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やっぱりこんな所来たのが間違いだった、そんなの最初からわかっていた。 遅かれ早かれこんな時が来るという事を。 それが住む前に発覚して良かったのかもしれない。 いや、こんな事になったらもう全然良くないよな? 俺は今どうしたらいい? 俺の意識だけがこの場を支配して時間を置き去りにしている状況の中、俺とバスタオル姿の彼女は立ち尽くしていた。 てか美人だなぁ……
一瞬の事だが様々な思いが駆け巡っていたその時最初にアクションを起こしたのは彼女だった。
「い、いやぁあああああッ!!! 変態!」
「ちょ、ちょっと待て! これは事故で!」
想定内の罵倒だが俺の言い分は彼女の悲鳴にかき消さられ女性に叫ばれ萎縮してしまった時に他の部屋がガチャリと開く音が聞こえた。
「なぁーに? どうしたん?」
「うるさ……」
開いたドアの方を見ると2人の女の子達が出て来た、タブーを犯してしまった今最悪のタイミングだ。
1人は金髪毛先ピンクでなんかギャルのような奴とそれとは一転物凄く気怠そうにこちらを見ている眠そうな顔をしている女の子。
「こ、ここここの人変態です! わ、私がお風呂入っている所を!」
「ち、違うんだって! 俺はただトイレに行こうとしてただけなんだって!」
「嘘です! 不法侵入の変態です! って見ないで下さい!」
「ごめんって! 出てく! 出てくからッ!!」
バタンとドアを閉めた。 な、なんて事を俺はしてしまったんだ…… オチオチトイレにも行けない。 ていうよりこの後俺どうなるんだ!?
ふと気付くと2人の女の子が俺をジーッと見下していた。
「ププッ、不法侵入の変態」
「ふーん、変態なんだ……」
「だから違うんだって! 俺は今日ここに引っ越しの荷物を置きに来ただけで」
「ん? あー、確か大家さんが言ってたなぁ。 新入りくるって」
「それがこの変態……」
「そう! そうだけど変態じゃない! そういう風に見えたかもしれないけど誤解だ! 誰が好き好んで過ちを犯すんだよ!?」
「後先考えずに変態ならきっとやる……」
こ、この超テンション低い奴は余計な事を…… 変態変態って人の事変態扱いしやがって!
「そっかぁ。 新しい住人は変態だったかぁ、ある意味それはそれで面白そうじゃん」
「用心しないと明日は我が身。まぁ自分じゃないからどうでもいいけど」
悪夢だ…… 親父のせいだ、全部親父のせいだ。
そんな事を思っていると俺の背後の風呂場のドアがドンドンと叩かれる。
「変態が早くどかないから怒ってるよ?」
「だから違う……」
「眠い。 せっかく寝てたのに変態のせいで起こされた、もうひと眠りする」
「あ、私も友達と話してたんだった」
「え? あ、おい……」
2人の女の子は部屋へと戻っていた。 そして背後のドアがゆっくりと少し開いた。
「いつまでそこに居るんですか? 邪魔なんですけど…… それにあなたとは話があるので逃げないで下さいね、出るとこ出ますか?」
女の子はドアの隙間から俺を見下ろし怒りの眼差しを向けて俺に言った。 終わった……
放心状態で部屋に戻り荷ほどきどころではなくなってしまったのでソワソワと狭いへやをウロウロして気を紛らわそうとするが全然紛れない。
しばらくすると部屋のドアをノックされた。 恐る恐るドアを開けるとさっきの女の子が立っていた。
怒ってる。 めっちゃ怒ってる…… けど凄く美人だ、気が強そうなのは態度と顔でわかる。 綺麗に整っているセミロングの髪に少しつり目だけどパッチリしていて色白な顔が艶っとした唇の色を引き立たせている。
「さっき……」
「え?」
「ドア越しから話は聞いてましたけどあなたがここに越してきた新しい住人なんですね?」
「そ、そうなんだ! だからよくわからなくてたまたまトイレに行こうとしたら君がこれまたたまたま出て来て事故なんだ!」
「事故って言えば変態だと思われないと思ったら大間違いですよ?」
物凄い睨んでる…… じゃあどうしろってんだ。
「ふん! とにかく越してきたのがあなたみたいな変態なんて最悪です、大家さんに部屋に鍵を掛けてもらうように言っておかないと」
「だからごめんって! 鍵掛けるのは俺も賛成だけどこの事はどうか穏便に。 頼みます!」
「それはあなた次第ですね。 今回は悪気がなかったという事で特別に許容しますけど、でも次にやったら警察を呼びます、いいですね!?」
「は、はい!!」
そしてバタンと扉が閉められた。
はぁ〜、た、助かったのか? 良かった…… じゃあねぇよ!! なんだあの態度!? 何度も謝ってるじゃねぇか!なのにくどくどとしつこく! これだからクソガキは。
ちょっとくらい可愛いからって調子に乗ってんじゃ…… いや、かなり可愛いかったな。 思い返せば他の2人も。
なのに俺は変態扱い。 初めて来たのに印象最悪とかって最悪だな…… まぁそんなに落ち込むな、あいつら可愛いって言っても所詮はガキだ! だがそんなガキ3人から軽蔑の眼差しで見られるとは。