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「じゃあ後は戸締りお願いしますね柳瀬さん!」

「ああ」

「柳瀬君お仕事頑張ってね。 ごめんね、私今日休む事にしちゃって」

「いえ、先輩こそ気を付けて」

「あたし達が行ったからって変な事しないでね?」

「あはは、それはわかんないよー? 清っちも男だから」

「何が出来るってんだよ……」



神崎達は一足早く家を出る。 先輩は俺が仕事に行くみたいに話を合わせてくれた。 



「行っちゃったねあの子達」

「ですね、先輩はこれからどうするんですか?」

「会社には連絡したし家にも言ったし。 ゆいちゃんに迷惑掛けちゃうけど」

「如月大丈夫ですか?」

「大丈夫も何もあの子結構やるわよ?」

「如月が? なんかいつもドジしてるような印象ばっかなんですけど」

「柳瀬君が居なくなってからさ、本領発揮したのかな? 凄いわよ」



てことは俺が居た時はわざと適当にやってたってか? 



「柳瀬君が居た時は柳瀬君に甘えてたんじゃない? 柳瀬君頼れるから」

「出来れば最初から本領発揮してもらいたかったですね」

「うふふ、だからゆいちゃんもなんだかんだで柳瀬君に甘えたかったんだよ」



先輩は両腕を伸ばすと頭痛がするのか頭を押さえた。



「大丈夫ですか? 二日酔い気味って言ってましたけど」

「飲み過ぎちゃったみたい。 お風呂入ってってもいいかな? ちょっとはスッキリするかも」

「え?」



先輩もなんか俺と同じ事言ってるわ。 



「あ、ちょっと図々しいかな?」

「ぜ、全然! 今お湯入れますんで少し待ってて下さい!」



あ、そうだ。 どうせ風呂入っても治らないと思うから神崎から貰った頭痛薬まだ余ってたよな? それも用意しておこう。



「うん、ありがと。 柳瀬君のお部屋に行ってていいかな?」

「はい、ゆっくりしてて下さい」



風呂場に行きお湯を出して部屋に戻って来ると先輩は俺のベッドに腰掛けてアルバムを見ていた。



「あ! ごめん、勝手に見ちゃってた。 ちょっと気になって」

「いいですよ。 それ少し前から篠原が撮ってたみたいで結構な枚数撮ったから写真にしたみたいなんですよ」

「へぇ、彩奈ちゃんらしいね。 この前海に行った時のもあるね、この頃の彩奈ちゃんまだ白いね、ふふッ」

「日焼けしたの怒ってました」

「あはは、気を付けてたんならそうなるよね。 でも彩奈ちゃんちょっと黒くなっても可愛いじゃない。 莉亜ちゃんも麻里ちゃんも柳瀬君と写ってる時凄く幸せそうな顔してるね」

「そうですか?」

「そうだよ。 私だって本当楽しかったもん、このアルバムに私も写ってるってなんだか凄く嬉しいな」

「あいつらが今俺が仕事してないって知ったらどんな顔しますかね? 特に神崎なんか……」



そう言うと先輩は少しうーんと考えて言った。



「そうだねぇ。 やっぱり莉亜ちゃんは自分のせいだって思って落ち込むんじゃないかなぁ?」

「やっぱりそうですかね」

「莉亜ちゃんだもん。 てか私が莉亜ちゃんでもそう思うよ。 でもいつかはわかっちゃうかもしれないしそれは仕方ないよ、けどそれならなんとかして柳瀬君を助けたいって思うかな。 落ち込んでたって何も変わらないし麻里ちゃんや彩奈ちゃんでもそう思うはずだよ? あの子達にとって柳瀬君はもうそういう存在だと思うな、見ててわかるよ。 私だってそうだもん」

「先輩……」

「言ったでしょ、支えたいって。 だからいっぱい私に頼って? もう仕事は関係なくなっちゃったかもしれないけど私はまだ柳瀬君の先輩のつもりなんだから!」

「はい…… あ!!」

「え?」

「お湯止めるの忘れてました!!」



急いで部屋から出た。 また泣きそうになってしまったから。 



「先輩もう入れますよ?」

「ありがとう、じゃあ入って来るね」



先輩が風呂に入っている間ベッドに置かれてたアルバムを俺も見てみる。



はは…… 神崎の奴ほとんど変な顔してる時に篠原に撮られてる、完全に嫌がらせだな。 日向はそもそも顔があまり写ってない。 篠原は自分が1番可愛く見えるように撮っている、あからさまだなぁ。



だがこんな風に俺がここに来た事を写真に残すって俺なんかじゃ思いもしなかったな。 改めて見るとコツコツと撮っていた篠原ナイスだなと思う。



俺の貯金もどんどん残高が減っていくしわかってしまうのも時間の問題だろう、その前になんとかしたかったけどなんとかなるアテなんかないもんなぁ。



あのクソじじい今度来てみやがれ、神崎の視界から消えたが最後だ、今度は俺が拉致って素っ裸にひん剥いて世に出せない写真でも撮ってそれをネタに脅してやろうか? いや、そうなったらもっと酷くなりそうな予感も……



それをやるなら神崎の父さんか!? つーか俺そしたら本当に変態みたいじゃん。 あの父さんには1発…… いや、ボコボコにしてやった方がいいか? いやいや、あいつら親子にはボディガードみたいな奴らも居るしそんなの無理かな、逆に俺がボコボコにされる結末しか見えない。 いやぁー、社会的制裁されるなんて清々しいくらい嫌われてるな俺。



それ以前に俺と一対一で向かい合う場面も思い付かない。 それにあいつら親子あれでも神崎の父さんとおじいちゃんだもんなぁ。 最低人間だからって手荒な真似したら神崎はいい思いはしないはずだ、特にあのクソじじいの方は神崎から好かれているし…… でも一応荒縄くらい用意しておこうかな。



「柳瀬君」

「ひいッ!? って先輩か、もう上がったんですか?」

「もうって…… 結構ゆっくり入ってたような気がするけど何か考え事してた?」

「いえ、いやそうですね。 先輩の事

考えてました」

「え? エッチ!」

「へ?」



そして先輩と少し話をして帰って行った。 もう10月後半に差し掛かる、神崎達にとってももう進路は確定する時期だろう。









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