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『え!? ほんとかそれ?』

『冗談で言わないですよ、というか柳瀬先輩なら何か知ってると思ったんですけど』



珍しく如月から電話が来ていた。 それも先輩が会社に来ていないという事でだ。



『それじゃあ無断で休んでるって事なのか?』

『ええっと…… そこまではよくわかんないですけどとにかくよくわかんないんです!』

『休む前は先輩どんな感じだった?』

『普段と変わらなかったと思います、柳瀬先輩はともかく乙川先輩はそんな事しないと思うので』

『一言余計だバカ』

『もしかして誘拐とかじゃないですかね…… ? 考えたくないですけど』



いや、それだったら先輩の家族も捜索願いくらい出してるだろ…… って先輩の家族はどうしてるんだ?



『とりあえず俺先輩に連絡してみる』

『あたしもそうしたんですけど出ないんですよ』



一旦如月との電話を切り先輩に電話をしてみる…… が出ない。 どうなってんだ!? まさか神崎家が絡んでるのでは?



いやいや、まだそう判断するのは早計だろ、とにかく先輩の家に明日伺ってみようとしたけど場所わかんねぇ、今まで行った事なかったからなぁ。



大体の場所しかわかんないけど。 行くしかない!  



「清っちー!」

「ん?」



いろいろ考えていると篠原が俺の部屋に入って来た。



「ねえねえ!」

「どわッ!」



いきなり抱き付いてきた、こんな時なのに〜! 



「なんだよ? 俺今忙しいんだけど?」

「忙しいって何が?」

「何って……」



あー、まだよくわかりもしれないのに迂闊な事言えないなぁ。



「とにかく忙しいんだ、ちょっと考え事したいから出てってくれよ?」

「むッ! むむッ! なぁにそれ? 思いっ切り邪険にされてるような気がするんですけど?!」

「いいからいいから、後でな?」

「ああん! 何よぉ〜?」



部屋から篠原を追い出し再度先輩に電話を掛けてみる。 だが……



『お掛けになった電話番号は現在…………』



はぁー、やっぱ繋がんないか。 どうしちまったんだろ? だけど無断とかで休んでるなら会社から家に電話行くはずだし行方不明ともなれば先輩の家族から会社に電話くらい行くはずだ。



「清人……」



ドアがノックされた。 と…… 今度は日向か。



「なんだ?」

「…… なんか機嫌悪い?」

「いや、なんで?」

「別に」

「そんで? なんだよ?」

「勉強教えて欲しいなって思って」

「神崎か篠原に教えてもらえよ? 俺今やる事あるからさ」

「…… じゃああたしも手伝うよ?」

「いや大丈夫、神崎でも呼んでくるから勉強見ててもらえよ?」

「ッ!! いい、もういい」

「はぁ?」



まったくなんなんだよ、この立て込んでる時に。 ってこんな事してる場合じゃないよな、電話とか明日とかじゃなくて今すぐだろ、先輩の事なんだから!



「あれ? 柳瀬さんお出掛けですか?」

「ああ、ちょっとな。 ん…… ? そういやお前ってお前の父さんの電話番号とか知ってる?」

「え? あ、いえ…… 番号が一定ではないので。 一度掛け直してみた事もあるのですがそれも出た事ありませんし」

「はぁ、流石お前の父さんだわ」

「え?」

「いや、なんでもない。 じゃあ行ってくるわ」



車に乗ってうろ覚えな先輩の家らしき場所を探す。 



ええと、ここら辺だよな? 乙川、乙川…… あった! 多分ここだ。



インターホンを鳴らし少しすると先輩の親らしき人物が出てきた。 間違えてないよな? 少し先輩に似てるし歳の割に美人だし。



「はい、どなた?」

「あの先輩…… 弥生さんと同じ会社の柳瀬と申しますけど」

「あら! あなたが柳瀬君?」

「え? 俺の事知ってるんですか?」

「知ってるも何も弥生ったらあなたの事よく話してるから。 へぇ、あなたが柳瀬君。 あ、どうかしたの? 弥生に何か用? でもごめんねぇ今友達と旅行に行ってるのよ」

「へ? 旅行?」

「そうなのよ、あ! 何か弥生に急ぎの用でもあった? 伝えとく?」

「い、いえ! 失礼します」

「?? わかったわ、また来てね? 予期せず弥生の噂する柳瀬君に私が会っちゃったから聞かせたらあの子ビックリするわよ、ふふッ」

「は、はぁ…… ではまた」



旅行だって? だったら如月にくらい言っててもおかしくないのになんか変だ。



第一電話に出ないなんてあるかな? 怪しい、絶対変だぞ? やっぱり先輩の家族におかしいって伝えた方がいいか? でももし俺の勘違いだったら無駄な騒ぎを起こして先輩に迷惑が掛かりそうだし。



俺はとりあえず家に戻った。 



「あ、おかえりなさい。 …… 柳瀬さんソワソワしているようですけどどうかしましたか?」

「いや、なんでもないよ。 あ、なんか変わった事とかなかったか?」

「変わった事? 特に何も…… 本当に大丈夫ですか?」

「ああ……」



部屋に戻り先輩に電話ではなくメッセージを送ってみた。 今どこにいますか? と……



だけどいつまで経っても既読にはならなかった。 もしや携帯の充電器を忘れたりとかか? でも友達から借りるとか。 機種が違くて合わない? いやいや、普通はそうだったら充電器くらい買うよな? 



それか旅行に夢中で携帯自体見てないとか? それこそありえないよなぁ。 



不安な気持ちになりながらその日の夜遂にメッセージも既読にならないまま次の日になった。



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