出さなきゃ先輩とクリスマスデートなんて夢のまた夢だ。



だけど不安要素がひとつある。 あまり考えないようにしていたのだが先輩には好きな人が居るという風の噂があった。



そうだったら俺は絶望のどん底に突き落とされるので先輩と居てもその事は聞かずじまいでいた。



「あ、おはよう柳瀬君」

「おはようございます」

「ん?」

「あ、いえ。 今日も頑張りましょう」

「フフッ、変なの」



先輩はこっちに来て手伝いをしているというのになかなか切り出せない。 いざ言おうと思うと緊張する。 明らかにデートのお誘いだからだ。



「柳瀬君どうしたの? 珍しく手が止まってるね、疲れた?」

「そんなわけでは……」



そして遂にかえり間際、俺は決心して切り出した。



「せ、先輩」

「なぁに?」

「明日の仕事終わり空いてますか?」

「え? それって。 あ…… ごめん! 明日は空いてないんだ」



ガーーーーンッ!! 噂は本当だったのか!?



「な、なら明後日は?」

「本当ごめん! 明日も明後日もダメなの……」

「そ…… そうですか。 すみません」

「柳瀬君」

「いえ、なんでもありません! 先輩を少しからかってみただけです」

「えー? 柳瀬君ってそういう事するタイプには見えないけど……」

「あはは、じゃあしてやったりですね。 お疲れ様でした」



俺は逃げるように先輩から離れた、さよなら俺の恋…… やっぱり先輩には好きな人が居たんだ、終わった。



放心状態で家に帰るとちょうど顔を少し赤くした篠原が廊下に居た。 



「およ? 清っちおかえり」

「…………」

「清っち?」



答える気力もなく俺は部屋へ行きベッドへダイブした。




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