表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
135/150

135


ダメだぁー、朝になっても先輩からは連絡がない。



「おはよう清人、あのね」

「…………」

「おはー清っち」

「…………」

「おはようございます柳瀬さん」

「…………」



俺が朝食のテーブルに着くと3人それぞれなんだか妙な表情をしていた。



あれ? 俺なんかしたっけ?



「清人…… 」

「何のつもりよ清っち?」

「柳瀬さん気分がすぐれないのですか?」

「は? なんの事?」

「…… ッ! だからぁー! はぁ、もういいわ食べよ食べよ」

「? なんだよ……」



なんか空気が少し重い。 え? 俺のせいか?



「では柳瀬さん行ってきます。 あの…… 何か」

「え?」

「いえ、なんでもありません」

「ちょっとぉ〜、それでいいと思ってるの清っち!」

「あたし一緒に居る?」

「いいよ、学校行ってこいよ。 なんでもないって、俺ももう出るからさ」



神崎達が行ったのを見届けると一旦部屋に戻り電話を掛ける、如月にだ。



『あ、柳瀬先輩おはようございます』

『おはよう、先輩来てるか?』

『いえ、今日も来てないみたいです』

『そっかぁ……』



俺は如月に昨日の出来事を話した。 



『ええー、旅行ですか? あたしに何も言わずに? 乙川先輩が?』

『おかしいよな?』

『おかしいですよ! やっぱり拉致とか!?』

『うーん…… でも本当に旅行だったらとんだ早とちりになるしさ』

『それはそうですけど。 あッ! すいません、仕事始まっちゃう』

『あ、悪い。 俺がなんとか先輩と連絡取ってみるよ』



そして電話を切った。 とは言ったものの、なんにも出来ないんだよなぁ。 でももし本当に拉致とかされてたらシャレになんねぇ、このまま午後になるまで待っても変わらなかったらいよいよ先輩の家に行って話してみるしかない、いや、警察にもか?



ちょっと頭の中を整理しよう…… 楽観的な考察だとこの件って事件なのか? 俺と如月以外焦ってないし。 他の奴らは事情なんか知らないから当然なんだけど。 最悪な件は神崎絡みだったとしたら? 拉致と言えば嫌でも神崎のおじいちゃんの顔が思い浮かぶ。



それから1時間近く家で悩んでいると玄関のドアが開いた音がした。 



こんな時間に…… 泥棒か!? まさか神崎家の刺客? 俺なんか消すのなんて容易いみたいな事言ってたからな。 でも今は俺自宅警備員だ、泥棒だったら捕まえてやる、ヒットマン的なあれだったら出来る限り抵抗してやろう。



俺は部屋の隅に移動した、つーかこの部屋隠れる場所なんてないし。 不意打ち出来ないな、ドアの方に移動して開けた瞬間拳を叩き込んだ方がいいか? 



それより不審者の動きが玄関で止まってる。 誰か居るかもしれないと思ってるのか? 俺の靴あるし。



と思ったら動き出したミシッと廊下の板が軋む音が聞こえると洗面所の方へ足音が行くと踵を返しこちら側へ向かって来たような気がした。 俺はドアから少し離れて息を整える。



よ、よし…… 来るなら来てみろだ。 ゴクリと唾を飲み込んだ瞬間俺の部屋のドアが開いた。 



先手必勝だ! と拳をドアを開けたと同時に叩き込む瞬間、俺の目に映ったのはまさかの神崎だった。



「え?」

「は!?」



ギリギリのとこで神崎の横に軌道修正が間に合い壁を殴った。 ドン! と大きな音がして俺の拳にも鈍い痛みが走る、めちゃくちゃ痛ぇ!!



「か、壁…… ドン?」

「神崎かよ〜」

「うええッ!? 壁がへこんでる! 柳瀬さん手は大丈夫ですか? 血が滲んでます」

「だ、大丈夫だよ。 神崎何してんだよ? 学校は?」

「あ、それはええと、その…… 柳瀬さんこそ何してるんですか? 仕事は?」

「う…… それはその……」



神崎もつっこまれたくなかったのか俺と神崎は沈黙する。 



「「神崎(柳瀬さん)!」」



そして話し掛けようとして被った。



「あぅ…… や、柳瀬さんからどうぞ」

「いや、神崎からどうぞ」

「では…… 柳瀬さん昨日からなんだか変だったので麻里や彩奈も心配しておりました、私も。 それで誰か様子を見て来ないかと言う事になってジャンケンで私が行く事になりました」

「へ、へぇ。 なんでそれで家に来たんだ?」

「柳瀬さんの会社にも行ってはみましたが車がなかったので会社には居ないのかと思い家に戻ってきました」



てことは会社には顔出してないって事だよな? 良かった……



ん? それでも全然良くないぞ?! だって出勤しないで家に居るんだし俺。



「柳瀬さん、どうして会社に出社しないでここに居るんですか? やはり何かあったんですか? いえ、そもそも今考えると昨日からではなくここ最近柳瀬さんの様子はずっとおかしかったように思えます。 柳瀬さん!!」



神崎は俺にグイッと近付いた。



「何かあったのなら話して下さい! 頼りないとは思ってますが私達が居るのに1人で抱え込まないで欲しいんです、それが柳瀬さんにとって辛い事なら尚更です。 だって私達は………… 好きな人に隠し事されてるなんて悲しいです、麻里も彩奈も!」

「神崎…………」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ