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コンビニで夕飯を食べ終わり頭を冷やすため少し寄り道して帰っている途中で思い出した。



そういえば日向ドライブ行きたいって言ってたな。 なんか楽しみにしていたようだしちゃんと約束守ってやらないとな。 はぁー、帰るか。



寮に着くとキッチンは電気がついていない。 よし、先に食べてたな。



部屋に行ってベッドに横たわる。 



あーあ、先輩に迷惑掛けちまったなぁ、そのお陰か先輩の顔をよく見れなかったな。 



なんて考えているとドアが開いた。 篠原だった。 ノックしろよ……



「あ、清っちいい?」

「いきなり入ってくるなよビックリする」

「あはは、見られちゃマズい事でもしてた? 男ってアレだから」

「アレってなんだよ…… てか何?」

「そうそう、清っちゲーム持ってたよね? あれやらして」

「お前出来んのかよ?」



そう言うと篠原はゲーム機のところまで来て電源を入れた。 



「にひひ。 どお?」

「どお? って…… 電源入れただけだろ?」

「じゃあこれやろ!」

「俺やるとは一言も言ってないけど?」

「いーからいーから! あ! 良いのあるじゃん! これに決めた」



構わず格ゲーを選んでセットすると俺の手にコントローラーを持たせた。



「ここまでしてるんだから私とやらないわけにいかないよねぇ?」



唇に人差し指を当てて誘うような顔付きで篠原はそう言った。



「何エロチックに言ってんだ? クソガキ」

「ちぇーッ! クラスの男子ならメロメロなんだけどなぁー」



まぁ仕方ないので篠原とゲームしてみると意外とこいつ強い……



「お前そんなハメ技どこで覚えたの?」

「男子の友達の家でやってらねぇ、強くなっちゃった」

「あー、なるほどね」



そのまま1時間くらい篠原とゲームを続けた。 



「くそー! 清っちなかなかやるじゃん! 流石大人!」

「それ関係あるか?」

「清っちがいつも強調して言ってるからでしょぉー?」



篠原は肩で俺の肩をグイッと押した。



「あははッ! ゲームでは倒せなかったけどこっちでは倒せた」

「いきなりぶつかんなよな!」

「わぁー、怒った怒った! 怖いから退散しよぉー! じゃあね」



そう言って篠原は俺の部屋から出て行った。 なんなんだよいきなり来やがって……



ゲームの電源を落とし少し携帯を弄っているとドアがノックされた。



「誰だ?」

「あたし……」



ドアの隙間から日向が遠慮がちに顔を出した。 



「怒ってる?」

「え?」

「さっき清人の怒鳴り声したから」

「あー、それ篠原の奴がいきなりぶつかったからだわ。 怒ってねぇよ」

「そう。 入っていい?」

「いいけど?」



日向が入ってくると部屋の真ん中に立ち何を言うわけでもなく俺を見下ろす。 



なんかずっとそうされてると変な威圧感あるな……



「なぁ、何か用…… なのか?」



日向はふうっと息を吐いたと思うと手を伸ばした。



「え?」



その手をポンと俺の頭に置いた。



「何これ?」



そして離してまたポンと手を置く……



「…… 清人もしたでしょ?」

「え? ああ」



日向は何やら自分のパーカーワンピのポケットを弄り始める、探し物が見つからないのか両手を突っ込む。 手を出そうとするが捲れ上がって日向の白い太腿が露わになる。



「お前パンツ見せる気か!?」

「あッ……」



日向の両手を掴んでポケットから手を引っこ抜くとポトッと何かが落ちた。



「これあげる」

「飴……?」

「疲れたら甘い物って聞いた」



そう言って日向はクルッと後ろを向いてドアの方へ行ったかと思うとピタッと止まって俺の方を向いた。



俺の肩に両手を置いて微笑を浮かべたので少しドキッとした。



「清人お疲れ様」



そう言い日向は出て行った。 なんだ? 前に俺がやったのをお返しか? でもなんかこの接し方って……



とりあえず明日も忙しいので風呂に入ってきてきょうはもう寝ようと思うとまたドアをノックされる。 



「柳瀬さん、いいですか?」



今度は神崎だった。



「いいんですか? ダメなんですか? それとも寝てるんですか?」



俺が返事しないでいると若干イラッとしたのか少し語気を強めて言う。



「あ、いいよ」

「失礼します」



神崎はペコッとお辞儀して遠慮しがちにドアを開けてマグカップを持って俺の部屋に入ってきた。 神崎も寝る前のようでパジャマに眼鏡姿だった。



「あ…… これどうぞ」



持っていたカップにはホットミルクが入っていた。



「ありがとう。 なんかさっきから篠原といい日向といいみんな来たけど……」

「そ、そのようですね。 冷めないうちに飲んで下さい」

「ああ。 いただきます………… 甘い」

「蜂蜜入れたんです。 疲れた時には甘い物が良いって言いますし……」



ああ、確かになんかこの甘みはなんか良いな。 元から甘いのは好きだけど疲れた身体に染みる。



「あのさ…… もしかして励まそうとしてくれてる?」

「そ、それはッ…… はい、そんなところです。 私らがどうこうしたとしても柳瀬さんがどうにかなるわけではないですが一応あなたにもお世話になっているので。 電話越しですが少し柳瀬さんの気分が落ちてるように感じて差し出がましいとは思いましたけど」

「それであいつら……」

「柳瀬さんから電話があった時ちょうどみんなでおやつを食べていたので麻里がどうかしたの? と尋ねてきたのであなたが元気ないみたいって言ったら励ましてあげたいと言って。 正直麻里がそんな事言うなんてビックリでしたが。 でもこうして柳瀬さんも一緒に住んでいるわけですし…… 」



そうか、やっぱりな。 



「…… ありがとな。 確かにちょっと落ち込んでたわ、だけどなんかお前らの入れ代わり立ち代わり見てたら面白くて元気出てきたわ」

「んなッ…… 面白いって…… せっかく!」

「はははッ、ああ、わかってるって。 だからありがとな」

「はぁ〜、心配して損しました」



怒らせたかと思ったけど神崎は俺を見てクスッと笑った。



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