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「ふあ〜ッ」

「柳瀬さん今日もお疲れのようですね?」

「ん? ああ…… そうみたいだな」



暇して暇疲れなんだけどな。 なんせ何していいのか。 空いた時間は山程あるから家の掃除でもしたいんだけど居るわけにはいかないしなぁ。



「清人今日買い出し行くよね? あたしも連れてって」

「麻里も一緒に行くんですか?」

「ダメ?」

「まぁ今日は私が食事当番なので別に構いませんが柳瀬さんに余計なものねだっちゃダメですよ?」

「彩じゃないし」



こうして日向と買い出しに行く事になった。 



「日向、進路とか順調か?」



車の中で日向にそれを聞くと日向はビクッとした。 え? なんだ?



「じゅ、順調……」

「なんか変な間があったけど?」

「…… 順調」

「そ、そうか?」



なんなんだよその微妙な顔は…… 全然順調に思えない回答だぞ?



「停めて!!」

「は!?」



いきなり停めてと言われてまたも急ブレーキ…… 後ろの車からクラクションを鳴らされ冷や汗をかく。 



「お前また……」

「だって着いたのに通り過ぎようとしてたから」

「え?」



あ、ほんとだ。 スーパーに着いてたわ。



「清人の運転ってほんと荒いんだから」

「ははは、ほんとだな」



スーパーの食品売り場で日向が選んだ物をカゴに入れていく。



うーむ。 最初の頃は一緒に来てもなんか適当に入れてた感じだったのに今は主婦みたいに選んで入れてるな。



「何?」

「ああ、なんか成長したなって思ってさ」

「誰が?」

「お前だよ」

「あたし? ふぅん…… けど成績の方はいまいちなんだよね」

「成績?」

「莉亜と彩は余裕だけどあたしはギリギリ」



あ…… それで浮かない顔してたのか。 勉強教えてる俺が俺だもんな、大学入ってもろくに勉強しないでいたからな、そのくせ大学入ったらレッツパーリィとかだと思ってたけどそんな事はなくただただ4年が過ぎた。 確実に入る時よりも頭が悪くなって出た気が否めなくもない。



「それに清人最近忙しかったから」

「よし! んじゃあ勉強教えるよ」

「ほんと? いいの?」

「ああ、任せとけ」



と言っても俺が教えてもギリギリから少し危ないかなぁ程度くらいしか学力が上がらないような気がする、日向にこれまで勉強を教えてきた経験上。



「やった。 大学卒業した清人が教えてくれたらもう安心」

「お、おう……」



そんなに安心するのは危ないかもしれない。 だが日向は不安だったのがぶっ飛んだのか商品コーナーの物陰に行くと俺の肩に顔を押し付けた。



「豚鼻みたいになってるぞ?」

「いいもん」

「じゃあ帰ったら勉強するか?」

「清人さえ良ければ」

「よし、じゃあ決まりだな」



そしてタバコが切れていたので帰りにコンビニに寄った。 いかんとわかりつつも買ってしまう…… はぁ〜。



「ん? なんか欲しいのあるのか?」

「ソフトクリーム食べたい」

「じゃあ買ってやるよ」

「いい、莉亜に怒られるもん」



あ、そういえば先輩とこの前酒飲んでから酒も飲みたくなってきた。 やっぱビールよりチューハイがいいな、飲めない事もないけど苦いビールより甘い方がいいしって…… いかんいかん、どんどん無駄遣いばかりしていくこれじゃ。



「いいよ、ソフトクリームくらいどうって事ないしコンビニで食ってけば問題ないだろ?」

「そっか…… ありがと清人」



無駄遣いは日向のアイスだけで十分だと言い聞かせタバコを買って車に戻ると日向はソフトクリームを食べ出した。



「あ、清人も食べて」

「サンキュ」



嫌な予感、日向があまりに傾けてこちらによこすから案の定……



「あッ!」

「うおッと……」



ソフトクリームがそのままボトッと車のシートに落ちる前に俺の両手でキャッチした。



「ふぅー……」

「凄い清人、手でキャッチ」

「凄いというかこれどうする?」

「大丈夫だよ、そのまま持ってて」

「え?」



すると日向は髪を片方手ですくい上げ俺の手に乗っかってるアイスをペロペロと舐め始めた。 いや、捨てるのはもったいないけどマジか? なんか動物に餌やってるみたいなんだけど?



「美味しい」

「そうか……」

「あと清人が食べていいよ」

「…… お、おう」



いやぁ、手に乗っかったソフトクリーム食べる事になるとは。 直接手に乗っかったのをちょっとばっちいなと思ってジーッと手を見てると食べないの? と言いたげな視線を日向が向けてくるので食べた。



「手がベタベタする」

「洗ってきなよ」

「そうする」



コンビニのトイレで手を洗ってくると日向は空になったコーンを食べていた。



「ご馳走様」

「じゃあ行くか」

「帰ったら勉強教えてね?」

「ああ」



だが帰って来て神崎にそっこーでソフトクリームを食べたのがバレてしまった。 日向の服にコーンのカスが付いていたからだ。 



「怒られちゃった」

「暗くてよく見えなかったからな」

「じゃああたしの部屋に来て」

「清っち清っち! どうどう? この服の組み合わせ似合う?」

「え? ああ」

「ちょうどファッションショーしてたんだ、清っちどれがいいか選んでよ」

「ダメ。 清人は今からあたしと勉強」

「えー? 麻里が勉強? 清っちに教えられてなんとかなるのかなぁ」



失礼な奴だな! まぁ当たってるけど。



「あ! ほんとは清っちとイチャイチャしたいだけでしょー?」

「うるさい。 服なんか莉亜にでも付き合って貰えばいいでしょ?」

「あいつもセンス良い方じゃないからなぁー、勉強バカだし。 今もジャージ眼鏡とかって最悪じゃん?」



なんやかんやで篠原も日向の勉強に付き合う事になった。





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