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「車って便利……」

「そりゃあ歩くより楽だからな」

「ドライブ楽しい、重い物運ばなくて済む、清人居るから」

「お前とことん面倒くさがりだな、はぁ〜」

「こういう時だけ清人のありがたみを感じる」



一言余計なんだよ。



そのまままっすぐ店に行って買って帰るのかと思いきや買いに行く前にドライブしたいとか言われたので適当に走っていた。



「停めて」



相変わらずいきなりで急ブレーキになる。 もっと先に言えっつの!



「清人の停め方いつも乱暴……」

「お前のせいだ!」



まぁ何にもないところだから後ろから車も来てなかったし大した事はない。 俺の車のタイヤの消耗以外は……



日向は車を降りて行った。 どこへ行くかと思えば自販機でジュースを買っている、喉が渇いたのか。 



「これ清人の…… 」

「俺に買ってくれたの?」

「一応…… お礼」

「あ、ありがと」



日向に買ってもらったコーヒー…… ブラックだ。 実はブラック苦手だ、酒もビールは苦手でカクテルとかチューハイとかジュースみたいなのが好きなんだよな。



ホルダーに入れしばらく開けずにいると……



「飲まないの?」

「あー、飲むよ」

「ひょっとしてコーヒー苦手?」

「…… いや、苦いのが少し苦手なだけだよ。 買ってもらったのにすまないけど」

「苦手なんじゃん」



当然だがそう言うと日向は少しムスーッとした顔になった。 そしてプイッとそっぽを向いた。 棚買ってやるから許してくれ……



そう思っていると置いたコーヒーを俺から取り上げ日向が買った甘いミルクティーが置かれた。



「交換してあげる」

「え? いいの?」

「いい…… 飲み掛けだけど」

「そうか、ありがと」



そんなん渡すの? とも思ったがなんせ日向だしなで片付けた。



そして運転をしていると隣から日向の視線を物凄く感じるのでミラーでサッと見るとやっぱりだ。 目線だけ俺を向き何を言うわけでもなくこっちを見ている。



俺に何か付いてるのか? 付いていて言いたくても言えない系の恥ずかしい何かか? 



とりあえずミルクティーを飲み顔を手でサッと拭うと日向の視線は感じなくなった。 付いてたもの取れたのかな? と思いキョロキョロしていると……



「何してるの?」

「あ、いやぁ別に」

「前見て運転しなよ」

「…………」



お前が変に見るからじゃねぇか!!



ようやく店に着きどんなのが欲しいのか日向に尋ねる。



「これなんかどうだ?」

「うーん……」



日向は手頃な棚を手に取って見ようとした。 なんかデカいの選ぶんだな。



「お、重い……」

「これか?」



日向が持ち上げようとしたが持ち上がらないようなので俺が持ち上げてみる。 うーん、ちょっと日向には重いだろうなぁ。



「清人って意外と力持ち…… 顔は子供っぽいのに」

「一言余計だよな。 それで? これにするのか?」

「…… よくわかんない」



日向はジーッとその棚を見つめる。 だけど反応を見るからにあんまりこれはお気に召した感じじゃなさそうだ。



「どういう用途のがいいんだ? まぁ棚だし使い道は大体決まってると思うけど」

「よくわかんないあたしが選んでもよくわかんない事になる」



………………。



「じゃあ俺がなんとなくで選んでいいって事か?」

「うん、清人に任せる」

「色とか希望ある?」

「それもお任せ」



日向は…… なんか頭の中真っ白だから白にしよう、本人には言えないけど。



「これでいいか?」



部屋が狭いので前に篠原が買ったのと似たのような大きさの棚を選び日向に確認をすると日向はコクンと頷きそのままレジに行き買い物を済ませて帰った。



「じゃあ組み立ててくるから出来たら持ってくよ」

「あたしの部屋で組み立てていいよ?」

「え、部屋入っていいの? あー、でも散らかるから自分の部屋で作ってくるよ」

「…………」



そう言うと日向に無言で背中を叩かれた。 



「あたしの部屋で作っていいって言ってる。 二度言わせ§$‰¢…………」

「え?」



ボソボソと日向は呟き俺の服を掴んで自分の部屋に入れた。



なんという飾り気のない部屋だ、篠原と違いドノーマルの部屋だ。 そして物がほぼ全てベッド周辺に集中されて置いてある。



わかる、これはわかるぞ、自分の手の届く範囲に全ての物を置くという面倒くさがり屋の極地。 俺も面倒は嫌いだけど日向程ではない。



「ベッドのとこ以外広いでしょ?」

「そういう問題か?」



まぁ作るスペースはあるのでサクサクと作れた。



「よし、完成。 これでベッド周りの物この棚に入れればいいよ。 棚もベッドの隣にすれば今までと大して変わらないだろ?」

「…… うん」



出来た棚を触り日向は口元を手で押さえてニッコリと笑う。



「何?」

「あ、いつもの無表情以外の顔だからつい……」



と言ったら日向はそっぽを向いてまた俺を叩いた。



「…… 清人、買ってくれてありがとう。 いつかお返しするから」

「ああ、まぁ出世払いで構わないよ」



部屋を出て行く時日向を見ると出来た棚を見て心なしか喜んでいるように見えた。 まぁ良かったな。


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