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先輩が居るんじゃないかとドキドキしながら篠原の部屋を開けると居ない……



あれ?



「何してるんですか?」

「ッ!! …… て神崎か。 脅かすなよ」

「なんですかそれ? こっちこそ柳瀬さんが怪しい行動してるのでビックリです、彩奈の部屋に何かご用が?」

「いや、先輩が居るんじゃないかと思って。 神崎こそ何してるんだよ?」

「私はトイレに起きただけです。 乙川さんなら麻里の部屋で麻里と寝てますよ?」

「日向の部屋に? なんで?」

「乙川さんが麻里に抱きついて離れなかったんですよ。 というか柳瀬さんも彩奈に抱きついて寝たんですよ? 柳瀬さん力いっぱい彩奈を抱きしめて苦しがってましたよ? 酔っているからと言って柳瀬さんは普通にセクハラです!」

「あはは…… 反省する。 それにしても先輩大丈夫かなぁ? 家に帰らないでここで寝てくなんて、明日も仕事あるのに」



まぁ休むよな? 相当酔っ払ってたような気もするし。



「そうですよね、大丈夫なのでしょうか?」

「たまには休んでもいいんじゃないかな?」

「そんな事で休むなんて社会人としての自覚が足りません! 柳瀬さんじゃあるまいし」

「ははは……」



俺はもう十分休んでるけどな。 



「それより酔いは覚めたようですね? ええとお風呂にでも入ります?」

「ん? ああ、そうしようかな。 ちょっと頭痛するから風呂に入ってさっぱりするかな」

「わかりました。 お風呂から上がっても頭痛かったら私の部屋に寄って下さい、頭痛薬ありますから」

「ありがとな」



風呂にゆっくり浸かって風呂場から出てもまだ頭痛がしたので神崎の部屋に寄る事にした。 あいつまだ起きてんのかな? と思ってノックすると「入って下さい」と神崎の声がした。



「まだ起きてたのか?」

「来るかと思って」



神崎は読書しながら俺を待っていたようだ。 眼鏡をふちをクイッと上げて机の上の方をゴソゴソと手で探った。



「ありました。 どうぞ」

「ん、サンキュー」

「柳瀬さん、乙川さんとは…… 順調ですか?」

「え? うーん。 どうだろ? 俺がどうしようもないからなぁ」

「柳瀬さんが? そんなのみんなわかってるでしょうに」



神崎は何を言ってるんだかという感じにクスクスと笑った。 収入ゼロという意味でどうしようもないって事なんだけどな。



「あ! 別に悪口じゃないですよ? どちらかと言うとどうしようもないのは私ですね……」

「なんで?」

「私…… 麻里や彩奈、乙川さんのように積極的にもなれないで、つまらない女ですよね?」

「どこがだよ? そんな事ねぇだろ、俺はお前の事一度もつまんない女だって思った事ないぞ」

「そ、そうですか?」

「ああ、腹立つ事はよくあったけどな」

「は、はぁ〜!? なんですかそれ! わ、私だってあなたには腹立たしい事ばかりでした!」

「ははッ、だろ? つまんないなんて思う暇なんてなかったよ、ここに来てからな。 それに今はお前が居ると落ち着くよ。 いや、そういうとこが神崎のいいとこだってわかったからかな」

「あ…… そ、それは良かったです、私もええと、その……」

「ふあ〜ッ……」

「柳瀬さん、欠伸しましたよね?」

「ん? ああ、なんか眠くなっていた」

「こ、この……………… ふふふッ。 こんな真夜中ですもんね? じゃあおやすみなさい」



自分の部屋に戻ると篠原はまだ寝ていた。 そうだった、こいつが居るのを忘れてた、今から起こすのもあれだし俺が酔っ払って篠原をここから動けなくしたので仕方なく俺は端っこにより寝た。



「ん〜ッ、清っち……」

「え? お前起きてたのか?」

「ううん、いい匂いしたと思ったら清っちだった。 お風呂入ったんだね?」

「ああ、起こして悪かったな」

「いいよ別に。 清っちずっと私の事抱きしめて離してくれなかったんだから。 どんだけ私の事好きなのよ?」

「あれは酔ってて……」

「んふッ、はいはい。 じゃあ今度は私から抱きしめてあげる」

「え? おい」



篠原に後ろから抱きしめられろくに寝れなかった……



朝起きると篠原の姿は既になく俺は部屋から出て歯磨きをしてまた部屋に戻ろうとすると日向の部屋のドアが開いた。 するとげっそりした爆発頭の日向の姿が。



「おはよう日向。 大丈夫か?」

「清人〜〜ッ!! 酔っ払い怖い」

「何してたんだ? てか先輩居るのか?」

「潰されて寝れなかった」



あー、やっぱり先輩居るんだな。 潰されたって……



日向が顔を洗いに行ったので開けっぱなしのドアからそっと日向の部屋を見ると床に先輩の脚らしきものが見えた。



どんな寝方してるんだろう? と思って更によく見ると服が脱げかかってる先輩のあられもない寝姿が……



「何見てんの清人?」

「うあッ! 脅かすなよ日向。 先輩の事起こしてやってくれよ、風邪引くかもしれないから。 それと会社もあるし」

「えー……」



日向は渋々といった感じの顔で部屋に戻った。 そしてしばらくすると……



「あーーーーーーッ!」



先輩の叫び声が聞こえた。 何事かと思い日向の部屋を開けると耳を塞いでいる日向とパクパクと口を開けて放心している先輩の姿……



「何事です!?」



先輩の叫び声を聞いて神崎もこちらへ来た。 先輩は辺りを見回して俺を見た。



「わ、私ここで寝ちゃったの!?」

「そうみたいです……」

「ここ…… 麻里ちゃんのお部屋?」

「うん」

「乙川さん、昨日の事覚えてないんですか?」

「あんまり…… あ、会社!!」



先輩は時計を確認すると溜め息を吐いた。



「もういいや。 今日は休んじゃお!」

「え!?」

「先輩大丈夫なんですか?」

「うん、なんか二日酔い気味だしこんな時間だし。 もう少ししたら会社に電話入れるよ、ていうかごめんね麻里ちゃん。 私居て寝れなかったでしょ?」

「揉みくちゃにされた」

「あははは…… ごめんね。 莉亜ちゃんもごめんね? 他に何か私迷惑掛けなかった?」

「ああ…… えっと大丈夫です。 それより乙川さんこれからどうします? 良ければ朝ご飯食べてきます?」

「いいの? じゃあそうしようかしら」



おお…… 先輩を入れて朝飯を食べるなんて初めての事だ。 



「彩奈もそう思っているので乙川さんの分も作ってるようですからどうぞ食べていって下さい」

「清人何それ?」

「え?」



日向が俺の首筋を見ていたので俺は鏡でそこを確認すると……



こ、これはキスマークでは!? 篠原だな! 



「蚊でも刺された?」

「もうそんな季節ではないでしょう?」

「あ! でも昨日俺の部屋に出てきたんだわ」



2人はよくわかってなさそうなので全力で誤魔化した。


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